運命と復讐 (Shinchosha CREST BOOKS)

  • 新潮社
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (527ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105901417

作品紹介・あらすじ

結婚という名の壮大な悲喜劇を描くオバマ前大統領も絶賛の全米話題作! 電撃的な出会いで結婚した、売れない俳優ロットと美貌のマチルド。純真な妻に支えられた夫はやがて脚本家として成功し、それは幸せに満ちた人生のはずだった――妻のいまわしき秘密を知るまでは。家族の愛は夫婦の噓に勝てるのか? 巧みなプロットと古典劇の文学性を併せ持ち、全米図書賞候補にもなった圧巻の大河恋愛小説!

感想・レビュー・書評

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  • 激しい怒りを抱えて生きるマチルド。痛みを感じることを引き受けて生きていく覚悟にいたるまで。
    復讐の連鎖を止めることこそ最大の復讐だ的なことをおもった。

  • 普通におもしろかった!
    マチルダの幼少期の出来事が、彼女の人生に大きく影響していて、屈折した性格になってしまったが、ロットと出会ってからはロット一筋で、彼をサポートし、献身的に尽くしてきた。素晴らしい女性だと思う!!
    ロットもマチルダと出会ってからは、心入れ替えて、しっかり仕事をし、マチルダを愛しており、素晴らしいと思った。
    エリアルと、チョリーが最低だと思った。
    チョリーが妹のためにしたことなんだと思ったら、なんか辛くなった。
    エリアルは最悪。

  • 誰一人として感情移入できず。女性が主体性を奪還する、フェミニズム的逆転劇でもあるのかと思ったがそんなこともなかった。

  • 期待通り、いや、それ以上。
    もう一度、答え合わせのように、最初から第1部の夫の章を読み直したい。
    後半で明かされる妻の秘密、過去。
    結婚、親子関係。愛。怒り。
    物事の相克性。光の当て方で、その事実は真反対の意味を帯びるということ。まるで舞台を観ているかのような。

    第2部からが圧倒的におもしろく、妻視点の独白があまりにも暗くて知りたくないけど知りたい、という気にさせられちゃってグイグイ読んじゃう。
    それでも、ほんの僅かの人にしか心を開かなかった妻マチルドは、夫を確かに愛していて、充実した人生だった。ひとりでも生きていける人が、心を開き、人と関わりを持っていくことは、自分の世界を掛け算のように増やしていく事なんだとも思えた。


    シェイクスピアの引用も多くて古典への興味も広がるし、恋愛、結婚、親子関係、女性の生きづらさなどさまざまなテーマがあって読む人やタイミングにより感想が変化しそう。
    これは、数回読むことでさらに味わい深くなるスルメ本です。


    オバマ前大統領もリコメンド、アメリカのAmazonベストブックにも選出され、かなり評価の高い本のようです。オバマ氏の推し本、クオリティ高くて他のリコメンドも気になります!

  • 裕福な家庭に育ったロット、誰からも愛され女の子にももてて、華やかな学生生活をエンジョイしていた。大学最終学年、美しく他を寄せ付けないベールをまとったマチルドと出会い、恋に落ちる。卒業と同時に結婚。学生時代は演劇で花形だったが、役者としては芽の出ないロット。マチルドとの結婚を母親に反対され、資金援助も受けられず苦しい生活が続くが、堅実なマチルドの支えでやがて脚本家として認められていく。だが、富と名声と妻の愛で幸せの絶頂にあるロットは、妻の隠された過去を知り愕然とする。そして、心の整理のつかぬまま、急死してしまう。
    第2部は、マチルドの視線で描かれる。突然のロットの死。そして次第に明かされていくマチルドの過去。一人復讐に走るマチルドに突き付けられる別の真実。ロットを失った喪失感と復讐心、そうしてマチルドは年を取っていく。

    第1部は、ロットの若気の至り(で済まされるのか?)の数々と、マチルドへの純真な愛(sexは必需)。そして知ったマチルドの秘密。
    第2部は、マチルドの過去・現在が交互に書かれ、少しづつ真相に近づいていく。

    とにかく、ロットはどんだけヤンチャなおぼっちゃまなのかあきれる。後半は、マチルドのしたたかさに恐ろしささえ感じつつも、目が離せなくなる。1部の破天荒ありきの第2部。なかなか面白い構成だった。

  • 二部構成で描くある夫婦の物語。一部は夫側から、二部は妻側から見た結婚生活が描かれる。
    レビューなどを読んでいて何となく一部で書かれていたことが、二部では実は全く違っていてさあ大変!という「後でびっくり」の要素があるのだと思い、
    それがとんでもなく大きな「びっくり」に違いないと勝手に期待しすぎてしまった。
    要はものすごい大どんでん返しがあるのだと思っていたけど、そこまで大どんでん返しはなかったという。

    そんなわけで後半ちょっと肩透かしだったけれど、
    びっくり要素を抜きにしても、純粋に文芸小説として楽しく読んだ。これだけ長いのに、いやにならなかったことに驚き。
    著者が女性だから余計に結婚や子供を持つことについてわりとシビアに書かれていると思う。

  • 夫が愛したのは穢れなき妻。
    妻が愛したのは?

    という背表紙の謳い文句は嘘ではない。
    だが、ここに描かれていたのはそんな陳腐な結婚の二面性ではない。
    怒りであり、許しであり、愛情であるもの。溺れそうなまでに荒々しいそれにもみくちゃにされた人生。

  • 長編小説を読むのは久々だったけど、問題なかった。このボリュームでしか立ち上がってこない物語があるってこと、爽快な気分で思い出した。
    途中、もうこれ以上運命をあやなさなくてもいいよ…って思ったりもしたけど。不完全だけど、幸福なふたりだったよね?

  • 前半は退屈だったのに、後半の妻の生き方、最高じゃない。タイトルからの印象が裏切られたのもよかった。

  • 『ピグマリオン』(『マイ・フェア・レディ』ではなく)のイライザの結婚後を描いたのが、マチルドか。夫が意識高い系の、現実処理能力に欠けている坊っちゃん育ちのクリエイターだと、苦労を知っている分、妻は大変だ。結局マチルドのアイデンティティーはロットの妻であることだった。それにしても妻の過去を知って傷つく夫って…己は無垢とは程遠い癖に。

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著者プロフィール

1978年ニューヨーク生まれ。大学院で創作を学び、「ニューヨーカー」などで短篇を発表。2015年、長篇『運命と復讐』で全米図書賞最終候補、高い評価を得る。いまアメリカで最も期待される物語作家のひとり。

「2021年 『丸い地球のどこかの曲がり角で』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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