たんぽぽ団地

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 372
感想 : 51
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  • Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104075140

作品紹介・あらすじ

昭和の子どもたちの人生は、やり直せる。新たなるメッセージが溢れる最新長編。元子役の映画監督・小松亘氏は週刊誌のインタビューで、かつて主人公として出演したドラマのロケ地だった団地の取り壊しと、団地に最後の一花を咲かせるため「たんぽぽプロジェクト」が立ち上がったことを知る。その代表者は初恋の相手、成瀬由美子だった……。少年ドラマ、ガリ版、片思い―― あの頃を信じる思いが、奇跡を起こす。

感想・レビュー・書評

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  • ワタルが唯一子役時代に主人公として出演した、テレビドラマ「たんぽぽ団地の秘密」。そのロケ地として撮影された団地が取り壊されることに。今は寂しくなってしまった団地に、かつての面々が集まってくると・・・
    昭和の時代背景には惹かれるものの、個人的にはファンタジー?SF?感が強かったのが残念。子供の気持ち、中年の気持ちをストレートに読ませるのはさすが。

  • 40年前(1973年)、今まで脇役しか演じていなかった子役が、いきなり主役に抜擢された映画があった。
    つぐみ台三丁目団地をロケ地にした映画、その名もたんぽぽ団地。
    当時は、たくさんの人々が三丁目団地に住んでおり、和気あいあいとしていたが、現在は、男性の老人1人しか住んでおらず、もうすぐ取り壊しとなっていた。
    男性老人1人の孫や、その孫の父親、父親の同級生、そして老人1人の妻など、元々三丁目団地に住んでいた人や関係者などが、タイムスリップしてきた40年前の姿のままの子役に振り回されたり、視聴率が取れなかった、たんぽぽ団地の幻の続編の原稿を探したりするなど奮闘する物語だった。
    今まで読んできた小説の中で、なかなかない設定の物語だった。
    たんぽぽ団地の幻の続編の原稿に書かれていた
    箇条書きに偶然、現在の状況がそのままリンク
    しており、とても驚いた。

  • 1973年の少年ドラマを思い起こさせるノスタルジック小節。

    もうほとんど名人芸ですね。
    どの世代の読者も共感できるほど、子供の気持ち、中年の気持ちをストレートに読ませるのはさすがです。
    設定も、これまでの作者の作品の延長上にあるものですが、飽きさせない仕掛けもうまいです。
    「少年ドラマ」「団地」「ガリ版」というキーワードに、作者らしいファンタジックなタイムトリップをまぶした極上のデザートという感じでした。
    特に自分は、新聞部だったり、生徒会をしていたりしたので、ガリ版とは切っても切り離せない少年時代でしたので、余計はまりましたね。
    強いて言えば、ガリ版用の修正液が出てきたら完ぺきだったと思います。

  • 昭和30年代の団地(スターハウス)を舞台に、過去から現在を時空たつまきで同時並行的に表現していく。重松作品はこういうSF的な設定で都合のいいように持っていく。フィクションだからなんでもあり?
    それがいいのか悪いのか、と考えると個人的にはあまり好きではない。過去に戻ってやり直しができるというのは、あくまでも小説での話。
    現実、少子高齢化の世の中になって、団地自体の在り方も変わってきた。当然、建替という話もでてくる。
    その時代時代照らし合わせたとき、当時はそれが当たり前であり、じゃあ、現代がおかしいか?というと決してそうではない。世の流れには逆らえない。
    親から子供へ、子供から孫へ。そうやって時代は流れていく。今から50年後、平成29年を懐かしむ小説がでてきているんだろうな。

    実際に、現存するスターハウスは少なくなって来ている。
    ぜひ、一度は見て欲しい公団の古き良き時代の建築物。なかなか、味があっていい。


    ガリ版。小学生の頃、あったよなあ。
    今のようにパソコンとプリンターで簡単に資料を作れる時代からすれば、なんて手間のかかる時代だったんだろう。

  • 1959年に建てられたつぐみ台三丁目団地。そこはかつて『たんぽぽ団地の秘密』シリーズというほとんど視聴率が取れなかったテレビドラマが撮影された場所。当時、子役で主役だった映画監督の小松亘が、つぐみ台三丁目団地があと9ヶ月後に取り壊されることを知るところから始まる物語。

    団地で育った僕としては、懐かしい思い出がよみがえってくる描写がたびたび登場して、その都度感傷に浸っていました。

    ただ、物語が誰目線で描かれているのか分かりにくく、その点が読みにくかったです。

  • 息子の中学受験で出会った重松清。旦那はけっこうハマって読んでいたが、私はちょっぴり苦手であまり読んでなかった。学生時代の痛みみたいなものが苦手。それが今回はタイムスリップということで、テレビドラマで見た流星ワゴン以来の重松作品に手を出してしまった。でもでもやっぱり私には合わないかも。タイムスリップでもSFもののほうが好きで、ファンタジー色が強いものはちょっと・・・。そしていじめがあんな形で収束していくのも無いかなと・・・。

  • 団地の話って独特の雰囲気でるな。
    団地住まいではなかったけど、似たような社宅に住んでいたことアリ。なので、なんとなく想像できる!?
    昔、それは人気があったと思う。最新でね〜。
    そんな団地も子供が巣立ち高齢者ばかりになる。建物も老朽化。同じような年代に建てられたんだろうから、どこも同じような問題を抱えているのではないだろうか?
    そういう、あたしも子供の頃に住んだ社宅はすでに取り壊されてなくなっているもの。そんなものよね。
    建物が住める基準なら、リノベーションで素敵に変身しそう。
    今どき、4畳半なんて流行らないのだろうから、2部屋を1部屋にするなど間取りを変えれば、まだまだイケると思うのだけれどもね〜。新しだけがいいとは思わない。時代を重ねてきたものを大切に使って、じっくりその良さを味わいたいものだ。

  • 「団地」がこどもだらけで活気のある時代を知ってる人でないとなかなか。。。年齢層が限られるかもしれないなあ。
    ファンタジックで、ちょっときれいすぎるくらいのいい話だった。いじめっこが実はにくめなかったり、亡くなったひとに会わせてもらえたり、(そうであったらいいな)が叶えられる展開は、素直に読めるときと、そうでない現実がひっかかるときと、読み手の精神状態にも左右されるかもしれない。いまどきのこどもたちは、ピンとこないかもなあ。。
    少なくとも40歳以上、すこし人生のしんどさを胸に抱えてる、そしてちゃんと親に感謝の心をもってる層、に、オススメです。ほんとうにつらいひとは、こんないい子いいひとたちばかりじゃない現実をおいといて読めないときは、違う意味で虚しくなるかも。直樹と杏奈の父娘の関係ですら、ちょっとファンタジーなくらい良好で、こういう関係であれたらいいなとおもう。

  • 人生の中で最高の時
    人生が終わりを告げる時思い浮かべるのだろうか?
    重松作品としては少し物足りなく感じた。

  • 面白くなくてびっくり

    赤旗の新聞に掲載していたと知り、納得

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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