原田マハの印象派物語 (とんぼの本)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (127ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106022883

作品紹介・あらすじ

愛すべき愚かものたちのセブン・ストーリーズ。モネ、マネ、ドガ、ルノワール、カイユボット、セザンヌ、そしてゴッホ。光満ちあふれ、幸福な色をたたえる名画誕生の陰には、画家たちの壮絶な闘いのドラマがあった。貧しくても、どん底に落ちても、志高く新しい道を切り拓いていったそのあしあとをたどって、アート小説の名手が紡ぐ、7つの物語。モネの愛したノルマンディーへの旅も。

感想・レビュー・書評

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  • なんと贅沢な(@_@;)
    モネ、マネ、ドガ、ルノワール、カイユボット、セザンヌ、ゴッホ、印象派を代表する画家達の作品と年表、マハさんが描くそれぞれ画家達のショートショート。

    31作品目に手にしたのはマハさんの至極の一冊でした。

    <あらすじ>
    印象派の画家たちの人生と作品について、アート小説の名手である原田マハが紡ぐ7つの物語を収録した短編集です。

    第一話「モネの青」:モネがノルマンディーの海辺で出会った少女との恋と別れを描く。

    第二話「モリゾの赤」:モネの妻となったカミーユの死後、モネの家にやってきたモリゾという女性との関係を描く。

    第三話「マネの黒」:マネが自分の弟子であるモリゾと結婚したことに嫉妬した画家バジールの視点で描く。

    第四話「カサットの白」:女性画家カサットがドガとの友情と競争を通して自分の画風を確立していく様子を描く。

    第五話「ドガの灰」:ドガがバレエの舞台裏で見た少女たちの苦悩と美しさを描く。

    第六話「カイユボットの緑」:カイユボットがルノワールとセザンヌに影響を与えた画家でありながら、その才能を生かせなかった理由を描く。

    第七話「ゴッホの黄」:ゴッホが晩年に南仏で出会った少年との交流を通して、彼の孤独と情熱を描く。

    本書は、印象派の画家たちの愛と苦悩、闘いと創造を感動的に描いた作品です。



    愛すべき愚かものたちのセブン・ストーリーズ。モネ、マネ、ドガ、ルノワール、カイユボット、セザンヌ、そしてゴッホ。光満ちあふれ、幸福な色をたたえる名画誕生の陰には、画家たちの壮絶な闘いのドラマがあった。貧しくても、どん底に落ちても、志高く新しい道を切り拓いていったそのあしあとをたどって、アート小説の名手が紡ぐ、7つの物語。モネの愛したノルマンディーへの旅も。

    内容(「BOOK」データベースより)

    モネ、モリゾ、マネ、カサット、ドガ、ルノワール、カイユボット、セザンヌ、そしてゴッホ…。光満ちあふれ、幸福な色をたたえる印象派絵画の誕生の陰には、愛すべき“愚かものたち”による闘いのドラマがあった。貧困と、世評と、病とも闘いながら、志高く新しい道を切り拓いていった画家たちのあしあとをたどって、アート小説の名手が紡ぐ、7つの物語。

    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

    原田/マハ
    1962年、東京都生まれ。作家。馬里邑美術館、伊藤忠商事を経て、森美術館設立準備室勤務中の2000年、半年間ニューヨーク近代美術館に在籍。その後フリーキュレーターとして独立。2005年に「カフーを待ちわびて」で第1回日本ラブストーリー大賞受賞。2012年に『楽園のカンヴァス』(新潮社)で第25回山本周五郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • 印象派の評伝と評論そして印象派への旅の本ですね。
    原田マハさんのとても贅沢な書物です。
    印象派の画家たちの評論から始まって、9人の画家たちの評伝が物語構成で紹介されています。
    作品ももちろん思いの外楽しめますよ。
    印象派の作品は、私には今の時代でも強烈な個性を感じます。
    作家たちの生きた時代ではなおさら驚嘆の作品だったことは、原田マハさんの「いま、私たちが見ることができる印象派の作品の数々は、彼らが生きた証し。世界でいちばん美しい愚かものたちが、私たちに遺してくれたメッセージ。」との言葉で言い表されているとの思います。
    印象派の画家たちのゆかりの地への旅も興味深い。
    美術学芸員の高橋明也さんとの対談もかなり専門的で知的好奇心を揺さぶるものとなっています。
    印象派への旅は飽きることなく魅力にあふれたものとなるのは必須ですね。

  • 印象派の画家達の作品、美術館やフランス・ノルマンディー地方の写真などが多数掲載されており、眺めているだけでも楽しい一冊。

    最初は写真。
    「印象派に出会える場所」として、オランジュリー美術館・オルセー美術館・マルモッタン美術館の内部の写真は、見ているだけでワクワクする。

    次はプロローグ。
    「美しき愚かものたち」〜物語の序にかえて

    そしてショートストーリー。
    「愚かものたちのセブン・ストーリーズ」
    モネ
    モリゾとマネ
    カサットとドガ
    ルノワール
    カイユボット
    セザンヌ
    ゴッホ
     ………それぞれの短い物語。
    まるで私が、その時代その場所で、画家の人生を見ているかのような錯覚におちいる、マハさんの愛に溢れる文章。
    年表も掲載されているので、画家同士の関わった時期なども分かりやすいです。

    次は、マハさんがモネの足跡を辿る紀行文。
    「ノルマンディー紀行」
    モネが描いた実際の風景がここにある。
    素敵すぎて、いつか訪れてみたいと強く思う。

    最後は対談。
    「人生でただ一度しかない展覧会」
    三菱一号館美術館館長の髙橋明也さんと、原田マハさん。
    髙橋さんはオルセー美術館の開発準備室に在籍していたそう。
    とても興味深いお話です。
    この対談の中で展覧会の楽しみ方として、「キュレーターがどんな意図でこのテーマの展覧会をつくったのかを確かめながら観る」
    というお話があり、なるほどと思いました。
    次に美術展を観るときの楽しみが増えた!

    図書館本ですが、返すのが惜しい(笑)

    • いるかさん
      aoi-soraさん おはようございます。

      マハさんの本を何冊か読みました。
      レビューを見せていただき、この本も絶対に読みたい と思...
      aoi-soraさん おはようございます。

      マハさんの本を何冊か読みました。
      レビューを見せていただき、この本も絶対に読みたい と思いました。
      数年前 モネの家の見学に行きました。
      すごくよかったです。
      また旅行が出来るようになればいいのに。

      この本 調べてみますね。。
      ありがとうございます。。
      2022/08/25
    • aoi-soraさん
      いるかさん、こんばんは^_^

      モネの家に行ったことあるなんて!
      憧れます( ꈍᴗꈍ)
      モネの描いた風景の中に自分がいるなんて、想像...
      いるかさん、こんばんは^_^

      モネの家に行ったことあるなんて!
      憧れます( ꈍᴗꈍ)
      モネの描いた風景の中に自分がいるなんて、想像しただけでワクワクする。
      本当に、いつか行ってみたいなぁ。

      この本は、図書館で美術の棚を見ていたら、発見したの。
      素敵な本でしたよ^_^
      2022/08/25
  • マハさんは語ります。「私は、なぜだろう。印象派ーと書いただけで、ふいに涙が込み上げてくることがあるんだよ。(中略)いま、私たちが見ることができる印象派の作品の数々は、彼らが生きた証。世界でいちばん美しい愚かものたちが、私たちに遺してくれたメッセージ」

    そして「愚かものたちのセブン・ストーリーズ」と題して、「モネの物語」「ベルト・モリゾとマネの物語」「メアリー・カサットとドガの物語」「ルノワールの物語」「カイユボットの物語」「セザンヌの物語」「ゴッホの物語」まで、七つの印象派の画家たちの物語が語られます。各画家の詳しい年表と作品の写真と作品の解説付きです。

    やはり、マハさんの小説『ジヴェルニーの食卓』で読んだ、モネやドガ、『たゆたえども沈まず』のゴッホの物語に親しみを覚えました。まだ小説を読まれていらっしゃらない方は、読まれてからこの本を読まれると楽しみが倍増するかと思います。
    原田マハさんという方は、本当に絵画、印象派への愛で満ち溢れた方だと思いました。

    最後のページのオランジュリー美術館のモネの<睡蓮>の大作の写真は圧巻でした。

    パリの秋、ノルマンディーの春の景色も大変美しくて見入ってしまいました。

    ジヴェルニーの陽光に輝くモネの家の庭は、花が楚々として咲き誇りまぶしかったです。

    • まことさん
      yyさん。

      嬉しいコメントをこちらこそありがとうござ
      います。
      七冊読まれて、気に入ってくださったとのこと、本当に嬉しい限りです。...
      yyさん。

      嬉しいコメントをこちらこそありがとうござ
      います。
      七冊読まれて、気に入ってくださったとのこと、本当に嬉しい限りです。
      マハさんの小説はどれも本当に面白かったですね。『リボルバー』が早くでないかなと今、私も心待ちにしています♪
      最後にまた、もう少しお勧めしていいですか。
      マハさんのアート系の代表作『暗幕のゲルニカ』とお仕事系代表作『本日はお日柄もよく』も面白かったです。
      あとお仕事系で『総理の夫』とか女性飛行士が活躍する『翼をください』。
      ちょっと暗めの話ですが『まぐだら屋のマリア』、阪神淡路大震災の話で『翔ぶ少女』も。そして、ひとやすみには、マハさんのエッセイ『フーテンのマハ』もお勧めです。
      もしよかったら読まれてみてください♡
      2021/05/23
    • yyさん
      まことさん

      ありがとうございます。
      図書館の「原田マハ」コーナーは、いつも品薄。
      人気なのですね。
      見つけたものから、読んでいきたいと思い...
      まことさん

      ありがとうございます。
      図書館の「原田マハ」コーナーは、いつも品薄。
      人気なのですね。
      見つけたものから、読んでいきたいと思います。
      また、楽しみが増えました☆彡
      2021/05/23
    • まことさん
      yyさん。
      ちょっとたくさんお勧めしすぎたかもしれませんね。
      でも、レビュー楽しみにしています♪
      yyさん。
      ちょっとたくさんお勧めしすぎたかもしれませんね。
      でも、レビュー楽しみにしています♪
      2021/05/23
  • この本は、図書館の「一般芸術」のコーナーに並んでいました。
    「文学」の棚ではなく。
    7人の印象派の画家たちの年表と短いストーリーがついていて、
    短編集のようでもありました。
    面白いなと思ったのは、高橋明也氏(三菱一号館 美術館 館長)との対談にあった、
    原田マハさんの展覧会に対する見方です。
    展覧会は、演劇や舞台と同じようなものだとのこと。
    演出は、キュレーター。
    どの作品を主演にして、どれに助演をやってもらうか、
    というシナリオがあるのだそうです。
    いくらすごい “女優さん” を揃えたところで、シナリオの善し悪しで、
    展覧会がダメになることもあるのだとか。
    そんな風に展覧会を観たことはなかったなあ。
    目から鱗でした。

    借りて読んでしまったのだけど、この本を買うことにしました。
    面白い解説付きの画集みたいで、何度も眺めて楽しめそう。
    「楽園のカンヴァス」で、今年の3月に原田マハ作品と出会って二か月余り。
    すっかり、沼にはまってしまいました。

  • 原田マハが紡ぐ、印象派の画家たちの7つの物語。
    オールカラーの写真が華を添える。
    Episode-1 モネの物語
    Episode-2 ベルト・モリゾとマネの物語
    Episode-3 メアリー・カサットとドガの物語
    Episode-4 ルノアールの物語 Episode-5 カイユボットの物語
    Episode-6 セザンヌの物語  Episode-7 ゴッホの物語
    他に、エッセイ、紀行、対談など。主要参考文献有り。
    伝統を超え、新しいモノを生み出した画家たち。
    辛苦に耐え、風評に脅かされながら、一途に辿った道は険しい。
    様々な挫折、家族や家庭の問題、病気等にも脅かされた。
    そんな彼らの略歴と作品の画像が彩る、7つの切ない話。
    だからこそ、美しい風景や数々の絵の姿が心に沁みます。
    それ故に、更に印象派への興味が高まりました・・・特に画家たち。
    高橋明也氏(三菱一号館美術館館長)との対談も、良かったです。
    オルセー美術館やキュレーターの話は興味深いものばかり。
    展覧会に行ったら、キュレーターの意図を考えながら鑑賞する
    のも、楽しくなりそうだなぁ。

  • モネ、マネ&ベルト・モリゾ、ドガ&メアリー・カサット、ルノワール、カイユボット、セザンヌ、ゴッホのそれぞれを、事実を交えた短いストーリーと写真、見開きの年表で紹介している。
    簡潔にまとまっていて難しいことは書いておらず、とても分かりやすい。図書館で借りたけど、手元に置きたくなる。

    後ろの方はモネの足跡を辿るノルマンディーの旅紀行と、著者と高橋明也氏(三菱一号館美術館館長)によるオルセー美術館についての対談。
    オルセー美術館に行ったばかりなのでとても興味深く読んだ。でも行く前に読みたかった…!!
    展覧会の楽しみ方とかも語られているので、参考にしてみたい。

  • 印象派の七つの物語は、美しい絵と、年表と、短い物語で為されていて、非常に良い。
    見たことがあるもの、初めて見るもの、その全てに心惹かれる。
    光と陰の物語は、一瞬のうちだからこそ、強い強い光を放って、その光は100年経っても、まだ、人々を照らしている。
    一瞬を永遠にした印象派。
    愛おしい。
    昨年来日したマネの「フォリー=ベルジュールのバー」。
    ずっと見てみたいと思っていた。
    会えてうれしい。
    また、日本にくる日が来ますように。

    巻末の三菱一号館美術館館長、高橋明也氏と、著者の対談も面白い。
    その中で、クールベの「世界のはじまり」は一度見てみたい。
    でもきっと、それは教育的にどうのこうのと言う茶々が入りそうではある。
    オルセーで企画展として開催された、「マスキュラン/マスキュラン」「罪と罰」は見てみたい。
    国内開催は難しいだろうか。
    図録がどこかにあれば、見てみたい。
    2人の対談で、美術館で展覧会を観るということについて語られているが、本当にその通りで、
    「金魚」「真珠の首飾りの少女」は今でも強く印象に残っている。
    あの頭をガンと叩かれたような衝撃は、どんなに美しくても図録、インターネットサイトだけでは味わえない。
    そして、見終わった後の、なんとも言えない疲れ。
    絵にはパワーがある。
    たまにその力の前に圧倒されてしまう。

    最後に同じく対談で、『ルーヴルの人たちと食事すると、「どこにいるの?オルセー?駅員か」』(124頁)とある。
    これはフレンチジョークだが、ルーヴルの人たちは、東京ステーションギャラリーのことはなんて言うのかな、と笑ってしまった。オルセーは元駅だが、東京駅は現役(駅)だよな、と。

  • 原田マハの本を読むようになって絵画の世界に興味が出てきました。なので、入りやすそうなこの本を読んでみました。

    印象派って聞いて浮かぶのはモネの睡蓮ぐらいしかなかったんですが、色んな人がいるんですね。

    印象に残ったのは、メアリー・カサットとギュスターブ・カイユボット。

    カサットは日常の何気ない風景を切り取った感じ。普通の人は立ち止まらず、流してしまいそうな場面を描いてるのに惹かれた。

    カイユボットは、印象派って感じがしないけど、やっぱり日常の何気無い風景を切り取るのが上手な感じがした。しかもアングルが凝ってて面白い。

    どちらもパッと見た感じの表面的なところしか分かってないけど、何となく惹かれた。

    ゴッホもそうだけど、この本に出てくる人たち、それぞれ特徴のある人生で、いくらでも物語が出来そう。

  • 19世紀後半のフランス・パリで、長い間変わることのなかった保守的な芸術体制に果敢に挑んだ印象派の画家たちを、ア-ト小説で一世を風靡した【原田マハ】が語る〝美しき愚か者たち〟の七つの物語です。古臭い因習や作画のルールに縛られず、見たまま、感じたまま、印象を目に見えるかたちで表現した<印象派>の足跡をたどる旅は、モネ、マネとベルト、ドガとメアリ-、ルノワ-ル、カイユボット、セザンヌ、そしてゴッホの世界へと誘われます。印象派絵画の誕生の陰に、貧困、病い、世間の酷評と闘った画家たちの執念のドラマを教えられます。

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著者プロフィール

1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で、「日本ラブストーリー大賞」を受賞し、小説家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で、「山本周五郎賞」を受賞。17年『リーチ先生』で、「新田次郎文学賞」を受賞する。その他著書に、『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『常設展示室』『リボルバー』『黒い絵』等がある。

原田マハの作品

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