史論の復権 (新潮新書 546)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106105463

作品紹介・あらすじ

日本企業、橋下市長から大河ドラマまで。歴史の知見を借りれば、旧知の事実がまったく違った意味を帯びてくる。「中国化」というオリジナルな概念で日本史を捉えなおした新鋭が、7人の異分野の知に挑む。

感想・レビュー・書評

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  • 【由来】
    ・図書館の新書アラート。

    【期待したもの】
    ・サラッと読む。著者は自分よりひとまわり若い。春日太一というところで興味を持った。

    【要約】


    【ノート】
    ・団地のソ連化とか、サブカルこそ日本の普遍、という辺りが面白かった。春日太一は言うに及ばず。

    ・日本の場合は、空気の読み合いだけで、そこそこまとまってしまう(P128) お付き合いのファシズム

    ・アジアのポップカルチャーは「日本形式」の普遍化の実用例として成立している(P137)

  • 読み応えあります。史論とは何か、史学とは何か、考えたことないテーマでした。

  • 【書誌情報+内容紹介】
    シリーズ名 新潮新書
    雑誌から生まれた本 新潮45
    頁数 238ページ
    ISBN 978-4-10-610546-3
    CーCODE 0220
    整理番号 546
    ジャンル 日本史
    定価 799円
    電子書籍 価格 648円
    電子書籍 配信日 2014/05/23

    気鋭の歴史研究者、白熱の七番勝負! 中野剛志、中谷巌、原武史、大塚英志、片山杜秀、春日太一、屋敷陽太郎。

     学問的な歴史研究の成果を踏まえつつ、現在の位置を捉えなおす──。そんな「史論」の試みを復権させるべく、「中国化」というオリジナルな概念で日本史を捉えなおした気鋭の若手研究者が、七人の異分野の知に挑む。日本企業の生き残り戦略から橋下徹大阪市長のパフォーマンス、小津映画や大河ドラマの描く日本像まで、歴史の知見を借りれば、旧知の事実がまったく違った意味を帯びていく。知的刺激に満ちた論考。
    http://www.shinchosha.co.jp/sp/book/610546/

    【簡易目次】
    まえがき(68年目の終戦記念日に 與那覇 潤) [003-006]
    目次 [007-009]

    第1章|日本に「維新」は必要なのか|政治学との対話 中野剛志 011

    第2章|企業が受け継ぐ「江戸時代」の遺産|経済学との対話 中谷巌 031

    第3章|ソ連化した団地とアメリカ化する郊外|戦後史との対話 原武史 065

    第4章|中国化する日本/近代化できない日本|民俗学との対話 大塚英志 095

    第5章|小津安二郎が「作為」した日本|昭和史との対話 片山杜秀 139

    第6章|国民の「時代劇」はよみがえるか|映画史との対話 春日太一 171

    第7章|「太閤記」の夢よ、いまいずこに|大河ドラマとの対話 屋敷陽太郎 205

    あとがき [234-237]
    初出一覧 [238]

  • 僕の世代のトップランナー、與那覇さんの対談集。
    対談だけあって一つ一つをじっくり掘り下げているわけではないけれど、時折はっとするフレーズがあったりして、やっぱこの著者に外れはないなあと思わせる。

  • 歴史学者・与那覇潤がいろんな分野の人と対談。
    テーマも様々で面白いが、民俗学や映画史が身近で分かりやすかったです。

  • 団地、小津などから日本史を読み解く。

  • 与那覇潤『史論の復権』
    中身は面白かったがタイトルが頂けない。
    「史論の復権」と聞いて読みたくなるのは「史論」を知っていて、その衰退を嘆いている人だけ。私はと言えば、史論という言葉は聞いたことはあるし何となくぼんやり意味はわかる(ような気がする)けどまったく思い入れはない、という状態。同じ著者の『中国化する日本』が面白かったからタイトルにはまったくひかれなかったけど手にとった。

    で、読んでみたら、うん面白い。
    そこで私もタイトルを考えてみた。
    『歴史の先生、他流試合をする』
    『歴史、というメガネ』
    『歴史とは、過去ではなく現在を学ぶ学問です〜七つの対話〜』
    どうでしょうね。でも、著者の輿那覇氏は「史論」という方法論(how)の可能性を訴えたかったんだよな。自分の主張(what)もさることながら。

    一番面白かったのは、大塚英志(第4章「中国化する日本/近代化できない日本——民俗学との対話」)。ただし、これは私が以前からの大塚英志ファンだからというのと、学生時代に隣接分野を学んでいたため民俗学の話がわかるから。
    予想を裏切って面白かったのが、原武史(第3章「ソ連化した団地とアメリカ化する郊外——戦後史との対話」)。『滝山コミューン 1974』はこういう文脈において読むべきだったのか、と一人で読んでもわからなかった奥行きを見せてもらえた。「史論という切り口を持ち込むと知っていたつもりのことに新しい面が見えるでしょ、ほら」「いやはや確かに」。
    噛み合なさが面白かったのは、中谷巌(第2章「企業が受け継ぐ『江戸時代』の遺産」——経済学との対話)。中谷巌は『中国化する日本』を読んで我が意を得たり、と思ったようで、しきりと著者に同意を求めてきて、それに著者が苦しい相槌を打つ。敬老。
    5章から7章にかけては同工異曲。映画やテレビドラマに描かれる”俗っぽい”歴史が何を描こうとしているのか、観衆が何を読み込もうとしているのか、を取り扱う。ただし、著者の趣味が前面に出過ぎて映画論・映像論になってしまい、読み物としては非常に刺激的で面白いけど史論はどこへ?という感じ。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京大学教養学部卒業。同大学院総合文化研究科博士課程修了、博士(学術)。専門は日本近現代史。2007年から15年にかけて地方公立大学准教授として教鞭をとり、重度のうつによる休職をへて17年離職。歴史学者としての業績に『翻訳の政治学』(岩波書店)、『帝国の残影』(NTT出版)。在職時の講義録に『中国化する日本』(文春文庫)、『日本人はなぜ存在するか』(集英社文庫)。共著多数。
2018年に病気の体験を踏まえて現代の反知性主義に新たな光をあてた『知性は死なない』(文藝春秋)を発表し、執筆活動を再開。本書の姉妹編として、学者時代の研究論文を集めた『荒れ野の六十年』(勉誠出版)が近刊予定。

「2019年 『歴史がおわるまえに』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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