- Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106102370
作品紹介・あらすじ
軽躁なるものを勇豪とみるなかれ、かつて戦国の名将はそう戒めた。国を誤る指導者の愚があり、滅亡の淵から救い出した見識もあった。英国流の智恵とユーモア、フレキシビリティを何より重んじた海軍の想い出…、歴史の中へ喪われゆく日本人の美徳と倫理をあらためて問うとともに、作家生活六十年の見聞を温め、いかなる時代にも持すべき人間の叡智を語る。
感想・レビュー・書評
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中西さんと違うところは、弊原喜重郎外相の外交を擁護しているように見えるところ。中国人による在中日本人の迫害に対し、軍を出兵させず「見殺しにした」「軟弱外交」と言われた裏には、イギリスから学んだ「小さい事件で騒ぐよりも大局を見ろ」という意識があった。
阿川さんは「日本ではこんなことは言えない」と書いてたけど。何事も色んな側面から見て判断しなければね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
イギリス流ユーモアと暗記についての心得が参考になる。
「イングランドでは馬しか食わない燕麦 (oats えんばく) を、スコットランドでは人間が食っている」
この発言にすぐさまスコットランド出身の議員が応じた。
「仰有る通りなり。だからスコットランドの人間が優秀で、イングランドの馬が優秀なのです」
日本の国会だったら前者の差別発言、ただでは済まないでしょうが、ロンドンの議会は、爆笑で終わったといいます。…
だけど、ユー モアの複雑多岐な形を貫いて、一つ共通することは、「いったん自らを状況の外へ置く」という姿勢、「対象にのめりこまず距離を置く」という余裕がユーモアの源である。 真のユーモアは単なる滑稽感覚とは異なる。 人生の不条理や悲哀を鋭く嗅ぎとりながらも、それを「よどみに浮かぶ泡(うたかた)」と突き放し、笑いとばすことで、陰気な悲観主義に沈むのを斥けようというのだ。p70-71
暗記出来たと思ったら、本を伏せて又唱えてみなさい。 毎晩じゃなく、三日に一遍でもいい。そうすると僅か半年で、二千五百年前に孔子とその弟子たちの言った言葉を六十、丸々覚えてしまうことになる。これは将来必ずお前の知的財産になると思うよ、意味なんかよく分らなくたって構わない、文章を覚えていれば意味はあとで段々分って来るから(p174) -
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年の功というに相応しい内容でしたが、私には少し読むのが早すぎました。
歴史で学ぶ教科書とは異なり、立体的なお話が垣間見れて感心させられてしまいます。
また、紳士として求められるユーモア論等も確かにと考えさせられます。
歴史を紐解きながらどんな見識を持つべきか?が説明されています。
学生時代に使用していた英和辞典で「wisdom」つまり、「叡智」というものがありましたが1つの考え方を学べた気がします。 -
【ひとこと】
「軽躁なる日本人へ」ということで、子・孫世代へ分かりやすく語りかけた一冊
【手に取った理由】
アガワサワコさんのエッセイを読み、偉大な父の言葉に触れたくなったため。 -
2012年のベストセラー『聞く力』に続き2匹目のどじょうを狙った『叱られる力』も好評の阿川サン。彼女によれば、本書の著者である作家・阿川弘之氏は大変に怒りっぽくて「コワいお父さん」だったらしい。明治から昭和にかけて文壇で活躍して「小説家の神様」と呼ばれた志賀直哉に師事し、連合艦隊の総司令官の人間像を赤裸々に描いた『山本五十六』など、数多くの戦記文学や随筆を残した著者が、歴史の中で失われつつある日本人の美徳と倫理をあらためて問い直す。日本人の見識、英国人の見識、さらには孔子や天皇の見識にまで言及し、後の世代の人々が叡智(えいち=優れた知恵)を養う一助になればとの思いを込めた一冊。文体は優しく、阿川サンが言っているのとは正反対で全然コワくない。
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大人の見識(新潮新書)
著作者:阿川弘之
戦争には海軍に所属し終戦後は賞を受賞を切っ掛けに作家として山本五十六等の多くの作品を世の中に青春時代にを問いかけている。
タイムライン
https://booklog.jp/timeline/users/collabo39698 -
やはり昭和は面白い