- Amazon.co.jp ・本 (437ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103824022
作品紹介・あらすじ
中学での番長争い。差別的な体罰を繰り返す教師への憤怒。屑鉄拾いのツネオの懸命な恋。父親への初めての反抗。東京からやってきた美少女美智子への淡い恋。「高木の家」を目の敵にする古い商店の者たち。半島へ帰る者、留まる者。すべての光景が峻烈に鮮やかに浮かび上がる。十四歳という嵐の季節を著者自らの体験をもとに描く自伝的長編『海峡』第二部。
感想・レビュー・書評
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著者の自伝的長編小説です。
「人間とはつまり、よくわからん、と言うことだ。・・・。しかし、わかっていることはひとつだけある。・・・。それは、死だ。人間は必ず死んでしまう、と言うことだよ。そのことだけがたしかにわかっているんだ。わからんことだらけで、わかっていることが死というのが人間なんだ」(P167)、「のんびりした仕事に見えるだろう。杉の木もひどくのんびりしているように思うだろう。けどそうじゃない。杉の木も必死で伸びようとしとる。それが春になってこの手でさわってみるとよくわかる。木が伸びた分だけ連中も必死で生きとるのがわかる。生きるものは皆そういうものだ」(P418)が示唆に富んでいると思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ストーリー性が薄いので話が冗長。時代背景、特にノスタルジックな町並み、人間関係、地域との関係は懐かしさを覚える。
また、主人公高山英雄が、大人の世界との矛盾を感じながら友人、異性との関係を築き成長していく姿が良く表現されている。後半のマドンナ北条美智子を囲む、主人公含めた4人が卒業を記念して旅行をし、思いを打ち明けキスをねだるシーンは、何かホクホクした感じを受けた。