- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103551317
作品紹介・あらすじ
最良の離婚、請け負います! 家族はもっと、いろんな形があっていい。新時代のリーガル・エンタメ。夫のモラハラと浮気に耐えられなくなり家を飛び出した聡美が北鎌倉で出会ったのは、縁切寺の娘で弁護士の松岡紬。勢い込んで離婚相談をするも、思いがけないことを言われ……。上手に縁を切る方法、教えます。温かなヒューマンドラマにして、前を向く元気をもらえる、痛快リーガル小説。
感想・レビュー・書評
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★5 離婚問題のリアル、人の欲と優しさすれ違い… 高品質でバランスの取れた推せる一冊 #縁切り上等
■きっと読みたくなるレビュー
おもろい!★5
300ページない小説でプロットも比較的シンプル、テーマとしてもありそうな離婚問題。しかしながら、文章もセリフも人物描写もエンタメとしても素晴らしいです。バランスが絶妙なんですよね~
先生の作品はいくつか読んできましたが、筆に円熟味が増してきて、一番の出来栄えだと思います。(偉そうですみません)
五編に渡る連作短編集ですが、物語としてはほぼ繋がってます。一編ずつ登場人物のエピソードを絡めつつ語るなんざ、さすがですよ。このまま映像化できます。
しかも人がストーリーの中で生きてる感じがするんですよ。どんな人間か手に取るようにわかるし、顔すらイメージできちゃう。
紬:弁護士先生の利発なカッコよさだけでなく、ひとりの人間としての悩みが共感を誘う
聡美:辛い現実と戦いながらも、なんとか胸を張って生きようという前向きな意識が華やか
亮介:かっこいいんですよ、こんなにも懐が深く理解力がある男になりてぇ。次作ではもっと深堀って描いてほしいです!
玄太郎:アップデートが難しくなってきている世代、でも爺さんならではの可愛さといじらしさにキュンとくる
また本作の強みとして、離婚問題のリアルと法的根拠をしっかりと分かりやすく組み込んで描かれています。身近なテーマだけに、この理解しやすいっていうのがポイントで、誰にでも興味関心が得られるんすよね。
そしてなんといっても、人間の強欲さや打算的な価値観が辛辣。子ども、仕事、養育費、DV、慰謝料、介護… 離婚に伴う様々な検討課題。あまり知りたくもないですが、人生勉強としても理解しておきたい内容で、思わず「うんうん」と頷いてしまうんですよ。
ちなみに本作、謎解き要素は少なめですが、しっかりミステリー要素もありますよ。小説としての品質が高く、バランスが取れた素晴らしいエンタメ小説でした。この本は誰にでも推せます。
■きっと共感できる書評
結婚生活というのは難しいですよね。それぞれが最愛の人のためにも懸命に生きているのに、少しずつ価値観がズレていってしまう。ただ失敗し、傷つけてしまうからこそ、人間らしくもあるですよね。また前向きに生きればいいんです。
しかし、子どもだけは大切にしたい。
財産を残したりはできないけど、少なくとも好きなことは体験させたり、嫌な思いや負担はないようにしたい。決して経済的な困窮をもたらしたり、パートナー以外の人を愛したり、犯罪を犯すようなことはしたくない。
本作を読んでいると、子どもだけは裏切らないようにしたいなーと、切に思った次第でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
そういえばなにかのインタビューで、映像化意識してますみたいなこと言ってたなー
う〜ん、女性受けするキャラ設定なのかな?
それともドラマ映えする設定なんかな?
なんだドラマ映えって
主人公の離婚弁護士紬先生と自分との間に距離があり過ぎて全く好きになれなかったー
全く好きになれない主人公の物語が面白いと感じるはずもなく…
専属探偵の出雲への同情票で★1コ追加しての★3です
なんかねー
何かしらの方程式によって産み出されたキャラ設定って感じがしてしまったんよな
機械的でそれこそAI生成か!という
手垢感がないんよ
それぞれの短編もなんかもやもやが残るんよな〜
離婚ってそういうもんなのかもしれん
双方にもやもやが残るもんなのかもしれんって考えるとよく出来てるのかもしれんけどね-
2023/08/25
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2023/08/25
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2023/08/25
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今や離婚していると聞いても、あっそうなんだというくらい不思議ではないほど。
だけどすんなりとは離婚できない。
結婚よりも離婚のほうが難しい。
子どもがいると親権のこともあり、養育費のこともあり、なかなか苦労する。
やはり、弁護士に頼りたくなる。
今回は、離婚専門の弁護士・松岡紬が幸せな縁切りの極意を教えてくれる。
モラハラ、浮気、熟年離婚、同姓カップルの離婚などさまざまな問題を解決していく。
一見、ふんわりとしていながら片づけは苦手で、方向音痴というキャラだけどしっかりと相手を見ていて言うべきことは、はっきりと的確にサクッと財産分与したり、養育費を取り付けたりと有能である。
松岡紬の父や幼馴染で探偵業をやっている出雲など脇を固めるキャラ設定も感じが良い。
離婚という一歩間違えると憎しみや恨みがいつまでも付き纏い、どろどろとしそうだけどすっきりとした結末でサクッと読み終えた。
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昔、鎌倉は縁切り寺で名高い土地だった
らしい。日本中から自由と尊厳を求めて
駆け込む女性たちは、仏に救いを求め、
藁をもつかむ気持ちで―――
鎌倉の縁切り寺として名高い東衛寺。
その蔵は法律事務所になっていた。離婚を専門に扱う弁護士の松岡紬は、この
寺の娘だ。
夫から逃れ、サンダル履きで赤ん坊を
抱えて走って来た聡美を紬は助け、事務所に匿った。
――これが、この本の1話の始まりになる。
縁は絡みあっている。
切りたい縁だけを切るなんて、まず無理
かと思う。夫婦の間だけでなく、親戚も
関わってくる。
皆、一度ぐらいは“離婚したい!”
とケンカをした時などに思ったことが
あるのではないだろうか?
離婚には凄いパワーが必要だ、と友人
から聞いている!私の友人で離婚経験者
は、今思いつくだけで三人いる。
新川帆立さんの本は八冊目。
エッセイを抜かし、全て読んでいる。
ここまでくると、読まずにいられない。
この本は続編が欲しい!
弁護士の紬をどうにかしたい!
2023、9、14 読了 -
帆立さんのお話はどれも痛快。つくづく、離婚するときにもめなくてよかったと思う。
江戸時代に詠まれた松ヶ岡川柳!玄太郎さんのときどきのつぶやきが合っていて、いい感じ。
離婚したい理由、したくない理由、などなど、それぞれに考えはあるんだと思う。
そっか、離婚を決意すると女は強くなり、男は弱くなる?のはそんなに珍しいことじゃないんだ。自分の育った家庭環境もあるのだろうけれど、それを外に発散していいことはない。そりゃ、元凶は家族に当たり父だったりするのだろうけれど。(ジャニーズの問題も然りかな。)
みんなが幸せならいいのにな。 -
読み始めたら面白くて一気に読んでしまった
本を集中して読めるなんて有意義な日曜日でした
ドラマ化したらどんな役者なんが
演じるのかな~と思いながら読んでました -
こういうのが読みたかった、そういう小説。
書き出しから、グッとくる。
面白かった。
人間って、愚かだなって思うし、だけと自分枠の中で全力で生きてる可愛いやつ。
そしてみんな、ずれてる。
だから結婚生活は難しい。
そして離婚はもっと難しい。
何をするにも、その分野に精通した味方が必要だなと、つくづく思った
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北鎌倉で有名な縁切寺の1人娘があなたの離婚をお手伝い。
離婚訴訟を専門とする弁護士、松岡紬の活躍を描く連作短編お仕事小説。
物語は、各話で視点人物が異なる。
◇
夫のモラハラや束縛に耐えきれずに、生後 10 ヶ月の翔を抱き着の身着のままで家出した聡美だったが、それに気づいた夫の亮介の動きは速かった。妻は実家に帰ると踏んだ亮介が駅に先回りして待ち伏せしているのを見て、慌てて背を向けた聡美の目に映ったのは、縁切寺として有名な東衛寺だった。
妻の姿をいち早く見つけた亮介が聡美の名を呼びながら駆けてくる。思わず聡美は東衛寺に向かって走り出したが、赤ん坊を抱いた聡美と亮介の距離は縮まるばかり。
絶望的な気持ちで寺の境内に逃げ込んだ聡美を匿ってくれたのは、20 代後半ぐらいの、小柄で清楚な女性だった。 ( 第1話「くやしくば尋ね来て見よ松ヶ岡」) 全5話。
* * * * *
新川帆立さんお得意の弁護士もの。でも新川さんの他の作品とは趣を異にしていておもしろかった。
まず舞台設定がいい。北鎌倉の縁切寺。
駆け込み寺として古くから名高い東慶寺をモデルとしているのは明らかで、年若い弁護士の紬の事務所にも箔をつける役割を果たしています。その事務所も寺の蔵をリフォームしたもので、ますますいい感じです。
そして扱う案件が縁切寺にふさわしく離婚問題。この設定もいい。
離婚に至るには精神的にも体力的にもかなりの負担がかかります。藁にも縋る思いで駆け込み寺に逃げ込んでくる女性に寄り添う主人公。ストーリーとしても魅力的です。
付け加えるなら、各話のタイトルとして東慶寺に絡む川柳が使われているところも洒落ています。そしてタイトルの川柳は当然モチーフにもなっていて、とても興味深かった。
最後に人物設定。
主人公は松岡紬。東衛寺の1人娘にして絵に描いたほどの美人弁護士です。
ただし、新川さんはこの紬に3つの個性を設定しています。
1つ目は、整理整頓が大の苦手であるというところ。
これは片付け上手の聡美を事務所スタッフに迎える上で必要な個性でした。実際、聡美の活躍や存在感は物語を展開させる上で、大きな役割をはたしています。
2つ目は、まったくひどい方向音痴であるところ。
そのひどさはミッション遂行に差し障るほどですが本筋にはあまり関係なくて、笑いを取るシーンで少しばかり役に立っているぐらいでした。
そして3つ目が、アロマンティックアセクシャルであるというところ。
恋愛欲求も性愛欲求もまったく持ち合わせていません。
この3つめについては最初、男女の愛憎問題の最たるものである離婚を扱うのには不向きでないのかと思ったけれど、却って冷静に問題を捌けるという展開なので、大いに納得しました。
ただし子どもの頃から紬に想いを寄せ続け、紬の特性を知った現在でも密かに紬を守るためにそばにいる出雲が不憫で仕方ありません。なんとかならないですかね。
その他、前述の聡美に出雲、紬の父僧侶の玄太郎と、紬の弱点を補うメンバーを揃えたところは、さすが新川帆立さんだと思いました。
ストーリーについては、女性の自立やDV、同性婚など、現代的な問題をヒューマンドラマに仕立てているし、最終話はミステリー仕立てなので、読んでいて退屈しない出来栄えでした。
ただ新川さんの他の作品と違い、主人公が大車輪の活躍を見せない ( その分、聡美や出雲が活躍するのですが ) という展開なので、新鮮さが半分、あてが外れた感半分といったところが読後感でした。 -
読書備忘録811号。
★★★。
剣持麗子さんシリーズの作者、新川さんのリーガルコメディでしょうか。
鎌倉にある縁切りの神様を祭る東衛寺に事務所を構える離婚専門弁護士、松岡紬が活躍する短編集。
東衛寺の山号が松岡山ということから来ている松ヶ岡川柳が各話のタイトルになっている。
「くやしくば尋ね来て見よ松ヶ岡」
牧田聡美が生まれたばかりの息子、翔を抱えて走っている!どうやら夫から逃げているようだ。
捕まりそうになった時、そこは東衛寺だった。
松岡紬がこっちに来い!と寺に引き入れる。
そして紆余曲折の末、聡美は離婚を紬に依頼することになる。
税理士の夫、亮介はなんと聡美の女友達と浮気をしていた。
まあ、普通に離婚が成立。聡美は生きていくために、紬の弁護士事務所の事務で雇ってもらうことになった。
ということで、この第一話は聡美がメインキャラに組み込まれる為の話だったのかと。
「松ヶ岡男を見ると犬がほえ」
紬の事務所には専属の探偵、出雲啓介がいる。
探偵の手伝いをする聡美。なかなか使える助手!良いコンビ。笑
で、今回の依頼者は鷹田晃彦。妻が浮気をしているから証拠を掴んでくれと。
そして間違いなく浮気をしていた。啓介と聡美の活躍で証拠は揃った。
しかし、相手も旦那をDVで訴えていた。ん?
どっちもどっちというお話。
「星月夜あきれるほど見て縁が切れ」
妙齢の女性。離婚したいと相談に。
調べると夫はあと1年で定年退職。あと1年待てば財産分与の母数に退職金が組み込まれる。あと1年我慢すればと勧めるが頑なにスグに離婚したいと。
それには訳があった・・・。そして財産分与の母数は幸いなことに増えた。笑
「松ヶ岡寝そびれた夜のぐち競べ」
11歳の娘がいる女性が離婚の相談に。妻が浮気していると。ん?女性が相談者で妻が浮気していると。
同性婚。法律的に結婚は出来ていない。
娘は精子提供で産んだ。自分の子。
財産分与は出来ない。
妻の思い。自分の思い。娘の思い。
「またいびりたくば鎌倉までおいで」
聡美の元夫、亮介。
聡美との離婚、仕事のストレスなどでうつ病に。そして休職に追い込まれる。
亮介の代理人弁護士が、養育費の減額交渉に来た。そして聡美とよりを戻したいとも。
聡美は今更ながら思う。亮介はそんなに追い込まれていたのか?と。そうか亮介の立場になって考えたことは一度も無かった。どこまでも自分の立ち位置で不平不満を。ああ、どうしよう・・・。
しかし、実際には驚くべき種明かしが!笑
周辺の良いキャラ。
紬の父で、住職を引退した玄太郎。紬をこよなく可愛がる。
探偵の出雲啓介。紬が好き。でも紬は恋愛不感症。なのでそっと寄り添うだけ。寂しい。
紬が飼っている猫のトメ吉♀とハネ太♂。
縁には男女の縁以外にも、いろいろあると書いている。それを切るのが縁切りの神様だと。
なので、捻りを加えた縁を題材にそれを切ってくれたらもっと面白かったような気がしますが、結果、全部離婚関係でした。
これと言って特筆する点のない作品でした!-
2024/03/20
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2024/03/20
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2024/03/20
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久しぶりに読む新川帆立さん。
以前読んだ剱持弁護士とは違って、柔らかい感じの弁護士さんだけど、女性を守る時には頼りになる。周りの男性たちも魅力的で良いですね。
幸せな気持ちで読みました。