警視庁科学捜査最前線 (新潮新書 575)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106105753

作品紹介・あらすじ

警察小説、ドラマが100倍深読みできます。「犯罪ビッグデータ」とは何か? 逆探知はどこまで可能? 科捜研、鑑識の仕事とは? 「パソコン遠隔操作ウイルス事件」等、最近の事件をもとに一線の記者が徹底解説。

感想・レビュー・書評

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  • 日本の警察の捜査は世界レベルでは遅れている。
    そんな話は昔から聞く。
    しかし自分が思っているよりは酷くなかった。
    だが同時に、足りていない部分も多い。
    そして充実しているのは都会ばかり。
    地方ではまともな捜査は期待出来ないらしい。
    怖い現実だ。

  • ●捜査支援分析センター略してSSBC。防犯カメラの画像解析や、犯人像を分析するプロファイリング。
    ●Nシステム(自動車ナンバー自動読み取り装置)
    ●「犯人が送り先を事前にパソコンなどで検索している可能性がある」として脅迫状の送付先のおよそ70社から合わせて43億5000万件に上るIPアドレスのアクセス履歴の提供を受けていた。そこから共通項が浮かんだ。大阪市内のネットカフェのパソコンから検索されている。
    ●AFIS自動指紋識別システムのこと。まずはシステムで識別し、最後は指紋鑑定官が合議して決める。
    ●現在のDNA鑑定の確率は、4兆7000億分の1の識別力。しかし一卵性双生児は同じDNAを持つ。
    マルチプレックスSTR法と呼ばれる。

  • 防犯カメラについてが多かったです。設置や分析について。また、パソコン遠隔操作事件など、ドキュメント形式で事件を追う項がつよく興味をひかれながらの読書になりました。刑事物、事件物はフィクションでもほぼ読まないのだけれど、それが読み物になったときの面白味を感じました。道路の上、空中に設置されたカメラのあるところがあるけれど、「あれさ、オービスではないけど、犯罪関連の車を見てるカメラなんだって」っていう噂は聞いていたものの、Nシステムという、カーナンバーを識別していたりするものだとははっきり知らなかった。なんと信号機内臓タイプもあるそうです。そういった感じで、具体例を引きながら、科学捜査の現在について教えてくれます。捜査支援分析センター、略してSSBCについての本ですから、その組織がどう分かれていて、部署ごとにどのような仕事を受け持っているかも事細かに書いてありました。

  • 2011年目黒強盗殺人事件、2013年パソコン遠隔操作ウイルス事件など最近の事件をネタに警察の科学捜査をわかりやすく解説している。
    Nシステムや防犯カメラが事件解決に有効なのはよくわかる。けど、ここまで監視されてると思うと余りいい気分はしないかも。ちゃんと犯罪捜査に使ってね。

  • 非常に興味深い本。
    私は防犯カメラ設置推進派。
    家の中を見られる訳ではないので,プライバシーの問題は気にする必要はないと思うけど。。。

  •  著者は、現代警察(本書出版時点)のなかにおいて
    科学捜査にかかわる技術・人を礼讃している。
     じゃあ、過去においても科学捜査は、万能だったの
    だろうか。足利事件、DNA鑑定における警察の偽装疑
    惑。警視庁管内の未解決事件。特に遺留品等があるのに
    未解決となっている重大事件。「八王子スーパー強盗事
    件」「世田谷一家殺害事件」など。科学捜査が機能して
    いるのか疑いたくなるほどのずさんさだ。
     いくら高度な組織・優秀な人間であろうと、結果が
    伴わなければ無価値である。また、誤った結果を信じ
    無辜の人間を陥れることは、あってはならない。
     10件中、5件の成果がでればよいという。ことでは
    ない。全てに対し常に誤りのない成果をださなければ
    意味がない。「そんな完璧なことは無理」というのなら
    そもそも、その職に就くべきではない。
     テレビで盛んに「警察24時」的な番組があるが、
    緊迫感の欠如した「月給警備員」に、治安を期待する
    事自体が陳腐である。テレビに出る暇があるなら、
    早急にコールドケースを解決するべきである。
     また過去において、カルト教団事件などでは、関与が
    濃厚であり、重大犯罪を起こす危険性をわかっていたの
    もかかわらず放置し、その結果多くの被害者を招いたこ
    ともある。当時の法制度では、限界であったという方便
    を当時の警察指揮者等が発言しているが、そんな言い訳
    を回顧的に言ってる程度の組織に治安を守るという、基
    本的な概念があるのか疑問である。

  • インターネットで見かけて。

    ごく最近のしかも世間を騒がせた事件を取り上げつつ、
    最近の科学捜査について述べられていて、
    とても興味深かった。

    2009年に発足した、防犯カメラや電子機器の解析を行う「捜査支援分析センター」が、
    犯罪の手口から犯人像を探るプロファイリングの役割も担っているとは思わなかった。
    (その略称がローマ字読みのSSBCなのは、ちょっと可笑しかった)

    他にも、
    パソコン遠隔操作ウイルス事件で捜査員がアメリカにまで捜査に行っていたこと、
    警察犬の中には人間の生死を嗅ぎ分ける訓練を受けた犬がいること、
    警視庁ではモンタージュ写真ではなく、9割がた似顔絵が捜査に活用されていること、
    2009年に未解決事件を捜査する「匿名操作対策室」が発足されていたこと等、
    いろいろ学べて良かった。

  • 街頭の防犯ビデオから犯人の足取りを追うなどは、現実の事件でもよくあることなので予想した通りだった。

    しかし、TVドラマでよく見られる、不鮮明な防犯ビデオの一部分を拡大して、かつ鮮明な画像にする場面などは、現実には無理だろうと思いながら観ていたのだが、DAIS「Digital Assisted Investigation System」というパソコンソフト使って実現されているようだ。

    また、「三次元顔形状データベース自動照合システム」を使えば、”下を向いていたり、サングラス、マスク、帽子等で顔が隠れている””防犯カメラで撮影された被疑者の顔”を”別に撮影した被疑者の三次元顔画像を防犯カメラの画像と同じ角度及び大きさに調整し、両画像を重ね合わせることにより個人識別を行なうことが”可能のようである。

    TVドラマや映画の世界に現実が追いつきつつあるのか、はたまた「真実は小説より奇なり」なのかと、驚かされる。

    一方、『黒子のバスケ』脅迫事件では、事件現場周辺の防犯カメラから共通の不審人物が確認された。また、”「犯人が送り先を事前にパソコンで検索している可能性がある」として、””500通に及ぶ””脅迫状の送付先のおよそ70社からあわせて43億5000万件にのぼるIPアドレスのアクセス履歴の提供を受け”た。”「膨大な履歴を高速で検索・分析」できるソフトを民間会社の協力を得て活用”し、”ついにIPアドレスの「共通項」”「大阪市内のネットカフェのパソコン」”をつきとめる。”店や周辺の防犯カメラは30代の男を捉えていた。肩には黒地に白い線が2本入ったリュックサックをかけている”。”捜査員たちは大阪駅周辺に狙いをしぼり「見当たり捜査」を敢行した。見当たり捜査とは対象となる人物の顔や服装などの特徴を記憶して、駅頭や街頭に立ち探し出すという「職人技」の捜査手法である。捜査員たちは「白線入りのリュックサック」に注目していた。”そして、”JR大阪駅で張り込んでいた捜査員の前に体格がよく似ていて、白線入りのリュックを背負った男が現れたのだ。男はそのまま東京行きの高速バスに乗り込む。捜査員たちも後につづいた。””新宿駅のバスターミナルで下車した男は山手線で恵比寿駅に向かった。ここでも捜査員は男の後に続く、恵比寿駅近くの郵便ポストに男が「何か」投函しようした。捜査員は男に近づき職務質問した。””男は「個人情報です」と話し抵抗していたが、結局リュックを開ける。中からは20通の脅迫状が見つかった。

  • 防犯カメラ・Nシステム・ネット犯罪等、最新ツールを武器にした犯罪捜査の詳細を実例を挙げながら解りやすく解説。
    プライバシーの問題はあるが、捜査の飛躍的進歩の一端を垣間見ることができる。

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著者プロフィール

1974年千葉県生まれ。中央大学文学部卒業。1999年にNHKに入局し、地方局や東京の報道局ニュースセンターでディレクターとしてニュース番組の制作に10年間携わる。その後、民放テレビ局に移籍し、警視庁キャップ・ニュースデスクなどを歴任。主な著書に『警視庁科学捜査最前線』『マル暴捜査』(以上、新潮新書)、『テロVS.日本の警察 標的はどこか?』(光文社新書)、『警視庁監察係』(小学館新書)などがある。

「2019年 『風俗警察』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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