- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103513919
作品紹介・あらすじ
幕が下りた。もう詰んだ。と思ったその先に、本当の人生が待っていた。経営難で閉校する萌木女学園。私達はその最後の卒業生、のはずだった――。とにかく全員卒業させようと、限界まで下げられたハードルさえクリアできなかった「ワケあり」の私達。温情で半年の猶予を与えられ、敷地の片隅で補習を受けることに。ただし、外出、ネット、面会、全部禁止! これじゃあ、軟禁生活じゃない!
感想・レビュー・書評
-
経営難につき、
私立萌木女子学園は三月末をもって閉校。
ところが、様々な障がいや問題を抱え、
単位が足りず卒業生できない女生徒たち。
理事長は彼女たちを見捨てませんでした。
元気なし、意欲なし、やる気なし
普通から外れてしまった学生たち。
単位を補うための合宿生活が始まります。
外出禁止、個人用のネット環境なし。
ほとんど軟禁状態の中で行われたのは、
規則正しい生活と適切な栄養摂取。
そして、学生たちが抱えるトラウマや心の傷に
そっと寄り添うこと。
半年後。本当の閉校時に理事長が語ります。
「時には逃げるが勝ちです。
耐えられないと思った時、
自分で逃げられる力を育ててください。
そのための知恵と勇気を身につけてほしい。
今咲いているひまわりの花ことばは
『あなたは素晴らしい』
自己嫌悪に陥ったら
『私は素晴らしい』と呟いてみてください」
三月に閉校した萌木学園。
幕がおろされた…はずだった。
カーテンコールよろしく舞台に残った
個性豊かな “落ちこぼれ” たちに大きな拍手!
そして、優しさに溢れたこの作品にも!!-
とっても素敵なレビューですね。
自分の読んだものわほかのひとのレビューを見るのはとても楽しです。
なんだかとてもうれしいです。
ありが...とっても素敵なレビューですね。
自分の読んだものわほかのひとのレビューを見るのはとても楽しです。
なんだかとてもうれしいです。
ありがとうございます。2023/04/07 -
いるかさん
コメントありがとうございます。
いるかさんのレビューを読んでから だったので
いつも以上にワクワクしながら読みました☆...いるかさん
コメントありがとうございます。
いるかさんのレビューを読んでから だったので
いつも以上にワクワクしながら読みました☆彡
なんか、繋がってる感じがして…。
ブクログって、いいですね。2023/04/07
-
-
閉校が決まっている女子大の最後の卒業生‥‥でも、訳ありで卒業できなかった生徒たちが集団生活をしながら特別補講を受けるお話。
様々な問題、悩みを抱えた女性(大学四年生だから成人していて少女ではない)たちが、まず2人ずつ同室に住まわされる。これが絶妙な割り振りで理事長の思惑通りに化学反応を起こし、お互いを成長させてゆく。
そしてこのおじいちゃん理事長がまた、ある意味くせ者で、思いっきり聞き耳立ててたり、パソコンのデータを覗いてたりプライベートなんてあったもんじゃない。
でも、理事長にとって、この女子大はとても思い入れのあるもので、だからこそどうしてもみんなを卒業させてあげたい!心身ともに健やかにさせて素晴らしい未来を送ることができるようにしてあげたい!という思いのあらわれなのです。
しかし、全てを包み込んでくれるような優しさを持つ理事長も、「いつでも困った時は戻っておいで」的なことは言わない。これが高校生の話ならまた違ったんだろうな、と思う。そこがピリリとしていて、ありふれたお話になっていなくて良かったな、と思います。
登場人物の女性たちのその後が気になる終わらせ方なので、スピンオフ的な物語が出たらいいなぁと思ってしまいます。 -
一万円選書の中でも、とくにおすすめされている本だと感じる一冊です。
各々の理由で単位を落とし、卒業をめざし、補習合宿することになった生徒さんの物語。
どの生徒さんも章のおわりには、再生の入り口をみつけて読者はよかったと一緒に前向きに明るい気持ちになれます。
最終章の校長先生のお話は感動的です。
ひまわりの花は、あなたは素晴らしいと、いつも励ましてくれている、読み終わったばかりだけど、もう一度、感動に出会いたくて、またすぐ読みたくなる衝動にかられています。
この本に出会えて良かった -
萌木女学園
肥育
フィーダー
命を守る行動
ひまわりの花言葉
卒業単位が足りず、補講を受けるポンコツ女子たちの奮闘記かと思って読み始めたら
ごめんなさい
泣くお話でした
安心できる存在であるはずの家族が
時に同じ家族の一員を追い詰め
病ませる
そんな時は、「逃げるが勝ち」
逃げる力を育てる
未来の自分は自分が守る
そんな理事長の語りに
じわーっと目に胸に熱いものを感じる作品
図書館本 -
閉校予定の大学を卒業し損ねた残念集団、9人皆がみな訳あり、難ありの女生徒が、理事長の温情で、半年間卒業するための単位取得の合宿生活をするはめに
人の良さそうな丸顔とつるりとした禿げ頭、玉コンニャクみたいな理事長兼学長兼寮長兼臨時講師の角田大造先生
この理事長只者ではないと思われる
合宿所の部屋は二人部屋、割り当てられた二人は、なんの面識もないのだが、絶妙の組み合わせ、きっと理事長が考えに考えた組み合わせに違いない
各部屋の二人の前に現れるタイミングも絶妙!
20歳そこらのダメダメ集団の女生徒を表現しようと意図的にだと思われるが、それぞれの部屋の二人組の会話の文章は、ガチャガチャ落ち着きがなく、ギャルっぽくて、好きになれない
途中、読むのがしんどくなったが・・・
半年間の合宿を無事終えた卒業式での理事長のはなむけの言葉は、カーテンコールにふさわしい挨拶だった
「あなた方は、素晴らしい。過酷な灼熱の太陽の下で、すくっと天を仰ぐ大輪の花のように、とてもとても素晴らしい
これは魔法の呪文です。これから先、何か困難に出会った時、自己嫌悪に陥った時、そっとつぶやいてみて下さい。
『私は素晴らしい』
そして、どうかひまわりのように、常に明るい方、暖かい方を目指して進んで下さい。そんなに大きく間違えたりはしませんから
あなた方という、素晴らしい花たちと、学園最後の日を迎えられたことを私は心より誇りに思います」
表紙の大輪の花束と相まって、9人の女生徒の明るい前途を暗示しているかのようだった
-
予想以上に面白く、一気読みしてしまった。20年以上加納さんの本を読んでいるが、彼女の著作の中でもお気に入り上位かもしれない。
閉校間近の女子大、卒業が危ういワケアリ女子学生を集めた、半年間の卒業合宿補習。女子達の抱える事情は実に様々だ。自らを落ちこぼれと思い込み、生きる気力すら失いかけているような彼女達が、心身のリハビリをしながら生きる意味を見出していく。
相変わらず加納さんの構成の巧さはお見事。起承「転」「結」で「ヒャッ!」と声が出そうになる、伏線の回収の鮮やかさよ!そして、傷付いた心にそっと寄り添うさり気ない優しさの絶妙な塩梅。一歩間違えると重苦しくなってしまう展開を、軽やかにするユーモアの塩梅。以前から加納さんの甘辛のバランスは好きだったけど、甘さにも辛さにも深みを感じるようになってきたな。自分自身も歳を重ねてきたから、20代前半の彼女達を、昔の自分を重ねるような気持ちで読むことができたからかもしれないが。
加納さんの、若い人たちに向けたメッセージが心に沁みる。これは是非とも老若男女たくさんの世代に読んで欲しい物語だなと思う。挫折知らずで人生歩んでいける人なんていない。だからこそ、それぞれの世代の過去や現在に共鳴する部分が、必ずあるんじゃないだろうか。 -
ひまわりの花束の表紙が目を引く本書。
閉校が決まっていた女子大で、卒業単位が足りないメンバーが集められ、ほぼ軟禁状態の共同生活を送りながら卒業の為の特別補習が行われることに。
“ワケあり”揃いの彼女達は無事卒業できるのでしょうか・・。
集められた女子達は、性同一性障害、ナルコレプシー、拒食症、希死念慮等々・・・。
それぞれ“一筋縄ではいかない”事情を抱えている彼女達の、個々の視点で綴られる連作スタイル6章からなる群像劇のような構成です。
個人的には、拒食症の茉莉子と肥満症の千帆という同室の二人が、一見正反対なのに結局お互いに対して同じ事を思っている「鏡のジェミニ」が面白かったです。
そして最終章「ワンダフル・フラワーズ」は、“日常の謎”モノでお馴染みの加納さんらしく、ちょっとしたトラップ的なプロットになっていて、あやうくミスリードされるところでした。
この章に登場する“死にたがり”の玲奈が、モラハラ父親に追い詰められて希死念慮を抱いてしまう過程は、読んでいて胸が苦しくなりましたが、終盤で前向きな感じになってホッとしました。
このようなワケあり女子達を管理する角田理事長がこれまた食えないお爺さんで、すべてが彼の手の内的な感じではあるのですが、この角田理事長も大切な人を失ってしまうという哀しい過去があり、その事情があってこその卒業式での理事長の言葉にはグッときました。
「あなた方は、素晴らしい。過酷な灼熱の太陽の下で、すくっと天を仰ぐ大輪の花のように、とてもとても素晴らしい・・」
生きづらさを抱えていた彼女達ですが、希望が見えるラストで爽やかな読後感でした。
女子大生を敵に回しましたね…
女子大生を敵に回しましたね…
(真実は最初から相手にされてない)
(真実は最初から相手にされてない)