怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか (新潮新書 78)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 590
感想 : 85
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  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106100789

作品紹介・あらすじ

ゴジラ、ガメラ、ガンダム等、男の子が好きなものの名前にはなぜ濁音が含まれるのか。カローラ、カマロ、セドリック等、売れる自動車にC音が多いのはなぜか。キツネがタヌキよりズルそうなのはなぜか。すべての鍵は、脳に潜在的に語りかける「音の力」にあった!脳科学、物理学、言語学を縦横無尽に駆使して「ことばの音」のサブリミナル効果を明らかにする、まったく新しいことば理論。

感想・レビュー・書評

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  • 『怪獣の名はなぜがギグゲゴなのか』(黒川伊保子)

    「タイトルが面白そうで手に取った人どうでしたか?」
    裏切られたと思ってはいけません。厚くないサラッと読める本です、是非彼女の閃きともとれる“意味より以前にあることばの力”の論理を覗いてみてください。
    会話のネタもふんだんに用意されているけど、日本語の精緻さと、それを操る日本人の素晴らしさを熱を込めて訴える彼女のことば自体も美しい。
    具体的な音のクオリアの話しはリズムで読んでもいいけど、『文字は聴覚野が刺激される』『この世のものは、すべて私たちの脳にとって「それらしい」音をしている(言い方を変えれば、脳が、聴覚以外で収集したものの情報、素材や形や動きなどを正確に聴覚情報と結びつけて展開できる証拠である。』
    『意味とは別に、意識の質の変化を見る』などなど彼女がこの本で伝えたい手がかりのことばしっかり握りしめておいて欲しい。
    そういえば最近「ホンジャマカTV」に出ていないなぁ。
    黒川伊保子さんは『英雄の書』を最近再読読してから気になっていた。

  • 「K音(カラカラ,コツコツ,etc)」は硬さ・乾き・スピード感、「M音(モタモタ,モチモチ,etc)」は柔らかさ・丸さ・甘さ、といったように言葉の音にはそれ自身が発する感覚が存在する。この言葉の音と感覚との関係を科学的に分析・解説しようという本。

    本書では、発声音と感覚とが結びつく理由は、発声時における口腔動作で説明される(例えば、B音では両唇を震わせながら放出する動きから "膨張" のイメージに繋がっている,等)。読んでいる分には「たしかにそうかも」と納得しかけてしまうのだが、しかしどうも煙にまかれているというか、適合する部分だけを都合よく取り出しているように感じてしまった。

    おそらく、理由付けが説明に留まってしまっており、演繹あるいは帰納的な根拠が示されていないことが、この違和感の正体なのだと思う。その点で、本書が謳っている「科学的に」という言葉にはクエスチョンマークが付く。
    発声音と感覚の対応、また、口腔動作と感覚の対応、等の関連が確かであることを何らか実験・調査で示されていれば、納得感は段違いだったと思う。

    「発声音と感覚には関連がある」という主張自体には同意できるだけに、惜しい一冊だった。何かに名前を付ける際の参考としては有用かもしれない。

  • 20年も前の本だから、さもありなん、とは思うけど…。
    でも、著者は研究者として、そして実業家として活躍しつづける人物だけに、著書の中のジェンダーの取り扱いに違和感を感じる。多分脳科学の観点からすれば男女に大きなそして明らかな違いがあるのは明白で、そこを大前提として出発しているからなんだろうけど
    若い女の子の分別の欠けた愛らしさ
    科学、鉄道、銀河、銀座…、今も昔の男たちのロマンを掻き立てる単語
    ティーンエイジャーの男の子たちはいてもたってもいられなくなる
    スーパーの棚で主婦が手を伸ばす
    云々 という表現に見え隠れする科学と少し違うところでの決めつけは、あまり気持ちのいいものではなかった。

    ただ、クオリアの説明は、「脳の中の幽霊」でいまいちつかみきれなかったけれど、この本でとてもよく理解できた。

  • 子どもの名づけの参考になるかと選んで読んだ。
    何となく『ま行が柔らかいなぁ』とか『ら行が冷たいイメージ』と感じるには理由があるのだと思った。
    発音の細かい部分は飛ばして読んでしまった。

  • #Sの風Nの粘り気BとGの爆発再発見日本語とともに

  • ことばにおける「音素」とそれが無意識下で引き起こす
    サブリミナル効果に着目し、物の名前における音のはたす
    役割を明らかにしようとする本。息が舌の上を滑り歯に
    当たることで空気をはらむ「S」の音素は空気感やスムーズ
    なイメージをひきおこすとか、息を強く送り込まねばなら
    ない「K」は強さや硬さを惹起させるとか。確かに一音毎の
    分析には納得させられる部分も多いし、今までこの類の研究
    が少なかったことを考えると読んで損はない本なのかも知れ
    ないが、語としてまとまった音素全体がどのようにイメージ
    を形作るかという点がそれほどくわしく説明されているわけ
    ではないので、いい所で肩すかしを食らった感が否めない。
    この研究が音素だけにとどまらず、意味や漢字の研究と有機
    的に結びついていくと面白い結果が出るのかも知れない

  • 発音の際に口のなかで起こる物理現象が共通する以上、その音が人に与えるイメージもまた、人類共通であるはずだ。

    本書はこのように主張しています。

    しかし、たとえばB音が与える人の意識に与える潜在情報は、これまで見てきたように日本語圏と英語圏とで随分違うように見えます。

    罵り言葉によく使われる日本語のバビブベボ。
    人の名前によく使われる、親しみやすい英語のB音。

    『怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか』の分析では、この理由が明らかにされていないような気がするんです。
    なんで日本語と英語とでこんなにもB音の扱いが違うのか、誰か教えて偉い人!!

    ブログに長文のレビューを書いてます↓
    https://yulinyuletide.hatenablog.jp/entry/2017/12/02/225403

  • 38191

  • サブリミナルインプレッションやクオリアなど初めての知見が多く、興味深かった。惜しむらくは50音の各音のイメージに関する表がなかったとこ。また、度々登場していたレーダーチャートの作成の仕方が載っていなかったこと。

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著者プロフィール

黒川伊保子(くろかわ・いほこ)
1959年長野県生まれ。奈良女子大学理学部物理学科卒業。
(株)富士通にて人工知能(AI)の研究開発に従事した後、コンサルタント会社、民間の研究所を経て、2003年(株)感性リサーチ設立、代表取締役に就任。脳機能論とAIの集大成による語感分析法を開発、マーケティング分野に新境地を開いた、感性分析の第一人者。また、その過程で性、年代によって異なる脳の性質を研究対象とし、日常に寄り添った男女脳論を展開している。人工知能研究を礎に、脳科学コメンテーター、感性アナリスト、随筆家としても活躍。著書に『恋愛脳』『成熟脳』(新潮文庫)、『人間のトリセツ ~人工知能への手紙』(ちくま新書)、『妻のトリセツ』(講談社+α新書)、『定年夫婦のトリセツ』(SB新書)、『息子のトリセツ』(扶桑社新書)、『思春期のトリセツ』(小学館新書)、『恋のトリセツ』(河出新書)など多数。

「2022年 『女女問題のトリセツ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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