八本目の槍

著者 :
  • 新潮社
4.16
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本棚登録 : 658
感想 : 98
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  • Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103527114

作品紹介・あらすじ

石田三成は、何を考えていたのか? そこに「戦国」の答えがある! 秀吉の配下となった八人の若者。七人は「賤ケ岳の七本槍」とよばれ、別々の道を進む。出世だけを願う者、「愛」だけを欲する者、「裏切り」だけを求められる者――。残る一人は、関ケ原ですべてを失った。この小説を読み終えたとき、その男、石田三成のことを、あなたは好きになるだろう。歴史小説最注目作家、期待の上をいく飛翔作。

感想・レビュー・書評

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  • 賤ヶ岳の七本鎗と石田三成の友情物語。
    仲間っていいなって思います。
    大河ドラマによく出てくる石田三成。
    天・地・人や真田丸でみた。確か天・地・人では小栗旬さんだったような覚えがあり、なんか悪い人と思えず気になっていた。
    友達思いのそして先見の明のある人。
    最期は晒し首になってしまったけど、石田三成は納得して逝けたのかもしれないと思えた。

    今村さんの小説は、いつもワクワクで面白い。
    幸村を討てを越えないので★4つですが、読み始めると時を忘れて、読みふけることができます





  • 涙の一冊。

    槍だけに歯がたたないかと思いきや…見事に槍に熱く心刺され、感涙。

    秀吉の小姓として共に過ごした七人の目線で語るあの時と、石田三成。

    槍がそれぞれの胸の内、志となって一本ずつ心に深く刺さる。

    なぜに今だったのか…次第に浮き彫りになる石田三成の遥か未来を見据えた故の志。

    綿密な志の集結に心打たれた。

    ラストはまるで七本の槍を内に閉じ込めたかのような、小姓組にしかわからない太い八本目の槍をただ涙、涙で思う。
    と同時に思わずあの日の寺院の大木を重ねずにはいられない。

    今村さんが描く輝き放ったこの槍が眩しくて愛おしい。

  • 戦火が広がっていますね
    多くの方たちが望まない死を迎えてる中で非常に不謹慎だとは思うんですが画面に兵器が映ったりするとどうしてもかっこいい!とか思ってしまうのは男の子の性ですよね
    申し訳ない
    スティンガーとかジャベリンとかさ…

    ちなみにジャベリンとは小型の投擲槍のことで日本の槍とは大分違います
    確かD&Dだと基本ダメージは4面ダイスだったはずで本物はとてもじゃないですが戦車なんて破壊できません

    いやいやそんなこと言ってる場合じゃないってば!
    そんなこと考えてるってのは画面の向こう側を別世界あるいは他人事と思ってしまっている証拠かもしれませんね
    反省です

    反省だけじゃ足りないです
    とはいえ具体的には何ができるんでしょうかね
    募金とかしかないのかなぁ…?

    あとは『日本での槍』経済制裁のためにちょっとくらいガソリンが高くても我慢する!

    さて『八本目の槍』です

    賤ヶ岳の七本槍の面々の視点から八本目の槍ともいえる石田三成の人となりや思想を浮かび上がらせるという趣向なわけですが
    いやまあすごい面白かったです!

    ちょっと石田三成に背負わせすぎじゃない?とも思いましたが
    まあ史実にどこまでも忠実に!とも思ってなさそうなのでよしとしましょうw

    あと最後まで福島正則とか言わないのねってところもなんか良かったです

    今村翔吾さん
    これからちょっと読み込みそうやな

  • もしもあの時○○だったなら…、ターニングポイントで現実と異なる道に思いを巡らせることはよくある。
    今とは異なる世の中とはどんなだろう。
    もしも関ヶ原の戦いの勝者が西軍だったなら。
    天下統一を果たしたのが徳川家康ではなく、石田三成が押す豊臣秀頼だったなら、日本は一体どんな国になっていただろう。

    「賤ケ岳の七本槍」と称された豊臣秀吉の家臣7名が語る八本目の槍・石田三成。
    今まで描いていた、冷淡で計算高い石田三成のイメージが見事に払拭された。
    野心にまみれ迷いながらも戦国の世を懸命に生きた7名の男達に対し、己の信念を曲げない愚直さ故に時代の流れに逆らえず一人散ってしまった三成。
    世の戦を絶やしたい。
    武士のいない世にしたい。
    三成の思い描いた数百年後の日本とは…。
    三成の理想郷にしばし思いを巡らせた。

    先を見通していた、という三成。
    七本槍の一人の言う「お前の考えは、恐らく早過ぎた」
    これに尽きると思う。

    前半は面白かったのに後半は少々失速。
    三成を美化し過ぎかな…。
    オチの付け方にちょっと強引すぎた感があり残念。
    男同士の友情話だけなら良かったんだけど。

  • 【記録】
    八本目の槍。
    2019.07発行。字の大きさは…字が小さくて読めない大きさ。
    残念です。

    今村翔吾さんの本を読むのを楽しみにしているのだが、
    今回の本も字が小さくて読めず。単行本。
    残念、返却する。
    これで今村翔吾さんの本を字が小さくて読めず返却したのは、「童の神」に続き2冊目となる。文庫本で字の大きいのを是非出してほしい。
    ※【記録】の説明は、プロフィール欄に書いて有ります。

    • 信道アルトさん
      私のおじいちゃんおばあちゃんは固定された拡大鏡を使って読んでいました。
      読みたい本ならば拡大鏡を使って読むのどうでしょうか?
      私のおじいちゃんおばあちゃんは固定された拡大鏡を使って読んでいました。
      読みたい本ならば拡大鏡を使って読むのどうでしょうか?
      2019/12/09
  • 私はブクログレビューは専ら自分の為の記録であって、他人様(ひとさま)にお薦めする為に書いてはいない。
    だから、私が「泣いた」と書くのは、本当に涙も鼻水も出てティッシュが必要だった場合のみである。
    映像で泣く回数の方が遥かに多く、文字を読んで泣かされたのは本当に少ない。
    800近いレビューの中で「泣いた」と書いた本がどれだったのか探す術は無いし、覚えてもいないが、きっと数えるほどだと思う。

    で、本書。初読みの作家さん。
    2章で「泣いた」

    歴史小説は割と好きだけれど、詳しいわけではない。
    「七本槍」という言葉は知っていても「賤ヶ岳七本槍」って誰々のことなんてそらんじられるわけもないし、途中色々と調べながら読んだが、七本槍中名前を知っていたのは「加藤清正」「福島正則」だけ。

    今までに観た大河ドラマは「義経」「龍馬伝」「軍師官兵衛」「真田丸」「西郷どん」「麒麟がくる」だけ。
    今週末はいよいよ「麒麟がくる」の最終回。
    (本書にももちろん明智光秀が少し登場)

    この状態・この程度の人間なので、歴史上の人物に対する印象は、その時々の小説やドラマでの描かれ方に、そのまんま素直に感化されてしまう質。
    (舞台となる時と場所は変わるが、ルイ16世への印象も読んだ本によって180度あっさり変わる始末)

    誰にも本当のことなんてわかるわけがないのだから、あとはもう、ドラマでも小説でも描く人の意のままにこちらは操られるだけ。
    本書も著者のフィクションだともちろんわかった上で、こうであってくれたら良かったなと思える内容だった。
    他の読者にはどうだかわからないが、著者の創作が、私のツボにはぴったりだった。
    私はこういうのに弱いのだろう。
    私は「西郷どん」でも、だんだん立場や考え方が違っていく中、いっとき子供時代と同じように川で鰻を取ろうとはしゃぐシーンにジーンときたからだ。

    各章で、他の章でも語られたことが少し違った角度から繰り返し書かれているが、くどく感じられることもなく、とても良い書き方だった。
    そして7人の7章だけで語られる8人目。
    この構成も見事。
    表紙もいい。

    本書での石田三成の公家化構想だけはちょっとなぁ…と思うけれど、8人それぞれの気持ちと行動に関する創作は好きだ。

  • 幸村を討てで恥ずかしながら初めて今村翔吾を知り、そしてその内容の素晴らしさに感動しました。
    他の作品も読んでみたくなり、この作品を読んでみて改めてその構成に脱帽しました。
    8本目の槍を中心とし、各槍の個性をそれが史実なんじゃないのかと思うほど、緻密で違和感の無いストーリーに仕上がっている。
    歴史ものを読んできて感涙する作品は今村先生が初めてです。
    これからも追い続けて行こうと思います。

  • 『塞王の楯』で直木賞受賞の今村翔吾さんの出世作(もっと前から売れてらっしゃる?)ということで、今村作品初読。

    徳川家康と石田三成、どちらも信長や秀吉ほどの人気はないながら、三百年近い天下泰平の礎を築いた家康はエライよね、という(普通の)歴史認識の私だが、この本の中では、三成は、徳川政権崩壊後の四民平等、民主国家、男女同権、まで見据えた大天才として描かれていてたいへんかっこいい。

    『武士が多すぎる、二分五厘で十分(≒現代の公務員の比率)』という主張など、現代の視点からすると大変予言的に描かれている。

    朝鮮出兵の兵站を難なくこなした一点だけでも、偉大な実務的な政治家だと思うが、思想家としてもこの通り超一級だったなら、関ヶ原を西軍が制した後の日本史、世界史に興味が湧く。

    加藤清正、福島正則、片桐且元、以外の四人は知らなかったけど、すべての章がおもしろかった。

    大蔵卿局の前半生の身の振り方は、大河ドラマ真田丸なんかの後半生の憎々しい描きぶりとは対照的でしびれた。



  • 歴史を舞台にした爽やかで清々しい小説。
    若き小姓たちのそれぞれの人生。出世階段を上り詰める者、回り道をしながら進む者、脇でそれを見守る者。志に生きると決めるとき、道に困ったとき、どんな時も多くを語らずして分かり合えるのは若き時代を共に過ごしたからこそ。

    学生時代の部活仲間や会社の同期、同僚の顔を思い浮かべた人も多いのかなと。熱い気持ちを思い出させてくれるいい本です。

  • 私は、大の石田三成公贔屓で、滋賀県長浜市の石田町で行われる三成公の供養法要にも何度か参加させて頂いたこともある程です(墓前でお焼香もさせて頂けるのですよ!今もできるのかな・・)。
    そんな私ですので、いくら“歴史は勝者がつくるもの”といっても、三成公のネガティブなイメージが先行している事に心を痛めていました。
    さて、前置きが長くなりました。
    本書は“賤ヶ岳の戦い”において、秀吉側で功名を挙げた七人の近習達、いわゆる“賤ヶ岳の七本槍”と呼ばれる彼らの物語七編が収録されています。
    彼らの目を通して、“八本目の槍”である、石田三成公・佐吉の姿が浮かび上がってくる構成です。
    抜群の頭脳で、歯に衣着せぬ物言いの為、人と衝突しがちだけど、私利私欲無く、ただひたすら理想の国造りを目指していた三成公。そして家康に“NO!”と示した人でもあります。
    本書では、三成公が“家康対策”として壮大な仕掛けを施していて、それが何だったのか?という謎解き的な要素も含めた話になっていますが、それ以上に秀吉の小姓として若き日を共に過ごした者たちの“友情”の話でもあるのかな。と思いました。
    米や金のコントロール云々はフィクション要素強めですが、三成公が民の事を大切に考えていたのは真ではないかなと。それは三成公の旗印「大一大万大吉」(1人が万民のために、万民は1人のために尽くせば、天下の人々は幸福(吉)になれる)からも解りますね。いわゆる“One for all ,all for one.”ってやつです。約四百年以上も前にこの考えを持っていたのですから、そりゃ、周りは理解できんわって感じですよね。
    何だか、本の感想以上に、個人的な“三成愛”を語ってしまいました。
    余談ですが、長浜駅前には「三献の茶」の一幕を表現した、秀吉さんと佐吉(三成)さんの銅像があります。本書には“四杯目の茶”の話が描かれていて、興味深い説だなと思いながら読みました。

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著者プロフィール

1984年京都府生まれ。2017年『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』でデビュー。’18年『童の神』が第160回直木賞候補に。’20年『八本目の槍』で第41回吉川英治文学新人賞を受賞。同年『じんかん』が第163回直木賞候補に。’21年「羽州ぼろ鳶組」シリーズで第六回吉川英治文庫賞を受賞。22年『塞王の楯』で第166回直木賞を受賞。他の著書に、「イクサガミ」シリーズ、「くらまし屋稼業」シリーズ、『ひゃっか! 全国高校生花いけバトル』『てらこや青義堂 師匠、走る』『幸村を討て』『蹴れ、彦五郎』『湖上の空』『茜唄』(上・下)などがある。

「2023年 『イクサガミ 地』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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