共感障害 :「話が通じない」の正体

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 308
感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103525516

作品紹介・あらすじ

挨拶を返さない、うなずかない、同僚の仕事を手伝わない。「当たり前のこと」をしない人、あなたの周りにいませんか? 職場や家庭で、誰もが自然とできることをやらず、周りを困惑させる人々。その原因は、性格や知能ではなく、脳の「認識」の違いにあった! 置かれた状況をうまく認識できない―― そんな「共感障害」を持つ人と、どうすれば意思疎通を図れるのか。ベストセラー『妻のトリセツ』著者が脳科学から読み解く、驚きの真相。

感想・レビュー・書評

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  • 共感障害は(挨拶などの)自然発生的に受け継いできたと思われる概念そのものがないことである。その原因が授乳中のスマホ(表情筋を動かせて見合わない)が原因かはわからない。ただ、まわりにも大小あれど共感障害と思われる人は存在していて、その人に怒っても仕方ないんだと思っていた通りだったようだ。わざとではないので、こういう感覚もあるんだよと少しずつ教えてみる(ただしゴリ押ししない)ことをすすめてみようかな。
    154冊目読了。

  • この本が言う「共感障害」はつまるところ発達障害(グレーゾーン含む)の症状のひとつにフォーカスし説明したものだと思う。が、後天的にも作られる(要因:スマホ授乳)という点は目新しかった。個人的には発達障害のスペクトラムという言葉のまま語った方が整理しやすい。
    読みやすいけど読みにくいという不思議な本。ディテールの寄り道が多いからか。作者の特性を感じる。
    左利きの要因の話(一定の月の状態の時間に生まれることで左利きになる)とか、科学的にどうなのかはわからないけど面白かった。
    男女で切り分ける考え方はわたし向きではなかったが、理性的な語りだった。
    自閉症に代わる言葉としてオーティズムという単語を覚えておきたい。

  • 冒頭の「まわりに、こんな困った人いませんか?」にまさに該当するタイプの人間なので読み始めは「厄介者」扱いされているように感じた。

    しかし読み進めるとさにあらず、「共感障害」という言葉はautism型・ADHD型・ミラーニューロン不活性型に分解されそれぞれの思考パターンが丁寧に開示される。
    多様性を重んじインクルーシブな社会を目指す昨今、このような予備知識を身に着け周囲の人と接することは重要なのではなかろうか。

    ここ数年、共感障害に該当する若者が増えているとのことだ。
    厄介者として外に置くか、共に歩む道を選ぶか。
    私はインクルーシブに行きたい。でなければ外に置かれる側なので。

  • 著者の黒川さん本人が自閉症で本当は左利き、というのがつい最近、59歳でわかった、と。

    エナジーバンパイア(周囲から元気、やる気を削ぐ人)について本を書こうとしていろいろ深掘りしました、という態になっている。

    アメリカてば自閉症はオーティズムautismと言われる。日本ではそれに「自閉症」という言葉を当てはめてしまったので本質が見えなくなっている。しゃべれる、聞ける(一応)、でも自閉症、という人が多い。

    満月など限られた時間に音の聞こえ方が変わる(聞く脳の右脳左脳が入れ替わる)、自閉症は2歳から5歳までに、「褒める」など積極的な働きかけをする事で改善する(日本では3歳児検診で自閉症と診断されることが多くこの対処ができない)。

    好著。

  • くだけた文章が楽しくて読みやすい。
    内容もなるほどだった。
    対応策は、地道にというところで、あまり目新しくはない。
    なんていうか、著者の勢いというかパワーというかがあふれた本だったな。

  • 共感障害というものが、あるということは知っていた。けれど、その内容については、ほぼ知らなかったといっていい。
     というのも、たとえば何かショッキングな事件が起こったとき、そこで語られる被告人の普段の様子や修学期の人となりで語られるサイコパスのような犯罪傾向のある人と重なってしまっていたからだ。
     だが、この本を読むとそれが異なることがわかる。共感障害の内容として、ADHDと自閉症があげられているが、それが新生児期の脳の発達と、その後の経験から獲得する認識フレームによる。そして、その割合によって千差万別の脳になる。そのような脳は一般の脳とは違った見えかたがしている可能性がある。アメリカでは、独自脳という呼び方をして経済力に転化しているらしいのである。
     つまり、個性的であるとしてその人となりを認める。確かに、そのほうが建設的だ。
     わかってしまえばそうなのだが、ただ、と私はおもうのだ。実をいうと、知人に介護を受けている人がいて、その悩みを電話で訴えてくるのだが、その内容がこの本に書かれているものとそっくりなのだ。朝、デイにいって、おはようと声をかけても、返事がないからはじまり、果ては施設がわがパワハラだと言い出したのだが、知人によると帰る時間間際になってロールパン2個をわざわざ1個ずつレンジで温めて、ぎりぎりになったので、知人が食事ぐらいゆっくり食べたいよね、とたしなめたようなのだ。電話の内容は、それがなぜ、パワハラに当たるのかわからない、とのことだ。この本にあるカサンドラ症候群と似ている。
     ただ、それで済まないのは、知人の方にはかなり重い障害があるのだが、一方的にデイケアの日数を半分に減らされた挙げ句、必要な介護を受けられていないようなのだ。
     共感障害なのではないか、というのは外からみてわからない。資格は持っているから、頭が悪いのではないことはわかる。しかし、ある種の危険は感じる。
     介護が制度化されている以上、介護の品質については、一定のものが期待されているとはいえないか。
     これでは、介護による社会生活への健全な参加という趣旨からはるかに遠いものになっているといわざるを得ない。せめて、この本にあるような、メモをとるぐらいの方策をとるべきではないか。

  • おもしろかったです。知り合いの、乳児の母親もスマホ見ながら授乳してますね…。自分は絶対やらないようにします。てゆうか子ども産んだらスマホ捨てたいくらい…。

  • 検証しているか不明の内容

  • 地域性によるものであったり、脳の機能の違いであることはよくわかったんだけど自分が求めてるものではなかった。

  • 読書が苦手な私でも読み切れたくらい面白い本でした。
    共感障害をいくつかのカテゴリーに分け、どんなタイプね人がいるのか、またその人達とはどう付き合っていけばいいのか どう伸ばすことが出来るのかが書かれていてわかりやすかった。

    また、世間的に見放されたり呆れられる事がある彼らだがその個性を活かす方法があったので人生捨てたもんじゃないなと思った。面白かったです。

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著者プロフィール

黒川伊保子(くろかわ・いほこ)
1959年長野県生まれ。奈良女子大学理学部物理学科卒業。
(株)富士通にて人工知能(AI)の研究開発に従事した後、コンサルタント会社、民間の研究所を経て、2003年(株)感性リサーチ設立、代表取締役に就任。脳機能論とAIの集大成による語感分析法を開発、マーケティング分野に新境地を開いた、感性分析の第一人者。また、その過程で性、年代によって異なる脳の性質を研究対象とし、日常に寄り添った男女脳論を展開している。人工知能研究を礎に、脳科学コメンテーター、感性アナリスト、随筆家としても活躍。著書に『恋愛脳』『成熟脳』(新潮文庫)、『人間のトリセツ ~人工知能への手紙』(ちくま新書)、『妻のトリセツ』(講談社+α新書)、『定年夫婦のトリセツ』(SB新書)、『息子のトリセツ』(扶桑社新書)、『思春期のトリセツ』(小学館新書)、『恋のトリセツ』(河出新書)など多数。

「2022年 『女女問題のトリセツ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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