ルクレツィアの肖像 (新潮クレスト・ブックス)

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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105901899

作品紹介・あらすじ

優しくしてくれる夫。でも、今夜、あなたは私を殺そうとしているでしょう? 15歳で結婚し、16歳で亡くなったと、わずかな記録しかイタリア史に残されていない主人公ルクレツィア・ディ・コジモ・デ・メディチ。『ハムネット』でシェイクスピアの妻を鮮やかに蘇らせた著者が、政略結婚の末に早世した少女の「生」を力強く羽ばたかせる。スリリングな展開と大胆なラストで、イギリス文学史に残る傑作長篇小説。

感想・レビュー・書評

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  • ルクレツィア、ただひとりからみた自然や人びとの心理描写が緻密でなお美しい
    大公の夫は自分を殺そうとしてるのではないか?と15才の公爵夫人は怯える
    著書は歴史上にほんの少ししか記録のないこの女性を魅力的な作品にしている
    ルクレツィアは殺されたのか?それとも森へ走って行ったのか?自由を求めて。
    父フィレンツェ大公の地下で飼われていた不幸な美しい雌虎のような心を持つルクレツィアの物語。

  • ‘I knew I had my next book’: The shocking story that inspired Maggie O’Farrell
    https://amp.smh.com.au/culture/books/maggie-o-farrell-found-inspiration-while-phone-scrolling-20220822-p5bbr4.html

    Maggie O'Farrell | Hachette UK
    https://www.maggieofarrell.com

    マギー・オファーレル、小竹由美子/訳 『ルクレツィアの肖像』 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/book/590189/

  • 16世紀のイタリア、メディチ家の娘として生まれた主人公が、不本意な政略結婚を通して、自身の意思を貫こうとした物語。敵ばかりに囲まれた結婚生活がどんなものだったか、とても切なかった。

  • 16世紀イタリア。フィレンツェのメディチ家の娘として産まれたルクレッツィア•ディ•コジモ•デ•メディチ。史実では16歳でフェラーラ公デステ家に嫁ぐが一年余りで死去。夫に殺されたという噂もあったという。
    今作はその史実を大胆に膨らませて、名家の令嬢として生を受けたルクレッツィアが、自立心に富んでいて豊かな感性を持ち自らの頭でしっかり考えられる魅力的な女性として描かれる。彼女が家の事情で意に染まぬ結婚を強いられ、夫を愛そうとするも徐々に彼の本性に気付いていく過程がスリリングだ。満足できるほどの肉親の愛情を得られず寂しい思いをしてきた彼女が、頼りにするべき夫が自分を殺そうとしていると気づいた絶望はどれほど深かっただろう。だが絶望しつつも、このまま殺されてたまるかという闘争心を秘めるルクレッツィアの運命を知りたくて一気に読んでしまった。個人的には、ルクレッツィアが嫁入りする日に追いかけてきて別れの言葉をかけてくれた乳母との場面で、号泣してしまった。

  • 16世紀イタリアを舞台に、わずかな史実が残るのみの主人公の生涯を描きだす。時代のしがらみに苦しみながら、ルクレツィアがどのようにそれにあらがうのか,そこから色々と考えることはありそうです
    https://historia-bookreport.hatenablog.jp/entry/2023/07/09/224619

  • 面白かった!実在のメディチ家に生まれ政略結婚で侯爵夫人となったルクレツィア・ディ・コジモ・デ・メディチがモデルの小説。
    フィレンツェやフェラーラなど今も存在する地名が出てくる。イタリア史には詳しくないので小説を読み終わった後にルクレツィアが幼少期住んでいた宮殿がフィレンツェの一大観光スポットになっているのを知って驚いた。メディチ家の栄華たるやものすごい。
    宮殿の地下にライオンを飼っていた、というのも史実らしい。
    宮殿の華美なことや天井の宗教画など、当時の侯爵が勢力を奮っていた描写も鮮やかだし、ルクレツィアが馬車の中から、宮殿の窓から覗く外の自然や庶民の生活、表情も生き生きとしている。
    小説は連れ出されたフォルテッツァ(砦)でルクレツィアが夫が自分を殺そうとしてる、と確信するところから始まる。
    ルクレツィアが想像力豊かでしばしば自分の空想の世界に入り込むこと(それを乳母や家族からも指摘されている)、体調がすぐれない描写があることでルクレツィアも信用できない語り手(この言葉使ってみたかった)なのだけど、最後に全て明らかになって物語が急速に進むところは圧巻だった。
    それにしてもこの時代の身分の高い女性の生涯はあまりに息苦しい。

  • たとえメディチ家の大公の娘に生まれようと公爵夫人になろうと、この時代女性が生きるのはなんと過酷なことだったことだろう。特にルクレツィアのように洞察力と優れた才能を持った女性にとって。異国から無理やりイタリアの地下牢に連れてこられた虎と同じだ。その悲しみを幼いながらに感じとるルクレツィアの優しさが悲しい。
    ラスト描かれているようにアルフォンソから逃れ、自由に絵を描きながら生きたと思いたい。しかし、エミリアがやってきて以降のことはすべてルクレツィアの願望で、実際は夕食後もがき苦しんだまま亡くなったのだろう。ルクレツィアならエミリアを自分の身代わりに死なせることなど良しとしなかっただろうから。
    素晴らしい作品だった。他のマギー・オファーレルの作品も読んでみたい。

  • 発売後すぐ購入したものの、不穏な空気感が怖すぎて、ちびちびと味わっていたから、途中の場面の時系列があやふやになり、最後まで読んだのにすっきりせず。また読み直してなるほどと。こんなところに15で嫁に出させるの本当に辛い。

  • この時代の貴族女性は大変だなと改めて実感
    ルクレツィアは芸術の才能、
    周りの状況を読める洞察力がすごい
    最後みたいな幸せがあってほしい…
    アルフォンソとの会話や実の母との手紙の内容、アルフォンソの姉とのやりとりにハラハラした…

    登場人物の家系図等わからないので
    読みながら調べてはいたが、
    先に最後の著者のあとがき見ながら調べればよかったと思った

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