ねじれの国、日本 (新潮新書 438)

著者 :
  • 新潮社
3.51
  • (5)
  • (13)
  • (17)
  • (0)
  • (2)
本棚登録 : 102
感想 : 24
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106104381

作品紹介・あらすじ

この国は、その成立から、ずっとねじれている。今さら世界に合わせる必要はない。ねじれたままの日本でいい-。建国の謎、天皇のふしぎ、辺境という国土、神道のルーツなど、この国を"日本"たらしめている"根拠"をよくよく調べてみると、そこには内と外を隔てる決定的な"ねじれ"がある。その奇妙で優れたシステムを読み解き、「日本とは何か」を問い直す。私たちのあるべき姿を考える、真っ向勝負の日本論。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「日本人にしかわからない何か」を著者は「ねじれ」という言葉を使って、日本の歴史、成り立ちが書かれている本。この手の本はあまり好きではなかったのですが、著者が出演したラジオ番組を偶然聴き、興味を持ちました。

  • 著者の文章は入試問題に出題されにくい文体だ。
    この本は、テーマが受験向きだし、ホリイ節があまり強くない。
    著者は和を持って尊しとなす共同体である日本を肯定的な立場のようだ。
    が、現在のIT社会において、このような日本共同体は他国に劣後していくばかりだ。

  • 著者のことはよく知らなかったが、本書に書かれた内容や主張はスルッと腹落ちできる。

    確かに日本のあり方や日本人の心持ちは「ねじれている」かもしれない。

    共同体の中で説明不要かつ言語化不要な共通認識を対外的に説明しようとしたときの違和感は、自分でも経験がある。

  • 自分の国、日本の見方が変わりました。父が太平洋戦争のことを話したがらないこと、私が話しを遇えて聞かなくても良いことが分かり、心のつかえが取れました。

  • 二度目の読了。
    「2月11日がなぜ休みなのか、すらすら説明できたらその人は日本人ではないはず」という不思議な現実。たしかにそのとおりです。
    なぜ建国記念日、ではなく記念「の」日、なのか。
    「暦が変わる」とはどういうことなのか、そのとき生きていた当時の日本人の間には、どんな空気が流れていたのか。

    身近な場所での空気を読める人であれば、きっと、この本をよみながら、当時の空気を感じることができることと思います。

    ちょっとしたことで、みんなが一斉に同じ方向を向く不思議さ。そして、「指導者」という人がどこにいるのか全くわからない不気味さ。日本の特殊さが、身に沁みてきます。それは決して、「クール」のヒトコトで称賛されてばかりではないレベルで、よその国とは違った面なのでしょう。

    大事なことほど、当然なことほど、はっきり書かずに、きちんと説明せずに済ませようとする姿勢。
    それを「ねじって」とわかりやすく表現するのが、堀井さんのすごいところです。

    「グローバル」に生きるひとにこそ、手にとってほしい本です。

  • 元来、日本は「言葉にしなくても共感できる基盤を持った共同体」である。
    しかし、対外的に「国家」という見てくれを装う必要があったため「日本国」という形を作った。
    これが本書でいう「ねじれ」だ。最初のねじれは律令制度を作った7世紀ごろ、次が黒船来航の幕末、そして3回目が大東亜戦争敗戦後だ。
    他国の「王」と日本の「天皇」は違う。天皇は、権力を持ったこともあるが基本的には「偉い」から「尊崇」される存在だ。その意味ではるか昔から日本国と日本人の象徴であり続けた。

  • 一体何がねじれているのかと思ったら、内向きの以心伝心な世界をひたすら守ろうとする頑なさと、それでは世界で通用しないことに観念して表向きだけ嘘で取り繕う様を表現したものだった。特に東アジアにからむ世界情勢や歴史の見立ては妙に説得力がある。それが正しいのかどうかは自分には判断できないけれども。
    本書は「○○論」というようなものではなく、ちょっと長めのコラムなのだから、そういう視点で読めば楽しめると思う。論拠を求めるのは筋違い。

  • [日本論][刷り込みの連鎖]

  • 選挙とは無関係。歴史を踏まえながら、日本を外部に対して見せる外枠と内部とが「ねじれた」国であり、それが外部からの影響を内部に及ぼさない安定した状態である、と説く。感覚的には分かるが、「ホリイ節」の読み物としてのみ楽しむべき本だろう。

  • 日本のどこがねじれているんだろう?と初めはわかりませんでしたが、読んで行くうちに著者の言わんとする「ねじれ」がクリアに見えてきました。
    コラムニストである著者のエッセイ調の文章がおもしろく、真面目なテーマを語っていても、堅苦しくなく読んでいけます。

    まず「建国記念日は何の日なのか?」という問いが出されました。
    何を持って日本建国とみなすか、ということについて、そういえば考えてみたことがなく、戸惑いました。
    これは学校教育において、教わらずにくることのため、普通の日本人は正確に説明できないのだとか。
    「すらすらと答えられる人は、スパイかもしれない」と書かれており、まずそこにこの国の大きなねじれを感じました。

    天皇の立ち位置が微妙なことから、曖昧なまま、なあなあで通っている事項が多いことに気づかされます。

    敗戦後、皇国史観をGHQに指摘されてから、皇室への基本態度はアンタッチャブルとなっているとのこと。
    それを疑問に思うことなく、なんとなくの雰囲気で過ごしていける、不思議な国民性。
    外敵の心配のない、島国だからこその平和なまとまりを感じます。

    日本では国名は「日本」なのに、国際国名は「Japan」なところにねじれがあるかと思いきや、違いました。
    古代の大和朝廷の頃、なぜ我が国を「大和」と言わずに「日本」としたのか、そこにねじれがあると指摘する著者。
    さらにねじれがあったのかと、めまいを感じます。

    昔より外国との交流に慣れておらず、歴史的にも外交が苦手な国民性なのだとわかりました。
    ただ、ねじれていることが間違っているわけではないことも語られます。
    変形できる柔軟性を持っているからこそ、途中で折れることもなく、概して平和にやってこられたというわけです。

    著者の持ち味なのか、割と突き放したような書き方でありながら、ガチガチの文明批判というわけではなく、豊富な知識に支えられて日本の不思議な構造を紐解いています。
    なにより、言葉にしづらいようなファジーな面に、敢えてメスを入れてみたというその勇気ある試みに脱帽です。

    記載された内容に関して、全てが歴史的に立証されているものなのかはわかりませんが、一つの説として読んでいくと、理解が広がることでしょう。
    論点への到達法が多少くどい上に、過激な意見も見られるため、アンチ読者も多いと思いますが、私は面白く読めました。

全24件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1958年生まれ。京都市出身。コラムニスト。
著書に『かつて誰も調べなかった100の謎 ホリイのずんずん調査』(文藝春秋)、『青い空、白い雲、しゅーっという落語』(双葉社)、『東京ディズニーリゾート便利帖 空前絶後の大調査!』(新潮社)、『ねじれの国、日本』(新潮新書)、『ディズニーから勝手に学んだ51の教訓』(新潮文庫)、『深夜食堂の勝手口』(小学館)、『いますぐ書け、の文章法』(ちくま新書)、『若者殺しの時代』『落語論』『落語の国からのぞいてみれば』『江戸の気分』『いつだって大変な時代』(以上、講談社現代新書)などがある。

「2013年 『桂米朝と上方落語の奇蹟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

堀井憲一郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×