犬とハモニカ

著者 :
  • 新潮社
3.11
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感想 : 194
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103808091

感想・レビュー・書評

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  • 本作品には初めて触れたが、江國香織の文章に漂う、生ぬるい、何かの食べ物の匂いがする空気感に身を浸しているのが心地良くて、何度も読み返したくなる。「ピクニック」「アレンテージョ」が好きだった。「短編小説を書くことは、いつも旅に似ています」と著者がコメントしているけれど、読んでいるこちらも短い旅をしている気分になれる一冊。

  • 風景描写が好きです。この本を読んでいるとわたしもこう感じているな、と気づくことができます。呼吸を思い出すように。

  • 1つだけ、夕顔っていう源氏物語の現代語訳(たぶん)が肌に合わず途中で読むのやめちゃったけど、全体的に面白い短編集だった

  • 夫を「そのほうがいいものに見える」という妻よ。

  • 六つの短編集。なんと言ったらいいのかな?

  • 短編集。犬とハモニカは、川端康成文学賞受賞。騒然とした空港にさまざまな人が降り立ってくる。この心模様を軽快なタッチで表現しています。
    ピクニック、外で見るほうがあなたが見える。あらゆる動物は気配で自分の存在を主張するという彼女。ピクニックが好きな二人。風、芝生、自分という存在を意識するということ。なんかわかります。
    アレンテージョ、ゲイの二人のポルトガルへの旅行。旅だね。独特の雰囲気、世界観が、読み手にも旅を感じさせます。

  • 短編小説は、話から話へ旅をするように思う。
    様々な人がそれぞれの物語を持って立つ空港、五年越しの恋人と別れて妻を新鮮な目線で眺める男性、恋人の一部を飲み込んだ女性、自分の妻を魔女だと感じている夫がその妻とするピクニック、「源氏物語」の夕顔の話を江國さんが訳した一編、全てにおいて誠実でそれ故に不実だという恋人を持った男性のその恋人との旅の出来事。
    どれもわたしの好きな江國さんの言葉や文章で語られる、特別だけれど(誤解を恐れずに言えば)ありふれた、すてきな一編だった。
    個人的には「おそ夏のゆうぐれ」が好き。
    孤独は誇りだった、なのに彼が現れたことで何かが決定的にわたしの中で変わってしまった。
    苛立ちを感じるのに、その一方でどうしようもなく彼を感じている自分がいる。
    その感覚をこんなに美しい日本語にできる人を、わたしは江國香織さんしか知らないようにすら思ってしまうから。

  • 再読了。
    6つのお話。
    人はひとりでは寂しいから寄り添う相手を求めるけど 心はひとりを求めて孤独を求める。
    それが心地よくて よく晴れた青空を見上げてる気分になれるから好き。
    解説にある「短編小説を書くことは、いつも旅に似ていますます」
    読み返す度に色を変える青空を見上げられて嬉しいです

  • どろりとした感情をサラリと書くのですね。人との間に膜があるような奇妙な違和感。確かにそうなのかもしれない。乾いた空気の感じられる「アレンテージョ」が気に入りました。

  • 毛色の異なる6つの短編を収めた一冊。
    川端康成文学賞を受賞。

    表題作は、何の接点もない人たちが集まる空港が舞台。抱える事情は様々だが、たまたまそこに居合わせた人たちの、それぞれの姿をさらりと切り取っていて、その先が気になる。
    全編ふんわりした雰囲気で通すのかと思いきや、ブラックな要素も。一見幸せで平和に見えるのに、ふとかいま見た女性の狂気にぞっとする男性の不甲斐なさも、なかなかおもしろかった。
    源氏物語からの一編は、雑誌の企画で何人かの作家による現代版らしいが、これなら源氏も全巻読めるかも。

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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