中国共産党を作った13人 (新潮新書 359)

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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106103599

作品紹介・あらすじ

一九二一(大正十)年七月二十三日、上海の高級住宅に十三人の中国人青年が集まった。そこで行われた会合こそ、中国で「歴史的壮挙」とされる、中国共産党第一回全国代表大会である。欧米列強に蹂躙された国土を取り戻すために命を懸け、過酷な運命に翻弄された十三人。彼らの青春群像を丁寧にたどっていくと、従来、中国共産党が意図的に軽んじてきた、党創設にまつわる日本の影響が浮かび上がってくる。

感想・レビュー・書評

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  • 中国共産党の成り立ちについて、日本語で客観的に解説している基本図書。上海の第1回共産党大会博物館での見学時に並行して購読した。

    1)共産党の成立、特に1910年代後半においては、日本の影響は非常に大きく受けている。このことを歴史上どう評価するかは日中関係とのパロメーターであると思っている。

    2)共産党設立の経緯は、第一次世界大戦終了後のパリ講和会議でアジアの民族主義が否決されたこと、これにより孫文の三民主義への失望が生まれ、中国、ベトナムをはじめアジアは、共産主義の影響を受けることになった。(この意味で中国共産党は、あるいみ国民的革命政党と分析することができる)。無論、1917年のロシア革命も大きく影響する。また、共産党の成立には、ソ連からも大きな影響を受けている。

  •  本書は、現在の中国の支配政党「中国共産党」が生まれた1921年の第1回全国代表大会に参加した13人について、詳細に調査した本である。
     いわば「中国建国の父」なのだろうが、一読してその名と業績をよく知っているのは「毛沢東」と「周恩来」ぐらいで、「周仏海」「張国燾」は、中国の歴史を知る中で一応は名前は知っているが、詳細は知らず、あとの9人は全く知らなかった。
     本書で驚いたのは、この若者たちとの日本との関わりである。「周恩来」が日本留学生であったのは有名であるが、日本留学組が4人もいるし、日本国内に当時の中国人への応援者も数多く、当時中国と日本が同じアジアという意識で密接な関係を持っていたことがよくわかった。
     しかし、歴史とは非情なものだとも思う。本書によると1949年の中国建国の式典に晴れて天安門の楼上に登ることができたのは、13人のうち「毛沢東」と「董必武」の二人だけだという。刑死・獄死・殺害で7人も死亡しており、政治家として生き残ったのは、たった二人だけしかいない。
     まあ、日本においても明治期の国家指導者の伊藤博文や大久保利通などが暗殺されているのだから、建国の混乱期というものは、そういうものかもしれないが、凄まじいとしか言い様がないと感じた。
     そして、本書を読んで、中国共産党の創成期の歴史は意図的に隠蔽されているのではないかと思った。
     まず日本は、一般に思われているよりもこの時期の中国と深く関わっていると思われるし、それらも含めて建国の歴史を中国共産党は正しく公開していないように思えた。中国共産党は、いまだ歴史を冷静に見ることができない現状にあるのだろうか。それが出来る時が「国家の成熟」といえるのだろうと思った。
     本書は、良いテーマを取り上げていると思うが、その内容はあまり興味を惹かない。馴染みがない名前を興味深く読ませるにはそれなりのテクニックが必要と思われるが本書にはそれがないように思える。テーマに興味はあるが面白くはないと感じた。

  • 中国共産党といっても、その礎は日本への留学生が共産主義を持ち帰ったからこそ、なんて話は知らないことである。
    歴史の勝者が歴史を書き換えてしまうのも中国らしさである。

  •  今年は中国共産党結成90周年。1921年上海。若者13人の会合が出発点とされる。恥ずかしながら毛沢東以外の12人はほとんど知らなかったが,それもそのはず,中華人民共和国建国時に党に残っていたのは毛と薫必武のわずか二名。残りは初期の運動のさなかで死んだり,離党して漢奸として処刑されたり,復党を果たすが文化大革命で弾圧されたり。状況がめまぐるしく変わり,生き馬の目を抜く世界。権力闘争のすさまじさがわかる。
     本書は,13人のなかでも日本留学経験のある4人を中心に,また13人には入らないが同じく日本に留学した陳独秀,李大釗の人生にも触れつつ,日本と初期の中国共産党のかかわりを描いている。西郷隆盛はずいぶん彼らに影響を与えたらしい。
     前提知識が乏しく,きちんと読みこなせなかったのは残念。

  • [ 内容 ]
    一九二一(大正十)年七月二十三日、上海の高級住宅に十三人の中国人青年が集まった。
    そこで行われた会合こそ、中国で「歴史的壮挙」とされる、中国共産党第一回全国代表大会である。
    欧米列強に蹂躙された国土を取り戻すために命を懸け、過酷な運命に翻弄された十三人。
    彼らの青春群像を丁寧にたどっていくと、従来、中国共産党が意図的に軽んじてきた、党創設にまつわる日本の影響が浮かび上がってくる。

    [ 目次 ]
    第1章 帰国子女だった李漢俊
    第2章 維新號事件で検挙された李達
    第3章 西郷隆盛に憧れた周佛海
    第4章 日本びいきの思想家、陳独秀
    第5章 芥川龍之介が目にしなかった上海
    第5章 上海に勢ぞろいした社会主義者たち
    第7章 中国共産党第一回全国代表大会
    第8章 一九二七年、李大〓(しょう)の死、そして李漢俊
    第9章 十三人の男たちのその後
    最終章 取り違えられた写真―陳独秀

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 中国共産党を作った13人のうちほとんどが日本に留学していた。日本は清国の青年たちにとって注目の的だった。無血革命ともいえる明治維新を実現して、欧米の文化と科学を吸収して近代化を成し遂げた日本は1895年に日清戦争に勝利した。小国日本がなぜ大国清に勝利したのか。その理由を探れば、日本が軍備を近代化したばかりでなく、西欧文明のあらゆる分野について学び、日本の国づくりに役立てたからだ、と新黒人も考えた。 日本には欧米と違って気軽に行けた。
    日本に来て、中華民国万歳と叫んだりして警察につかまったりしていた。
    目標を得た若者たちは活気づいた、まず上海で共産主義グループを結成し、次いで全国的な組織を作り進めようと走り出した。
    中国の労働者は伝統的に秘密結社に属し、集団生活に慣れているために短期間に労働組織を生み出し、団結して行動することができる。
    13人のうち、晴れて天安門の楼上に登れたのは、毛沢東ともう一人だけ。

  • 中国共産党第一回大会に参加した13名を、主に日本留学という視点から描いています。個人的には張国燾と毛沢東にもっと絞って描いて欲しかったきらいもありますが、知名度やや落ちる人にスポットを当てていて、面白く読めました。

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