巨大独占 NTTの宿罪

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104698011

作品紹介・あらすじ

民営化後約二十年、依然として電電公社時代の体質が色濃いNTT。だが、ITが国の生命線となっている現在、通信分野での非効率や遅滞は、経済・産業の衰退に直結していることを忘れてはならない。独占に固執し、独占を武器に日本トップクラスの売上げ・収益を誇るまでになったNTTは、いまや日本経済を脅かす存在なのである。日本を蝕む巨大独占の実態とその弊害をレポート。

感想・レビュー・書評

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  • NTTがいかに強い巨大企業であるのかがよくわかる。
    政治家とのパイプが強かったのもわかる。現在NTTコミュニケーションの社長有馬さんが暗躍していたことが書かれているが、現在では誰がやっているのだろうか。

  •  NTT批判本である。NTTのように公的な性質を持つ民間企業はよく批判の対象として取り上げられるが、この本も例に漏れずと言う感じがする。NTTが現在のような形になった理由や、族議員の主張などが取り上げられており、NTT批判の典型的な形を理解することができたように思う。
     NTTが通信業界で独占的な地位を持っていることや、新電電がなかなかシェアをとることができないという事実があり、それによって通信業界の発展に問題があることも事実だとは思う。しかし、NTT批判の主張の一例としてある、JRのようにNTTを地域別に分割すればよい主張は乱暴だと思う。現在の収益構造を考えると、NTT東では接続料の値下げができる、NTT西でも接続料を上げる必要はない、という主張も無理がある。東海・近畿よりも、東北・北海道の方が料金が安くなるという事が競争の原理に乗っ取っているといえるのだろうか。それが通信サービスの利用者の利益に繋がるのだろうか。
     この本を読んでいると、結局、NTT批判をしている人たちも利用者の事を考えていないように思われる。利用者や国民にとって何が利益なのかを考えて、問題解決に対する提言をして欲しいものだと感じた。

  • 他の民営化がどうなってるのか知りたかったので読む。
    リクルート事件なんかで名をはせた新聞記者の本らしく、政治的なパワーゲームの話がメイン。民営化にもかかわらず国営体質を保ち続けるNTTへの批判、「健全な市場」のあるべき姿を説く。
    アメリカ市場を手本にすべきとしており、よく事例に挙がる。ここでの言及は電子通信業にとどまるものだが、アメリカ郵政が国営であることについてどう考えているのだろうか。政策提言として通信設備の再国有化を挙げていることからも興味深い。また筆者は市場原理主義の立場をとっていることから、今の状況にどうこたえるのかも気になるところだ。
    筆者のコンプライアンスや情報公開への批判に応えることは、市場原理主義云々抜きに国の大きな課題であろう。我が回線フレッツの値下げも。

  • このまま行けば次世代通信手段のNTT独占が完成する。諸外国より高い通信料を払うことになる、われわれ消費者に出来ることは、製品を買わないことだけだ。立ち読みして恐ろしくなった

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著者プロフィール

町田 徹(まちだ・てつ)
 経済ジャーナリスト、ノンフィクション作家。1960年大阪府生まれ。
 神戸商科大学(現兵庫県立大学)商経学部経済学科を卒業。米ペンシルバニア大学ウォートンスクールに日本経済新聞社より社費留学。甲南大学マネジメント創造学部非常勤講師。
 日本経済新聞記者、雑誌編集者を経て、独立。著作活動を軸に、雑誌への寄稿や講演活動も手掛けている。
「日興コーディアル証券『封印されたスキャンダル』」(月刊現代二〇〇六年二月号)で二〇〇七年「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」大賞。
著書に「JAL再建の真実」(二〇一二年 講談社現代新書)、「東電国有化の罠」(二〇一二年 ちくま新書)、「日本郵政 解き放たれた『巨人』」(二〇〇五年 日本経済新聞社)、「巨大独占 NTTの宿罪」(二〇〇四年 新潮社)ほか。

「2013年 『行人坂の魔物――みずほ銀行とハゲタカ・ファンドに取り憑いた「呪縛」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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