虚像 下: 驕りの代償

著者 :
  • 新潮社
3.25
  • (3)
  • (10)
  • (21)
  • (6)
  • (0)
本棚登録 : 116
感想 : 10
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104547050

作品紹介・あらすじ

市場に走る激震、信用は低下、株価の急落。リスク回避のため、容赦なき債権回収に奔走する一方、投資ファンドと癒着、竹井金融相と巨額の出来レースを仕組んでいくが…。そこに、日本経済を揺るがす未曾有の「乱気流」が襲った!株価暴落、格付の引き下げ、経営破綻の危機…。辣腕実業家の「虚ろな野望」を抉る、渾身の上下巻。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • オリックスを題材にいた小説。

    リーマンショック時代の経済の流れが綿密な取材を基にして描かれている。

  • 相変わらず最後が唐突過ぎ。
    高杉小説を読む時は覚悟しなければならない。

  • 先日読んだ、格付け機関の経済小説よりは格段に面白い。上巻が下巻より面白かった。時間つぶしにもってこいであったが、再読はないだろうね。
    こういう小説の読み方はどう読めばよいのだろうか。具体的な企業、人は完全に連想できるが、フィクションであり実名でない以上作者の想像が含まれているのだろうが、そのリアリティに作者の力量がでるのであろう。本作品は、とくに下巻において不完全燃焼を感じた。

  • 尊敬できる上司やトップとめぐり逢えた井岡はなんとしても恵まれていたとは思います。本人の実力はもちろん企業戦士は常に闘い続けねば生き残れません。でもこれでいいのでしょうか。サラリーマンもエリートもつらい世の中ですね。

  • 日本の最高権力、とまで言われていた加藤噯一郎が、サブプライム問題の前に全くなす術無く、老害になっていく様が描かれている。
    終わり方も非常に中途半端な感が拭えない。簡保のやどの総務大臣の介入の下りは興味深かった。

  • 若干8年ほどだけど、商社で、偉い人たちの移り変わりを見てきたので、企業の人事のしがらみや哀愁はなんとなく、ピンとくる。だから息子に、サラリーマンでなくて誰にでもはできない必要とされる資格を身につけなさい!と言いたくなる。たいへんなのはどんな仕事も一緒だろうけれども、ならば自分の力で勝負できる世界にいなくちゃあ。親の欲張りかな?

  • 井岡の活躍は本書の中心だが,ごますり野郎の広瀬,カリスマトップの加藤のような人はどこの会社にもいると思います.でも立花のような信頼出来る人がいることで井岡も力が発揮できるのでしょう.証券化等の経済用語が頻出していてやや理解できない所もあったが,企業小説として面白く読めた.

  • 金への執着

  • 【虚像】 高杉良さん

    オリックスをモデルにした経済小説。

    行動力があり、押しが強く、政治力にも長けている
    ワンマン社長の加藤。

    その加藤に仕え、一介のノンバンクだったワールド
    ファイナンスを巨大なコングロマリットへと成長させる
    一翼をになった井岡堅固。

    大泉首相と竹井経済相が推し進める規制緩和と強引な
    不良債権処理でワールドファイナンスは巨額の富を得た。

    留まるコトを知らない拡大路線を辿るワールドファイナンス
    と加藤。

    加藤の飽くなき欲望に多少の嫌悪感を持ちつつも
    卓越した経営能力と判断能力に感服する井岡。

    しかし米国発のサブプライムローン問題が、発展を続ける
    ワールドファイナンスの頭上にも降りかかってきた。

    サブプライムローン問題を「対岸の火事」とみなし、
    さらに拡大路線を突き進もうとする加藤。

    だが、拡大路線をとりすぎたワールドファイナンスは、
    資金調達が困難になりつつあった。



    登場人物が現実の人物をモチーフに書かれています。
    わたしは経済には詳しくないですが、書いてあることは
    そのまま現実に当てはまるようです。

    1990年からの経済をよく知っている人には
    より以上に面白く読めるかもわかりません。

    「不良債権処理」という言葉はよく聞きましたが、
    どういう流れで債権回収会社へ渡ったかよくわかりました。

    金融庁の監理のないノンバンクは引当金を積み立てる
    必要が無いので銀行の債権を買い叩いたんですね。

    そして、コングロマリットの強みを生かし、
    グループ会社で再開発を行う。

    大企業の一社独占ではなく、昔のように小さな工務店や
    左官屋さんなど、末端にまで仕事が行くような仕組みを
    為政者には考えてもらいたいと思います。

     

  • オリックスがモデルの企業小説。ほとんど実名が想像できる。高杉良だからかなり真実なのだろう。オリックスなんてあまり気にしたことなかったけど、調べたら、S39年に3商社と5銀行により設立された「オリエント・リース」に源を発する「多角的金融サービス業」。連結子会社が730社、総資産8兆、純利益700億。「虚像」といタイトルからは想像できない企業実績を上げ続けているし、オリックスバファローズも手放していないし、、、まぁ、勉強にはなった訳だが。反面調査のため、登場する日本郵政の北山社長(元三井住友BKの西川頭取)の「ラストバンカー」も読んでみよう。

全10件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1939年東京生まれ。専門誌記者や編集長を務める傍ら小説を書き、75年『虚構の城』でデビュー。83年、退職し作家に専念。緻密な取材に基づく企業・経済小説の問題作を次々に発表する。代表作は『小説日本興業銀行』『小説ザ・外資』の他『金融腐蝕列島』シリーズ全5部作など。

「2023年 『転職』 で使われていた紹介文から引用しています。」

高杉良の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×