東京島

著者 :
  • 新潮社
2.92
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本棚登録 : 2124
感想 : 449
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  • Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104667024

作品紹介・あらすじ

32人が流れ着いた太平洋の涯の島に、女は清子ひとりだけ。いつまで待っても、助けの船は来ず、いつしか皆は島をトウキョウ島と呼ぶようになる。果たして、ここは地獄か、楽園か?いつか脱出できるのか-。食欲と性欲と感情を剥き出しに、生にすがりつく人間たちの極限状態を容赦なく描き、読者の手を止めさせない傑作長篇誕生。

感想・レビュー・書評

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  • 章が変わると登場人物の思考や行動が変わるので、長編ではなく連載だったのかな?という印象。
    ワクワクして止まらないというより、最後がどうなるのか気になる、という感じで読み進めた。
    予想を裏切る展開で、最後はそう来るかと唸らされた。
    作者が自分で作った世界だから、どう閉じても自由だもんね。
    子どもがそれなりに幸せを感じているようだったから、胸糞悪い終わり方でなかったのは良かった。
    主人公の清子(きよこ)が同年代だった。ヒロインは若くて美人がお決まりなのに、中年なのが桐野夏生さんっぽい。
    「OUT」で初めて桐野夏生さんに会い「だから荒野」ですっかりファンになったのだけど、今作は男性の描写も細かい。

  • 特殊な設定の物語でした。栄枯盛衰が激しく、戦国時代の様相を呈していました。

  • 実話をモチーフにしているとはいえ、こういった特異な状況設定に読者を引き込むには登場人物のキャラを深く掘り下げ、いかにストーリーにリアリティを持たせるかが鍵になる。作者はその点で健闘されたとは思うがやはり自分は些かの白々さを感じずにはいられなかった。決して失敗作ではないが大きく評価の分かれる作品だと思う。

  • 極限状態に陥るとその人の本性が、人間性が、こんなにも濃く出てくるのだなと。
    読んでいて、苦しくなる。いつか助けが来るのではと一気に読んだ。

    生き抜くために、狩りをする、趣味をつくる、媚びる、様々な方法を見つける彼ら。
    今の自分が感じている苦悩なんて、ちっぽけに思えた。
    私たちの周りにある、当たり前に手にできる幸せが、彼らにとって、喉から手が出るほど、夢に出てくるほどのものなんだなと。

    東京島が、今後どうなっていくのか、気になる。

  • 20210815読了
    #島

  • 読んだ直後は星4だったのか。
    映画も見て、今でも印象深いので5に変更。
    近いうちにまた読みたい

  • 昨今の美魔女ブームとかと照らし合わせながら読むと、よりおもしろいかもしれないね。

  • 極限状態に置かれたときに人はどこまでもあさましくなるというお話

  • 無人島に漂着した31人の男と1人の女・清子。
    いつまで待っても助けの船は来ず、いつしか皆は島をトウキョウ島と呼ぶようになる。

    島には食糧は十分にあり気候も良い。
    サバイバルものではなく、文化的な生活から遠ざかり、未来が見えない中、どう生きていくか、というような話かと思う。衰弱していくもの、気が狂うもの、たくましく生きるもの。

    清子は40半ばであるが、たった一人の女と言うことで大事にされ、女という異物があるがために均衡が保たれてもいる。
    浅はかなるも状況に応じて対応していく清子のたくましさ。
    映画のほうが面白かった。
    (図書館)

  • 建国時ってこんな感じなのかなぁ?

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著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。1993年『顔に降りかかる雨』で「江戸川乱歩賞」、98年『OUT』で「日本推理作家協会賞」、99年『柔らかな頬』で「直木賞」、03年『グロテスク』で「泉鏡花文学賞」、04年『残虐記』で「柴田錬三郎賞」、05年『魂萌え!』で「婦人公論文芸賞」、08年『東京島』で「谷崎潤一郎賞」、09年『女神記』で「紫式部文学賞」、10年・11年『ナニカアル』で、「島清恋愛文学賞」「読売文学賞」をW受賞する。15年「紫綬褒章」を受章、21年「早稲田大学坪内逍遥大賞」を受賞。23年『燕は戻ってこない』で、「毎日芸術賞」「吉川英治文学賞」の2賞を受賞する。日本ペンクラブ会長を務める。

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