- Amazon.co.jp ・本 (185ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106105111
作品紹介・あらすじ
短歌の上達に早道や抜け道はないが、陥りやすい"落とし穴"を知っていれば、無駄な回り道はせずにすむ。そして"素材"(=伝えたい思い)の持ち味を生かすために、さまざまな"道具"を持ち、"調理法"を知っておくことが大切だ。「味覚に訴えてみよう」「理屈は引っこめよう」「季節の変わり目をとらえよう」-。現代を代表する歌人が投稿作品の添削を通して伝授する、日本語表現と人生を豊かにする三十二のレシピ。
感想・レビュー・書評
-
この本の紹介として「キケン!こんな落とし穴がありますよ」という落とし穴集、「便利!こんなレシピがありますよ」という一面と表現、読みやすく親しみが持てる内容。
投稿作品添削例を示しているのが具体的でがらりと生まれ変わるのが癖になる。
全く違う二首を入れ替えることで印象がかわり「小さな飛躍が、言葉に深みを与えてくれる」例、動詞の重なりの解消や変更、序詞の利用、状況説明の省略、倒置法、羅列の効果、「は」を「が」に変えたほうがいい場合が多い、助詞を入れたほうが名詞の首が座る、「できごと+思い」という構造の工夫、連作の並べ方など、実例を通して学ぶことができる。今後の推敲の参考にしたい。 -
季刊誌「考える人」に、添削されてもいいという前提で送って頂いた短歌をもとに、歌人・俵万智さんが短歌を詠むコツ、推敲するコツを教えてくれる1冊。
最初は単純に読んでいたが、途中からは教えを覚えきれなくなり、メモをとりながら読んだ。
それくらい、濃厚な教えだった。
これだけのレシピを教えてもらうと、1つの短歌の中にいくつものレシピを入れたくなってしまうので、自分で詠むときにはそこも注意が必要だとおもう。
紹介されている短歌は、添削前のほうがむしろ好みのものもあれば、添削後の方が明らかによくなっている!と感じるものもあり、短歌の正解は1つではないことも、見せられている気がした。
短歌創作のレシピというよりは、推敲のヒントのレシピという感じが強かった。 -
短歌における、様々な表現テクニックを『割り切って』を紹介、説明した面白い本。
作品添削の形式で書かれているので、解りやすいが、テクニック説明なので、内容が原作と離れているところもあるが、その辺りも割り切っている所が著者らしい。
『写生』重視の歌人であったら、とても出来ない様な飛躍もあって、それも楽しい。
ただ、やはり短歌は技術ではなくて『真実』に入り込んで率直で簡明に述べることが重要だと、私は思う。 -
前回読んだ『考える短歌』と同様、短歌を詠む上での注意点を知ることができて勉強になりました。
短歌の面白さが言語化されていて、より一層短歌というものを知ることができました。
・別々の歌の上の句、下の句を入れ替えてみる
・「あの」「この」「その」はわかりにくいので使わないようにする
・比喩を使うときは効果的に使う
・言い過ぎないようにする
・同じ言葉、同種の言い回しは避ける
・リフレーンを使ってみる
・題材は1つに絞る
・A+Bの効果を狙う
・倒置法を活用する
・理屈っぽくならないようにする
・意味の重なりに注意する
・名詞の連続(ものづくし)
・「ような」をとって暗喩で
・意外な動詞を使う
・「は」と「が」のどちらが良いか推敲する
・字余りになっても助詞はつける
・語順を確認する
・「できごと+思い」の「思い」をサラッとしすぎない
・連作をつくるときは順番を意識する -
短歌や俳句を鑑賞するのが好きなので、さらに面白くなるかと読んでみた。
少し変えるだけでガラリと印象が変わるのがとても楽しかった。 -
天才的過ぎる。なんども息を呑みました。
俵さんが少し文字を動かしたり、削ったりするだけで、あざやかな色に輝きだすのがすごい!
生涯忘れられない短歌になったものがいくつもありました。
特に好きだったのは
「まだすこし乾ききらないTシャツ抱きしめてちょっと泣いた」(p99)を
「まだ乾ききらないTシャツ抱きしめて泣いた一人の部屋」に直して、ひとこと。
”作者は運動部のマネージャーかもしれない”。
切なすぎて、美しすぎて、心臓に一直線に矢が刺さりました。見事! -
第1講 味覚に訴えてみよう/擬音を生かそう
第2講 時には荒療治を試してみよう/「あの」って、どの? と言われないようにしよう
第3講 比喩の出し方に心をくだこう/だめ押しの一歩手前で止めよう
第4講 枕詞を使ってみよう/同じ言葉、同種の言い回しは避けよう
第5講 序詞を使ってみよう/メールを使って恋をしてみよう
第6講 リフレーンを使ってみよう/時には表現を薄めることも
第7講 A+Bの効果を狙おう/倒置法を活用してみよう
第8講 理屈は引っこめよう/意味の重なりに気をつけよう
第9講 読者を信頼しよう/ものづくしという手法
第10講 あと半歩のさじ加減を考えよう/時にはドラマチックに
第11講 格言的なフレーズを生かすには/「ような」をとって暗喩で勝負してみよう
第12講 動詞にひと工夫してみよう/「は」と「が」で変わること
第13講 リズムをとるか助詞をとるか/動詞をさらに工夫してみよう
第14講 主役は一人にしよう/語順をよく確認して仕上げよう
第15講 「できごと+思い」という構造/旅の歌を詠んでみよう
第16講 季節の変わり目をとらえよう/歌の並べ方を考えよう -
短歌の添削、という手法で、短歌のちょっとした工夫・ツボがわかる。ハードルが低くて読みやすい。
積読本なんですね、おすすめですよ。
俵さん、素晴らしい歌を詠めるだけでなく指南書はわかりやすくて
...
積読本なんですね、おすすめですよ。
俵さん、素晴らしい歌を詠めるだけでなく指南書はわかりやすくて
凄いなと思います。
助詞を抜いてしまうとか、下の句がおしいとか、
自分の作歌の癖と直し方についてわかった気がしました。
レビュー楽しみにしています☆
遅ればせながらこの前『プロフェッショナル』俵万智さんを観ました。俵さんは感覚的な人かと勝手に思っていた...
遅ればせながらこの前『プロフェッショナル』俵万智さんを観ました。俵さんは感覚的な人かと勝手に思っていたので、地道に理論的に推敲を重ねてる姿に感動を覚えました。この本もそのエッセンスが詰まっているようですね。
プロフェッショナル、ご覧になったんですね♪
そうなんですよ、「理論的に推敲」なさっている姿勢...
プロフェッショナル、ご覧になったんですね♪
そうなんですよ、「理論的に推敲」なさっている姿勢がこの本にもしっかり詰まっています。感動的な共感できる歌が生まれるのは、そのような努力の積み重ねなんだと感じました。また私も再視聴しようかなと思います。