みんな元気。

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 541
感想 : 97
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104580026

作品紹介・あらすじ

空飛ぶ一家と家族の交換。額に書かれた自分の名前。バットでボコボコ僕のプリウス。学校襲撃絶対ノンノン!夢と嘘と優しさと愛と憎しみと悲しみと平和と暴力。どうして目に見えないものばかりが世界に満ちているのだろう?

感想・レビュー・書評

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  • 数年前に舞城王太郎と出会ってから、その表現の自由さにすっかり魅了されてしまいました。
    芥川賞候補になった「好き好き大好き愛してる」も、名作なのですが、最も印象に残っているのは、この作品です。
    内容は、小学校六年生の私が体験する“複数の過去と複数の未来”を、家族関係を中心に展開する物語。
    過去・現在・未来、そしてあったかもしれないもう一つの過去や、起こるかもしれないいくつもの未来を通して自己を確認するという壮大な物語を、家族関係+αで表現しています。
    特に主人公の私が、ベッドで体験する“もうひとつの可能性”は、かなり官能的で悲しかったりします。

    「お互いが好きだったらこうなるっていう、過程の話だろう?恋愛のことって。前提がなくなったら、起こったことだけが残って、起こった理由とか根拠とかなくなってるから、すごい宙ぶらりんな感じなんだよ」

  • ・よく分かりませんでした!
    ・しかし最後まで楽しく読んでしまうのが舞城作品の不思議です
    ・スクールアタックシンドロームが主題も見えやすくて気に入りました
    ・登場する家族はみんな素敵ですね

  • 収録作は「みんな元気。」「Dead for Good」「我が家のトトロ」「矢を止める五羽の梔鳥」「スクールアタック・シンドローム」の5作品。全作好き。ただ、過去の舞城王太郎作品と比較しても、小説という枠組みからの逸脱が激しくかなり挑戦的なので、この短編集から舞城王太郎を入門するのはあまりおすすめできない。
    起承転結の崩壊は収録作に共通するテーマだろう。過去にも舞城作品ではしばしば主人公の心情が優先され、主語と述語の対応が崩れたり、一文が何行にも渡るなどの表現がみられたが、それらは大概が文節単位だったし、逸脱しても作品全体ではある程度のまとまりをもって理解できるものだった。本作においては主人公の心情が全てにおいて優先されるため、"物語"よりも優先される。時系列は主人公の気持ちがもっとも必要とする順番で語られるため、飛んだり跳ねたりする。いきなり物語のリアリティラインが変わったり、最初の方で話題にしていた事件が最後では全く触れられなかったりする。小説の語りが逸脱すると、瞬間に理性からも逸脱できたような気分になれるので、個人的には悪くなく思う。
    特に「矢を止める五羽の梔鳥」は脈略なく(JDCトリビュート的な)言葉遊びが始まったそのまま終わったりもする。ここに至って、もはや小説なのか現代詩なのかわからないところまで来ていて、同じように感情を現代詩の方向から追い求めた最果タヒ作品とも通じるようなテイストになっているのは面白い。

    舞城王太郎作品を今発売順に読んできているけれど、ここ数作品、つまり『九十九十九』『好き好き大好き超愛してる。』『みんな元気。』で、また一つ違う次元に突入してきているように感じる。当然個人差もあると思うが、初期の作品よりも2周りくらい洗練された小説になってきている。まだまだ舞城王太郎の作品で未読のものが多いのがとても幸せなことだと思う。

  • 再読。表題作の「みんな元気。」は、女の子目線で、舞城の女の子目線は性別を越えた感覚になるので、読んでいて気持ちがいい。
    「我が家のトトロ」は、インパクトがあったため、再読する前から内容を覚えていた。レスカ。

  • 「みんな元気」130p★ 心地悪い。
    「Dead for good」18p★ 短い。
    「矢を止める五羽の梔鳥」18p★ 微妙。
    「我が家のトトロ」56p★★★★ 良好。
    「スクールアタック・シンドローム」58p★★★ 険悪。

  • すみません、私には無理だった。

    時系列もめちゃくちゃな支離滅裂な文章にしか思えず、途中でギブアップしました。

    竜巻が来て妹が他人と交換され、寝ると宙に浮く姉がいて…。設定は悪くないんですが、推敲出来てない文章力読まされてる感じでした。

    う~、クラクラ。

  • 短編集です。
    「みんな元気。」、「Dead for Good」、「矢を止める五羽の梔鳥」の
    3つの短編からなっているのですが、なんていうか…配分が。。。
    ほぼ「みんな元気。」。
    90%が「みんな元気。」。

    相変わらず飛んでるなぁ、って感じの小説。
    や、舞城王太郎はとても好きだから、イイ意味で。

    舞城王太郎のすごいのは、やっぱり文章。
    句読点が適切じゃないのに(読点はやたら少ないし)、正しい日本語とはかけ離れてるのに(やたら口語的だし)。
    むしろ、句読点が適切じゃないからこそ、正しい日本語からかけ離れてるからこそ、のスピード感とリアル感(←リアリティではない)。

    ストーリーは、あたしにとってはよくわかんないものも多いのだけど(現実と空想を行ったり来たりな感じで、その区別がはっきりしないから、イマイチよくわからない)、それでも飽きさせない、ってとこがすごい。
    なんか、勢いだけで乗り切っちゃえる、というか、勢いこそ味わえ、的な。

    3編の中では「Dead for Good」が一番好きです。
    …言い換えれば、これしか内容がちゃんと理解できなかった、とも言える。

    「みんな元気。」は、あんまりよくわかんないなりに、けっこう考えさせられます。

    最近、赤ちゃんポストが出来て、家族とは何か、ってことをよく友達と話すのだけど。
    入れ替え可能、交換可能な家族って、「家族」として存在・維持することができるのかなぁ…。
    あたしの理解だと、家族って、長期的にコミュニケーション的期待が見込める関係性って感じなのだけど、いつ入れ替えられるか、いつ交換されるかわからない関係が、家族としてシステムを維持していくことはできるのか?
    できるとすれば、どのようにできるのか?
    というか、そんなことができるとすれば、それはそもそも「家族」ではないのではないか?
    などなど。

    む〜…。
    よくわかんない。
    難しい。

  • しっちゃかめっちゃかな世界観である。読みにくいと言えば読みにくい。途中で読むのを放棄しようかと何度か考えたが、最後まで読みきった。物語があっちこっちに行くので追いかけることに必死になる。頭を使う本だった。

  • 主に家族の関係を主題にした短編集。よく分からない話でも妙な説得力を持っている。力技で納得させられてしまうというか。読む力を試される作家だと思う。表題作は分からないと言うかまあどうでもいいが、『我が家のトトロ』がほのぼのして良かった。直接的な暴力という形ではないが、内外で生じるいろんな力により絆を試されるような出来事がいくつかある。『トトロ』を知らない日本人がいるかどうかは分からないが、そういう人にもある程度の説得力はありそうな『普通』の家族の話。一転殺伐とした『スクールアタック・シンドローム』でも家族の絆が描かれる。こんな父親イヤだが、強烈に何かを残せるのはこういうタイプなのだろう。それが悪い方に行かなければ成功だ。
    それにしても福井県はおそろしいところだなあ。

  • 「みんな元気」
    透明魔人って、何なんだろうな~と読みながら考える。
    凄く不安になるけど、人生ってそういうものと戦いながら、
    生きなきゃならんのかな~とか、思いつつ、
    最後の腕を伸ばす場面で、すっきりとしてしまう。
    「この世の全ては偶然と必然が同時に作用してるって知ってた?」
    という台詞が、ディスコの世界みたいでドキっとした。

    「スクールアタックシンドローム」
    暗病院終了が出てきたり、おもしろい。
    作品群の中で一番読み易いと思った。
    凄く好き。ディスコをもう一度読みたくなるね。

    「我が家のトトロ」
    読んでいて辛い。好きだけど辛い。
    自分も頑張ればなんとかなる!とか、思っちゃう。
    そういう気持ちでずっと生きていけたらいいのにね。

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著者プロフィール

1973年福井県生まれ。2001年『煙か土か食い物』でメフィスト賞を受賞しデビュー。2003年『阿修羅ガール』で第16回三島由紀夫賞を受賞。『熊の場所』『九十九十九』『好き好き大好き超愛してる。』『ディスコ探偵水曜日』『短篇五芒星』『キミトピア』『淵の王』など著書多数。2012年『ジョジョの奇妙な冒険』(荒木飛呂彦著)の25周年に際して『JORGE JOESTAR』を刊行。近年は小説に留まらず、『バイオーグ・トリニティ』(漫画・大暮維人)の原作、トム・ジョーンズ『コールド・スナップ』の翻訳、短編映画『BREAK』や短編アニメ『龍の歯医者』『ハンマーヘッド』の原案、脚本、監督などを手掛けている。

「2015年 『深夜百太郎 入口』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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