2010s

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103531319

作品紹介・あらすじ

レディー・ガガから『GOT(ゲーム・オブ・スローンズ)』まで、世界を変えた“黄金の10年”を徹底討論! 世界を制覇したラップミュージック、社会を映す鏡としてのマーベル映画、ネットフリックスの革命……政治や社会情勢とも呼応しながら、遥かな高みへと達した2010年代のポップ・カルチャー。その進化と変容、時代精神を総括する。日本の文化受容に警鐘を鳴らし、来る2020年代を展望する、過激で濃厚なポップ・カルチャー論。

感想・レビュー・書評

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  • エンタメやカルチャーを見たり聞いたり知ったりすることはすごく好きだけど、
    自分の好きなものはすごく偏っているので
    いろんなものに触れたいと思った。
    本を読みながら音楽を聞いた。

  • 2021.1.3 読了とする

    題の通り、2010年代のポップカルチャーを宇野氏と田中氏で語り合うという本。


    第1章 レディー・ガガとピッチフォークの時代
    第2章 ラップミュージックはどうして世界を制覇したのか
    第3章 スポティファイとライブ・ネイション—民主化と寡占化
    第4章 ネットフリックス至上主義/市場主義
    第5章 MCU—ポスト・インターネット時代の社会批評
    第6章 『ゲーム・オブ・スローンズ』ーポピュリズムと分断の時代

    出てくるアーティスト、作品名、コンテンツなどが多すぎて、かなり大変な本です。音楽に関する章はなんとか読めたものの、ラップはほとんど聴かないため途中落伍。ネットフリックスも契約してないしマーベルの映画もひとつも観てないし、興味ないため飛ばしました。
    実質、第1章と第3章読んだだけなのですが、読んだ価値ありました。レディへが単独ライブをしないのはライブネイションによる寡占化に抗っているから、とか一般日本人は言われないと気付かないですよ。

  • 田中宗一郎さんと宇野維正さんが対談しながら、2010年代のポップカルチャーを縦横無尽に駆け抜ていきます。
    『Breaking Bad』がブルース・スプリングスティーンの『The River』の現代版だ、という指摘はなるほどな、と感心しました。
    Netflixは映画界と競争しようとしているわけじゃない、という視点は目から鱗。

  • 十代の頃はロキノンもbuzzもsnoozerも読んでたけど、まさか2020年に田中宗一郎×宇野維正の対談本を読むとは予想してなかった。

    ちょっと調べたら1998年の渋谷陽一氏は46歳で、2020年の田中宗一郎氏は57歳、宇野維正氏は50歳らしい。2010Sは当時の渋松対談よりもさらに年いったオッサンたちの本なのだ。なんかもうわけわかんないな。


  • 田中: 最初注釈を全部付けるって話で考えてたんですけど、後半ある程度脱稿してからいや付けるのやめましょうって話になって。
    三原: つけたらやばいことになる。
    田中: うん。でもそれにはもうひとつコンセプトがあって、俺があの本で何回か書いてるトマス・ピンチョンの『V.』っていう小説があるんですけど、これ2011年ぐらいに読んで最初全く読めないんだけど もうそれ要するに固有名詞の嵐なわけ。でそれが歴史的な話で、例えば世界で初めてのジェノサイド、大量虐殺、民族虐殺っていうのがどこだみたいな、誰も知らないような事件とか地名とかがブワァー書いてあるの。だからその言葉の固有名詞がわからないと読み進まないんですよ。で全部ググって読んだのね。で最初は一回ばーっと飛ばしてググらないで読んだ時と、これちょっとわからないと駄目だってググって読んだら、やっぱりニュアンスわかってくるじゃないですか。感覚が全然変わって、その惨たらしさとか変わって、要するにこの本って、だから当時はね本が書かれたのは3,40年前なんですけど、Googleなんてないわけですよ。だから図書館に行ってひとつずつ調べないと読めない小説だったわけ。でもこれは要するに、いや俺だけが知ってることを書いたよってことじゃなくて、いや歴史っていうのはみなさんが知らないこといっぱいあって、でそれをひとつひとつ知るためにも時間がかかってそうじゃないと人類っていうのは前には進めないんですよっていうのを読むっていう行為を通して伝えてるんだってようやくわかったの。3回目読んだとき。これは要するに何を書くっていうことプラスアルファで形式で語っているんだと思って。真似しようと思った結果があれです。

    すごいいろんなコンセプトで作ったからね。誰も気づかないからね。まだ明確に章立ての、章立ては維正さんが作ったんですけど、1章ずつのテンポ感も全部コンセプトあるし。

    みんな主題で読むんだけど 形式のところ ピンチョンの『V.』を書いたときの形式で色んなことを実は語ろうとしてるんですけど、誰が気づかなくても全然気にしないって感じ。
    POPLIFE #51 この20年と今のベストJ-POP作家は?
    上記はspotifyのPodcastチャンネルの『POP LIFE the Podcast』より抜粋。

    GOTをやっと観終わって、やっと読了しました。前半3章は音楽中心、後半3章は映像関係がメインで、それを取り巻く2010年代のポップ・カルチャーを映画音楽ジャーナリストの宇野維正氏とsnoozerの田中宗一郎氏のふたりが語り尽くす本書。超濃密。楽しかったです。音楽と映画と言っても、その背景は政治や社会情勢など、多岐に渡ることをこれでもかというほどに思い知らされますし、ちょいちょいRadioheadの話も出てくるのがなんだか嬉しかったです。
    遺書とまで呼ばれたあとがきは客観田中(俺?)と主観田中(君?)と読者(あなた)への吐露も挑発的というか挑戦的というか。フランク・オーシャンの『Nights』みたい。本書を読んだだけでは完成したり、完全に補完することはできないように、上記のPodcastからの引用も含めて、ある意味ではとても親切な書き手であり、とても意地悪な書き手でもあるように思えます。あの話をしていない、あの作品が出てこない、というのは野暮なのでしませんが、紐解きがいのある書物であることに間違いありませんし、帯に書かれている『ポップ・カルチャーは、社会を映す鏡である』ように、アンテナを張り貪欲に楽しんでいけたらいいな、という感じ。

    あと書籍のデザインも最高。ビリー・アイリッシュな色味。帯いらない派ですが、これは帯があって完成してる感じがgood。保存版。

  • ひと言で言えば、田中宗一郎がこの10年サボってた仕事を宇野維正が手綱を握りケツを叩きながら吐き出させた本。
    なので宇野さんえらい。

    個別の作品(音楽でも映画でもドラマでも)について総括するにはタイミングが早すぎるとは思うものの、日本で定額配信の普及が遅れた背景や、本書で言及されている各作品の背景を知ることができるのはとても有用。

  • まずは、自分があまりにも2010年代のポップカルチャーについていっていなかったということにショックを受け、読みながら「くそー、わかんねー」と辛くなり。。
    でも、調べながら、聴きながら(アップルミュージックに感謝)読み進める楽しさに、熱心なスヌーザー読者だった頃を思い出す。お二人が純粋に、この楽しかったディケイド(横文字多かった)を共有したい!というのが伝わってくる。
    と共に、アートの話だけしていたいけれどそれでは現状の「ハイコンテクスト」なポップカルチャーへの理解は深まらないのだとも。
    ポリコレ、ブラックライブスマター、METOO、トランプ政権、そして気候変動など、ありとあらゆる文脈が、スピード感と連続性を持って線で語られる。
    (まさか、大菩薩峠まで出てくるとは)
    NHKの100分deナショナリズムの回で、大澤真幸さんが「歴史を知ることが未来に繋がる」みたいな話をしていて、タナソーも同じような話をしてた。教養、知ろうとすること、意識すること。
    読みながら、ドレイクとかグライムスとか色々ダウンロードしたんだが、ストロークスの新曲カッコいいなーって、結局好きな感じっていうのは、、んー、なかなか変わらない変われない。MCUなんて一作も見た事無くて。
    メインストリームで起きていることを知ると、今がわかるという文脈なら、興味も湧くし楽しめそう。そういう気持ちになれたのもこの本のおかげ。間口が広がった感。それにしても膨大なコンテンツ、お二人はいつ寝てるんだろうなとも思いました!

  • 著者二人による2010年代のカルチャーに関する総括本。
    ラップ、 音楽のストリーミング、NETFLIX、MCU、GOTなど、それらを縦横無尽にひたすらに語り尽くしている。とくに映画/ドラマといった映像コンテンツについては知らないことが本当にたくさん書いてあって興味深かった。特にエンドゲームとGOTをつなぐフレーズが「気候変動」だなんて思いもしなかった。評論家はアナロジーを読み取るのが仕事だと思うので、そういう意味で映画/ドラマを見る補助線として機能している。また映画や音楽といったカルチャーは社会の映し鏡であることも痛感させられる。菊地成孔氏のラジオで昔聞いた、「社会が荒めば荒むほどカルチャーは充実する」ということを二人が2010年代について言葉を尽くして解説してくれているのがありがたい。SNSの発達にともなって皆が社会に対して意見を発信できるようになり、ポジティブな面で見れば声なき者の声が届くようになり社会がより良い方向へ進む一方で、ネガティブな面で見ればポピュリズムによる大衆扇動が容易になったりキャンセルカルチャーが深刻化している。そういった知恵をつけた大衆に対する拒否感を象徴するのがサノスであり、今の日本のムードはサノスを受け入れている空気といっても過言ではないことに気づかされて辛い気持ちになった。
     音楽についてはタナソーからもたらされる情報が自分にとっては新鮮だった。僕はもともとヒップホップ原理主義者であるところから、ストリーミングサービスや詳しい諸先輩方との出会いでインディロックを含めた幅広い音楽ジャンルを聞くようになった。そんな身からするとRadiohead史観からのピッチフォークの存在意義といった議論の転がり方は知らないことだらけでオモシロかった。CD全盛期からストリーミングに移り変っていった過程を今なんとなく受け入れているけれど、このとき誰がどこでどんなリアクションをしていたのか。それについて考えつつ音源だけではないライブ興行も含めた2010年代の音楽の在り方、稼ぎ方の話が特に興味深かった。でヒップホップ好きからすると第2章のラップミュージックの章が鬼門。とくにウノコレが「とにかくアトランタなんだ!」という主張を繰り返していて、ここ数年それは事実だと思う。ただこの人の訳知りな顔の語り口はヒップホップ好きからするとやっぱりしんどい。これだけアトランタに拘泥するのであれば、その深い歴史を話して欲しかったし、A$AP ROCKYやTyler The Creatorがもたらした場所に依拠しないラップ、サウンドの話はして欲しかった。(この1章で語り尽くすのは難しいとは思うけど)なので、あくまでポップカルチャーにおけるラップミュージックである、という但し書きが欲しい。そもそも「興味深いことはメインストリームですべて起こっている」という提言から透ける、ある種のミーハー性とヒップホップの食い合わせが悪いんだと思う。サンプリングをはじめとしてヒップホップは連続性と文脈の文化の最たる例なのにそこに対する敬意も見えないし。と、ダラダラぶーたれることまで見越したようなタナソーのあとがきに回収された今、好き嫌いはともかく2010sのファンダムにいる。

  • 《だが、書物を完成させるのは著者ではない。読者だ。ポップ・カルチャーを駆動させているのは一握りの天才ではない。彼らを天才たらしめているのは彼ら自身であると同時に、すべてのオーディエンスの力だ。今も素晴らしき未来はあなたの手に握られている。KEEP COOL BUT CARE——。あなたがリアルであるように、あなたが優しくあるように、さもなきゃ俺の前から消えうせちまえ。》(p.351)

    《あるひとつのフォルムやアイデアが発明されて、二度目に発見された瞬間にそれはメディアになる。重要なのはその瞬間なんじゃないか。シネマの起源をエジソンに置くのか、リュミエール兄弟に置くのか。でも、俺は後者に立ちたい——これもまた自分自身のポップという定義によるものなんだけど。》(p.94)

  • 2024.2.7
    大衆文化は人々の生活に密接に関係している。
    暗にも明にも。意識的にも無意識的にも。
    って当たり前だけど真面目に考えるとしんどいねー。

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著者プロフィール

1970年、東京都生まれ。映画・音楽ジャーナリスト。音楽誌、映画誌、サッカー誌の編集部を経て、2008年に独立。著書に『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(くるりとの共著、新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)。編著に『nakata.net ITALY WALK』(角川書店)、『ap bank fes ‘09 official document』(ポプラ社)など。

「2018年 『日本代表とMr.Children』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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