さようならウサギ 2 (新潮・現代世界の文学)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105001155

作品紹介・あらすじ

トヨタ自動車の代理店を息子ネルソンに譲り、悠々自適の生活を送っているウサギの姿が描かれている。悠々自適といっても心配の種がないわけではない。ネルソンがドラッグに手を出し、莫大な借金を作ってしまうし、妻のジャニスは外に働きに出たいと言いだす始末。自分自身は心臓に持病を抱えている。女体遍歴に終始したウサギの生涯を飾る最後の輝かしい瞬間は、周囲の状況にたいする絶望から、自暴自棄になった嫁のプルーとのたった一回の情事だった…。「金持になったウサギ」に続いて、シリーズとしては初めて、ピューリッツァー賞連続受賞。

感想・レビュー・書評

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  • ウサギのさらなる10年後の最終章。わわたしはこのころ、孫のジュディと同い年。彼の年齢はいまのわたしをとっくにとおりこしていた。なにもかもに眩しくて、すべてに死と喪失感がまとわりついているように、ウサギはおもっている。
    「実際、われわれはみんな屑なのだ。われわれを引き上げて、天使にしてくれる神様がいなければ、みんな屑なのだ」
    40年間の、街と世界と自分自身の変化。通り過ぎていった女たち。まるでわたしもそこに住んでいたかのような郷愁をよびおこされ、いままでのひっそりとあった罪悪感や悔恨も彼らのそれらとともに浄化されたようなここちがした。
    「おれに言えることは、そんなに悪くないということだけだ」
    って、あなたはまっさらな気持ちで、愛を呟いたから。

    アップダイクはあとがきでのべている。
    『春、夏、秋、冬、一年と同じように人生にも四季がある』。人生の四部作。アメリカ人のある普遍的な男の半世紀ものあゆみと言葉たちが、じんわりと胸にしみてゆく。いい小説だった。助兵衛も貶しもその素直さ(アップダイクがすきな理由のひとつ)もふくめて、ぜんぶ。
    死というゴール間近になっても、ユーモアをもちつづけていられるようなばあさんに、わたしもなりたい。憎まれたり愛されたりする子も孫もいないけれど、じぶんのことがわからなくなるまで笑って生きたい。

  • 面白かったです。
    また借りようと思います。

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