ナニカトナニカ

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 31
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104310043

作品紹介・あらすじ

独創的な言葉と、刺戟的なヴィジュアル。撮りおろし写真満載の豪華エッセイ集。ヴェネチア、カッセル、シンガポール、光州、ロンドン――。宇和島を拠点にアートの都を駆け巡り、雑踏の片隅に埋もれた「ナニカ」を網膜に焼き付け、誰も見たことのない「ナニカ」を生み出す圧倒的想像力! その源泉はどこから来るのか? 言葉の軌跡とカメラの視線で、この5年間に駆り立てられた衝動をたどる最新エッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • 無意識の層
     何も考えずドンドン上に貼ることを淡々と繰り返せ。
     気に入らなかったら破り取れ。破り取ったらそれを貼れ。

    何でもいいからやる
     徹底的に前向きで一途な思い込み 予期せぬ流れを生む

    きっかけ
     起きることを信じて続ける きっかけは些細な出来事

    理想の絵
     ゴミ収集人がこれはゴミだと一寸の躊躇もなく収取車に放り込んでしまうような絵

    既にそこにあるもの 以降の言葉 ナニカトナニカ
     既にある二つ以上複数のモノや事象、
     それらが合体した結果生じる痕跡や質感、記憶や時間

    五年分のひとりごと 

  • 大竹伸朗のエッセイ集。2013年-2018年のエッセイがまとめられており、後半は海外での展示や制作にまつわる話が多くてコロナ禍の今読むとその「路上」の空気がパックされていて平時に読むよりもグッときた。現代芸術家の人が普段どういったことを考えながら作品を生み出しているか知れて勉強になった。「既にそこにあるもの」や「見えない音、聴こえない絵」といった過去作でも好きだったところはパンチラインの多さ。大竹氏の言葉は抽象的なので自分ごとに置き換えやすいし、落ち着いた文章で静かに語っている文体なのでスッと心に入ってくる。アート思考なるものが巷を賑わせていると聞くけども、そういうパッケージをされてしまうと引いてしまう人にオススメしたい。
    僕が読んで特に感じたのはジェントリフィケーションに対して抗う気持ち。過剰にキレイなものにされていく世界において少し道を逸れたその先にある「路上」こそアートの出発点だという話に納得した。何気ない風景に1人で興奮することって日常でよくあると思うのだけど、多くの人にとってそれはいつの間にか通り過ぎていく。しかし芸術家はその瞬間をなんとか捉えようとする。この姿勢がクリエイティビティの源なんだろうなと感じた。それが一番端的に伝わってくる文章を引用しておく。

    「自分が強く欲する何か」は、一番厄介な状況の中でこちらを挑発するかのように無情に通り過ぎていく。それを手に入れるまでの過程、決して手に入れることの出来ない「残像」と「理不尽な作用」の関係。そこには創作に関わる共通項がある。
     心の中に浮遊し続ける正体不明の「残像」はいつも次の作品を理不尽に引き寄せる。

  • 2013年7月から2018年4月まで。宇和島、ヴェネチア、女木島、ロンドン、iPad、シンガポール、東京、豊島。

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著者プロフィール

大竹伸朗(おおたけ・しんろう)
画家。1955年東京生まれ。74年~80年にかけて北海道、英国、香港に滞在。79年初作品発表。82年以降、東京、香川、広島、ソウル、ロンドン、シンガポールにて個展。瀬戸内国際芸術祭、光州ビエンナーレ、ドクメンタ、ヴェネチア・ビエンナーレ、横浜トリエンナーレ、アジア・パシフィック・トリエンナーレ、ハワイ・トリエンナーレなど国内外の企画展に参加。著書に、『既にそこにあるもの』『ネオンと絵具箱』(ちくま文庫)、『ビ』『ナニカトナニカ』(新潮社)ほか多数。2022年11月に東京国立近代美術館で回顧展を予定。

「2022年 『見えない音、聴こえない絵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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