- Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106105586
作品紹介・あらすじ
あらゆる疑問に正面から答える。冷静な議論のために――。その成り立ちや憲法との関係等、基礎知識を解説した上で、「戦争に巻き込まれる危険が増す」といった誤解、俗説の問題点を冷静かつ徹底的に検討した渾身の一冊。
感想・レビュー・書評
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石破さんによる集団的自衛権について書かれた本。
メディアだけを見て、集団的自衛権についてわかった気になっていたが、実際に読んでみると非常に納得させられた。一方で批判もあるだろうが、論理としては非常にわかりやすく書かれた本であった。
友達に「僕が誰かにいじめられたら助けてよ。でも、君がいじめられても助けられないんだ。だって憲法で決まってるから。そのかわりに支援はするよ。お金とかね」これでまかり通る世の中でしょうか
さて、これを読んで知ったことによって考えることが大事であろうと思う。 -
集団安全保障、集団的自衛権、個別的自衛権などなどニュースなんかで耳にするけど、あまり深く考えずにきてしまったので、わかりやすく書いてあって理解が進んでよかった。
軍事・安全保障といえば石破さん!というイメージは自分も持っている。こういうまったく知識が欠如している事柄への導入には、こうした専門家の書いた本を読むに限る。そして新書はサイズも価格もお手ごろで丁度いい。タイトルどおり、素人にもわかりやすい。第一章で一通り述べられ、第二章では個別の疑問や反論に応えていて、それぞれわかりやすい。本書でも触れているが、テレビでは視聴率優先、時間的制約などの問題があって不十分。逆は成り立つかもしれなくて、こうした書籍で基本知識を身につけておけば、テレビの報道や討論も有益なものになりえる。
偏りを避けるために、石破さんの意見に反対するようなちょうどいい本があれば読んでみたい。 -
来週初めに安保法制懇の報告が出て、安倍首相が集団的自衛権の解釈改憲を行うのかが、焦点になっています(5月10日段階)。そんな中で最も近著の自民党幹部による集団的自衛権解説本である。
「あらゆる疑問、懸念に正面から答える。冷静な議論のために」と帯にある。その通りで、わりと正直に答えているように思える。
「必要であれば、地球の裏側にも行く」「アメリカに飛んでいく弾道ミサイルを撃ち落とすことは現状出来ない」「ホルムズ海峡の地雷除去も警察権的行使で出来る」など、従来の自民党の主張をアッサリ覆しているところもある。しかし、多くは突っ込みどころ満載の内容だった。
「大前提として強調しておきますが、集団的自衛権というのは「戦争をしかけられる確率を低くするための知恵」です」(141p)
石破さんの歪な頭の中ではそうなのかもしれないが、戦後の歴史と、現代のアメリカ発信に寄らない国際情勢をきちんとみれば、何の根拠もない主張だということがわかるだろう。
「アメリカの巻き添えになるだけではないのか?」という疑問には、「相反する二つの恐怖が同盟にはつきまとうのです。それは「同盟国の戦争に巻き込まれる」恐怖と「同盟国に見捨てられる」恐怖です」(144p)と答えています。かなりホンネだと思えますが、見捨てるのはアメリカの大企業だろうし、見捨てられて怖いのは、日本の一部だということは述べられていません。
そんなことのために、日本が営々と戦後60数年積み上げて来た憲法9条のある国という名誉を投げ捨てていいものだろうか。いや憲法9条があったからではない、と石破さんは言います。「日本が他国に攻め込まれなかった主な理由は、日米安全保障条約があり、アメリカという強大な軍事力をもつ国と同盟関係にあり、自衛隊という自国を守ることが出来る組織があり、といった条件が揃っていたから、と考えるのが自然でしょう」(154p)
まったく理解出来ない。というのが、私の正直な気持ちです。戦後の日本の歴史の中で、ベトナム戦争にしても何にしても、何処に日米同盟以外で他国から攻められる契機があったのだろう。
「イケイケドンドンにならない。制限をかけるのだ」とも言っている。しかし、石破さん自身が「スタート段階はかなり(範囲が)限定されたもの」といいつつ、「もし必要であれば、それをさらに広げることは可能だ」と語っています(5月2日)。こういうのをペテンとは言わないのか?限定というけれども無限定となり、どこまでも広がっていくだろう。
因みに「集団的自衛権が国家にとっての自然権であることはすでに国際的には、議論の余地がないほどに受け入れられている」(31p)というのは、まったくの反対であって、国際的にも国際司法裁判所の判決でも、反対の流れになっているのである。それはこの本より半年前に出された「集団的自衛権の深層」(松竹信幸)に詳しい。
2014年5月4日読了 -
政界きっての安全保障政策通が、「集団的自衛権」の成り立ち、日本における解釈の変遷、リスクとメリットなど、あらゆる疑問に正面から答える。現在準備中の国家安全保障基本法案の概要も掲載。【「TRC MARC」の商品解説】
関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40203173 -
「集団的自衛権」と聞くと、イコール他国の戦争に巻き込まれるといった危険、をイメージしがちである。しかし、昨今のウクライナ情勢に垣間見られる様に、今日の安全は明日の安全には繋がらない。結局のところ、身近なレベルで国家の危機をどう考えるか、という問題意識を持つことが大切であると考える。誰も戦争が利益を生まないことは理解しており、国際社会と上手く連携し、集団安全保障の緊密さを高める上でも、よく考えたいテーマである。
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この国の武装のあり方を分かりやすく説明しているのだが、深みが足りない。それは過激やヘイトを求めている事ではなく、過去の戦争から何を学んだのか反省すべき課題を提示することにある。ま、あくまで主題は集団的自衛権に限っているのだから、ではなくそこまでの言及が必要だと考える。
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石破幹事長による、集団的自衛権を巡るこれまでの議論のまとめ。集団的自衛権を巡る議論はもう、完結しているんだなと再認識。自衛権を巡る憲法解釈が今までどのように変化してきたのかについてもわかりやすくまとまっている。かなり無理していろんな意図を込められている『憲法解釈』がいかに変わってきたのか。そして、『憲法解釈を変えるな』がいかにこれまでの経緯を無視しているのかがよくわかるw公明党は何周遅れなんだよとw
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さすがに詳しい。「如何にして無知の衆愚を説得するか」という文体が鼻につく。同じ論調の繰り返しがおおいのが残念。タイムリーに読めば面白い。