土曜日 (Shinchosha CREST BOOKS)

  • 新潮社
3.57
  • (13)
  • (30)
  • (33)
  • (5)
  • (2)
本棚登録 : 293
感想 : 29
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105900632

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  脳神経外科医のヘンリー・ペロウンが夜明けの数時間前に目を覚ましたとき,身体はすでに活動を開始している。ベッドに起き上がった姿勢でシーツを押しのけ,立ち上がろうとしているのだ。いつから意識があったのかは定かでないが,それはたいした問題とも思われない。こんなことは初めてなのだが,そのことには驚愕どころか軽い驚きさえなくて,動作は軽く,四肢が愉快であり,背中や脚はひどく力に満ちているようだ。ベッドのそばに裸で立ちーー寝るときはいつも裸だーーしゃきっと背を伸ばしつつ,妻のひそやかな息づかいと,膚に触れる冬の寝室の空気を感じている。これもまた愉しい感覚だ。ベッドサイドの時計は四時半をさしている。
    (本文p.5)

    ※ひとこと※
    土曜日の午前4時半から,一日の終わりまでを描いた小説。幸せそのものに見える日常生活に,じわじわと不穏な影が近づく。

  • 帰省した時に購入予定

  • イアン・マキューアンは初めて読んだ。この手の内省的な小説はあまり好みではないのだが、意外にスンナリと入ってきたような読後感。主人公のペウロンは脳外科医としての仕事はうまくいっており、理想的な家庭にも恵まれている。ある土曜日、火を噴きながら着陸する飛行機、イラク戦争反対のデモ行進、痴呆で施設入所中の母などを見ながら、自分と家族にこれらがもたらす危険をつらつらと(これが長い)考える。未来の可能性を恐れ、これに備える性向は、職業上は役に立っているが、老いによる衰えを自覚するにつれ、御しがたい雰囲気を醸し出してゆく。家族がそろっての晩餐にやってきた押し込み強盗を辛くも撃退し、救急車で運ばれた犯人の手術を無事終え、妻とのベッドの中で、長かった一日を安らかに終える。■あまり説得力は感じられない。けれども、概して人間は信じるように傾くものだ。そして、間違っていたと証明されたときには、見解を変える。あるいは信仰を持って、信じ続ける。■なんと幸運なことだろう、自分の愛する女が自分の妻でもあるというのは。■ヘンリーにとっては、これもなじみの要素だ。眼に見えないものの恐怖。安全な距離から目撃する惨事。■何事にも、大した意味はないのだ。自分を悩ませていた事柄はすべて平穏に解決された。

  • 何が評価されてるのか分からない本
    上手くいきすぎー

全29件中 21 - 29件を表示

著者プロフィール

イアン・マキューアン1948年英国ハンプシャー生まれ。75年デビュー作『最初の恋、最後の儀式』でサマセット・モーム賞受賞後、現代イギリス文学を代表する小説家として不動の地位を保つ。『セメント・ガーデン』『イノセント』、『アムステルダム』『贖罪』『恋するアダム』等邦訳多数。

「2023年 『夢みるピーターの七つの冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

イアン・マキューアンの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
コーマック・マッ...
ベルンハルト シ...
村上 春樹
イアン マキュー...
リチャード パワ...
カート ヴォネガ...
リュドミラ ウリ...
イアン・マキュー...
カズオ イシグロ
イアン マキュー...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×