茶: 利休と今をつなぐ (新潮新書 392)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106103926

感想・レビュー・書評

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  • ”今”に分かりやすく、様々な視点、捕らえ方、面白く楽しく読めました。

  • 圧倒される情報量。茶家に生を受けたでけではなく、物凄い量の情熱を感じます。茶器、軸、歴史、漢文など、膨大な知識と審美眼。30代半ばでの書とはとても思えません。一期一会のために設えを変え、禅問答のような軸を用意する。所作をきわめるだけではなく、歴史のある貴重な茶道具にこだわるとなると、普通の人には到底困難な世界。後輩が大学卒業の折に祖母と両親を招いた茶会と息子を亡くした三渓が催した茶会の話にはグッと来ました。奥が深すぎる!それにしても三渓、持っているお宝にもぶっ飛びました。

  • 「茶道」に興味ある方は必読です!武者小路千家次期家元が語る「茶の湯」の本質!端的にまとまっているのではじめての方で「なるほど!」と思って読める一冊です。

  • 作者も書いているが、お茶とは何ということについて分かりやすく書いた本。
    一方で現在の茶道界のありかたについて批判的な見方が感じられる。全く同感。
    読者層はお茶に興味を持っている人を想定しているだろうが、お茶に長く携わっている人にも面白い内容。
    2013-12-1

  • 茶の湯の成り立ち、作法の意味、コミュニケーションツール、自分自身と向き合う場としての茶事の役割を分かり易く読みとく。
    茶室の中では誰もが平等であり、名物が一国一城にも値する貨幣価値を創造したことは一種の革命であり、それが故に利休は切腹させられるほどまでに恐れられたとの説明には納得。

  • お茶の心、歴史、そのあり方など総合的に実によくまとめられている。

    著者は三千家の一つである武者小路千家の若宗匠(次の家元)であるが、その立場からという以上にお茶が好きでたまらないのだと感じられる。

    立場上一般人ではとても手にすることなどできない名品にふれ、名だたる指南役の方々からの教えをぐんぐん吸収して自分のものにしていかれたのだろう。
    今、これほどわかりやすくお茶について書かれた本はそうないと思う。
    お茶に興味のある外国人にもわかりやすいのではないだろうか。

    内田樹氏との対談は、いやいやこんな考え方があったとは、と面白く読んだ。

    この本でお茶に興味をもたれた方(特に女性の方)は森下典子さんの「日日是好日」もオススメ。
    お茶をすることの意味を森下さんが自分の体験から書かれていて、具体的かつ納得の一冊だ。

  • 何を隠そう私は薄茶の平手前くらいならば心得がある、いや昔は有った。学生時代に裏千家の同好会に所属していたからである。本書は、表千家の後嗣(次の家元)である千宗屋氏が、岡倉天心「茶の本」とまではいかないが平易な入門書を、という意気込みで著したもの。正確には、千氏語り下ろした内容を、美術ライターの橋本麻里氏がまとめ、さらにそれに手を入れたという。内容は、茶の湯の歴史、手前の心得、茶道具、茶室、そして正式な茶事と、一通り分かるようになっている。千氏は本書で「茶事では濃茶がクライマックスの真剣勝負」ということを特に強調しており、その点が印象に残る。全編を通じて千氏のスマートに整理された思考が読み取れる良書である。

  • 茶会に出たことがないので、本を読んだだけで何がわかったわけでもないのだけど、でもなるほどそういうものなのかと納得するものがあった。文章が非常に読みやすく、それでいて肝の部分を明解に伝えてくれるのがすばらしい。
    引用した千利休についての考察は、そういうことか、とちょっと目うろこ。
    推薦されていた『へうげもの』を今読んでいるところ。
    次は実際の茶会も体験してみたいな。

  • 利休以降現代まで続く茶事・茶の湯の真理、精神、歴史をとても分かりやすく誠実の書き認めた一冊。

    とても分かりやすく、自分の見聞を広げてくれた有難い本。

    茶事を取り巻く多くの事象や作法、仕組みを、なぜそうなったのか、どんな意味が込められているのかを、歴史や成り立ち背景から解いていこうという著者の茶に対する真摯な姿勢にまず感銘を受けました。

    引き継ぐべき伝”燈”をただ闇雲に鵜呑みにするのみならず、なぜこうなっているのか、どんな意味が込められているのかを自らの経験や知識、体感を総動員して感じ取り、咀嚼し、アレンジを加えて後世に伝えていくことこそ、伝燈であり、ある文化芸術が存続していく唯一のカタチであることを、武者小路千家の血筋を引く著者ご自身の経験から語っている、とても濃い一冊でした。

    つまるところは「直心の交わり」。相手を思い、自分を思うからこそのコミュニケーションに尽きるという点、人が人として人と共に生きていく以上、今後も普遍的に続いていく価値を具象化して体感する。それが今もこれからも変わらない、茶事の存在意義なのでしょうか。

    一度、実際に体験してみたいと強く思います。

著者プロフィール

1975年京都生まれ。武者小路千家一五代家元後嗣。明治学院大学非常勤講師(日本美術史)、慶應義塾大学総合政策学部特別招聘教授。2001年、慶應義塾大学大学院修士課程修了。2003年、後嗣号「宗屋」を襲名。同年大徳寺にて得度、「随縁斎」の斎号を受ける。領域を限定しない学際的な交流の中で、茶の湯の文化の考察と実践の深化を試み、国内外を問わず活動。著書に『茶 利休と今をつなぐ』(新潮社)など、近著にインスタグラムの投稿をまとめた『茶のある暮らし 千宗屋のインスタ歳時記』(講談社)がある。

「2022年 『千 宗屋の和菓子十二か月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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