空を切り裂いた

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 75
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103545811

作品紹介・あらすじ

読む者を狂気の淵に叩き落とす、呪われし伝説の作家・堀永彩雲。次なる生け贄を求め、現代日本に降臨! 徴兵されながらも戦争を生き抜き、戦後、文壇の寵児としてもてはやされた孤高の作家・堀永彩雲。しかしその後半生は、絶望と狂気に彩られていた。昭和四九年に享年五〇で自害した作家の作品は、世間からは忘れ去られたが、一部で狂乱の読者を生み育んだ。そして今、彩雲の子らは真の目覚めを迎え、世紀末日本で覚醒する!

感想・レビュー・書評

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  • 「読後正気を保っていられるか?」と言う点で、
    『令和のドグラ・マグラ』の帯は頷ける( ᐙ )



    飴村行さんの作品といえば『粘膜シリーズ』が大好き(〃´-`〃)

    粘膜シリーズは、蜥蜴人間や河童などが登場する、帝国時代の日本を舞台に軍人達や狂人達とバイオレンスな日常を描くエログロホラーシリーズです。(言い過ぎ?笑)

    あの世界観、たまりません♡⁝(ᵒ̴̶̷᷄⌑ ᵒ̴̶̷᷅   )⁝


    この『空を切り裂いた』は世紀末を舞台にした、奇書『蘇る光』を巡って起こる、ある意味宗教的なお話。

    帯の『令和のドグラ・マグラ』は、読んだ後にあなたは正気でいられるか?!という意味かなと思います。

    理解ができない〜。とかではなく、そのままこのお話を受け入れようという気持ちで読むととても楽しめました。


    堀永彩雲という作家に魅了され取り憑かれる5人の人物。
    その様子が連続短編で描かれています。

    堀永彩雲の作品である『人魚の涙』と『蘇る光』に込められたメッセージ。

    堀永彩雲と作品の謎が解き明かされるにつれ、どんどん不穏な結末に…。


    好みが割れるエログロ表現健在。


    飴村行さんの遊び心のある表現に「やっぱ好きだわ〜」と再確認したひとときでした( ˶°⌓°˶)⸝⸝⸝♡

  • 日本曇天ハレルヤバンザイ

    とても気持ち良い気持ち悪さだった。
    侵徹と荊冠は好み。

  •  飴村行さんの新刊の帯には、令和の『ドグラ・マグラ』と書いてある。夢野久作著『ドグラ・マグラ』を読んだことはないので、比較しようがないが、少なくともこう言わねばならない。読了しても余裕で正気でした、と。

     50歳で自害した架空の作家・堀永彩雲が残した作品群。全五章からなる本作は、彩雲の作品に影響を受けた人間たちを描く、連作短編集である。舞台は千葉県にあるこれまた架空の都市・鷗賀市。彩雲が晩年を過ごしたという。

     時代は『粘膜』シリーズでお馴染みの戦時下ではなく、近現代。設定だけでも、一時はスランプに苦しんだ飴村さんの意欲を感じる。早速読み始めると、すいすいと読み進む。いや、『粘膜』シリーズもすいすいと読んでいたけれども。

     第一章のようなパターンは、目新しくはないが飴村作品には珍しい。詳しくは書けないが、第一章を読んだ時点では、サイコサスペンス的な作品集なのかなあと思っていた。掴みとしてはなかなかではないか。第二章以降への期待も抱いていた。

     しかし、読み進めてみると、各章間には緩い繋がりしかないことがわかってくる。堀永彩雲というキーワードや、鷗賀市という舞台がが共通しているのみ。各章が独立した話なら、それはそれでよい。各章の完成度やインパクトの勝負になるだけだ。

     元々、読者を選ぶ作風である。飴村さんが、新規の読者を獲得したいのかどうかはわからない。中途半端にグロ描写もあるために、一般読者には十分きついし、すっかり慣れた固定読者にはインパクトがない。どっちつかずな印象を受けた。

     ご自身がカルトな作家なだけに、架空のカルトな作家をテーマにしたのか。コンセプトは悪くない。前作の『粘膜探偵』と同様に、模索中というか、苦悩の産物というか。堀永彩雲による作中作を読んでみたい。どんなにいかれているのか。

     『ドグラ・マグラ』を含むいわゆる三大奇書を読んだことはないし、当面読む予定もないが、令和の『ドグラ・マグラ』という煽り文句は裏目に出ているような。エログロに頼らない傑作を、飴村行さんは書けると信じている。

  • 正直内容はよく分かってないんだけど、とにかく雰囲気が良い。物語がとにかくカラフルで極彩色という修飾が似合う不思議な小説でした。面白かったです。

  • 「侵徹」★★★★
    「曳光」★★★
    「荊冠」★★★
    「裂果」★★★
    「燐灰」★★★

  • ★★★
    今月5冊目。
    久々の飴村行。
    やばいまじで狂ってる、後半訳がわからん。
    この著者の謎のグロ回想シーンとロイドメガネとどーいう頭の構造したら発想できるのかわからん。今作はだいぶ訳がわからない。

  • 正直な感想として表題のデザインがあまり好きではないです。
    堀永彩雲をKEYとした主格が切り替わる連作ホラーなのですが、一番最初の話が一番印象に残りました。
    個人的には、全体的に割と俯瞰でみる狂気の話のように感じました。

  • ハレルヤ

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著者プロフィール

飴村行 1969年、福島県生まれ。東京歯科大学中退。2008年『粘膜人間』で第15回日本ホラー小説大賞長編賞を受賞。デビュー第2作『粘膜蜥蜴』で第63回日本推理作家協会賞を受賞。特異な作品世界で注目を集める。著書に『粘膜兄弟』『粘膜戦士』『路地裏のヒミコ』『粘膜黙示録』『ジムグリ』など。

「2018年 『粘膜探偵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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