新聞社崩壊 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
2.86
  • (3)
  • (4)
  • (23)
  • (10)
  • (3)
本棚登録 : 209
感想 : 19
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106107535

作品紹介・あらすじ

元朝日新聞販売局の部長が徹底分析! 減り続ける部数、紙面不信、高い代金……限界を迎えつつある新聞ビジネス。独自のデータを駆使した全国四十三紙の経営評価で、消えてゆく新聞社の姿が見えてくる。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 私がその最末端にいる新聞業界は、言わずと知れた斜陽産業です。
    斜陽どころか、陽は既に沈み切ったという説もあります。
    まず部数の減少が止まりません。
    それは体力のある全国紙も同様です。
    濃淡はあります。
    本書によれば、朝日と読売、日経は勝ち組、反対に毎日、産経は負け組です。
    でも、朝日、読売、日経も安閑としてはいられません。
    何と言っても、2025年には今より新聞購読者がさらに3割も減るのです(今や50代の半分以上が新聞を読まない時代です)。
    その時、新聞業界には焼け野原よろしく荒涼たる風景が広がっていることでしょう。
    いずれにしろ戦後、旗艦メディアとして躍進の原動力となった今の新聞のビジネスモデルは、もはや崩壊していると言っていいのではないでしょうか。
    では、どうするか。
    本書では、その処方箋を示しており、実に興味深いです。
    まず、高い購読料を下げること。
    バブル期ならいざ知らず、月に3千円を超す購読料をポンと払える世帯は、若者世帯を中心に今や少数派でしょう。
    購読料を下げれば、部数減の速度を緩慢にすることはできそうです。
    さらに、夕刊の廃止や紙面のコンパクト化、顧客の集中管理、流通の合理化などを提案しています。
    これは購読料の値下げと表裏ですが、高コスト体質を改めることも避けて通れません。
    著者は、特に人件費の抑制を挙げています。
    ただ、今の高給が保障されなくなったとき、それでも新聞記者を続ける(たとえば今の自分のような)人が果たしてどれだけいるか。
    その時、ニッポンのジャーナリズムの真価が試される気がします。
    自分は著者と同様、新聞というメディアはどんな形態になっても必要だと考えています。
    本書でも紹介されていますが、アメリカのある州では新聞が廃刊となった結果、議員の成り手が減り、投票率も落ちたそうです。
    新聞がなくなれば、フェイクニュースが今よりさらに社会にはびこることになるでしょう。
    そうしないためには、新聞業界も文字通り「身を切る改革」が必要と思われます。
    頑張りましょう。
    頑張ってください。

  • ●新聞記者ではなく、販売に携わった畑尾氏の新聞の問題
    ●①値段の高さ②記事の劣化③新聞社への反感
    ●2025年の新聞読者数の予想、人口に占める読者数はわずか23%になる。
    ●残紙と言う問題。読者数は約2000それに対して予備紙が700でした。読者がいない新聞が3割以上ゴミになっているんです毎日。
    ●1900年から2008年まで物価は3900倍になった。新聞は33銭から1万倍以上に値上がり。
    ●戦後の新規さんには限られている。その中で断然光っているのは、1970年代の「日刊新愛媛」である。1985年には、愛媛新聞を凌駕した。80年当時の定価は900円で愛媛新聞を1900円に比べて際立って安価だった。しかし、84年にある記事をめぐって愛媛県知事から取材拒否をされ、それが原因で広告収入が激減。造成不況による親会社の経営不振も重なり、1986年12月末であえなく廃刊となった。
    ●定価販売の徹底。無代紙とは、一年とったら2カ月は無料という値引き。
    ●再販制度は、「小売店が顧客に販売する価格をメーカーが決める契約をしても良い」ことを法的に認めている。そのため全国の新聞社は一様に、販売店との契約で定価販売を義務づけている。
    ●新聞社は編集が半分くらいいて、販売は少ない。縁故入社が多い、嫌われる、
    ●実売部数が減っても、仕入部数を減らせないから、残紙が増えるのである。押し紙も積み紙も同じこと。折り込みの収入は仕入部数についてくるから、補助金もあるから、なかなかやめれない。
    ●値下げ、夕刊廃止、紙面コンパクト化、流通の合理化、人件費の抑制、販売店の多角経営化

  • 年間の新聞購読社、甘いデスね。半分以下です。
    北タイの件は、古過ぎます。

  • トランプ大統領登場によってフェイクニュースという言葉が取り上げられてジャーナリズムの危機が叫ばれたり、GAFAというプラットフォーマーの圧倒的存在感にただただ立ち尽くしたり、そもそも朝日も産経も、そして讀賣も基本の取材でやらかしてしまう昨今ヤバさが際立ってきた日本の新聞社たち。でも、それは昨日今日の問題ではなくて、もうだいぶ前から「お前はもう死んでいる」状態だよ、と指摘する本です。ものすごいざっくりとした計算ですが、新聞発行というビジネスモデルが破綻していることを証明しようとしています。元・朝日新聞で販売を担当したいた人のぶっちゃけ話に、つい「またかよ…」「辞める前になんとかすりゃいいのに…」と思ってしまうテイストの本ですが、一点「そうだよな…」って納得するのが、新聞社にあまりに消費者発想、読者視点がない、という指摘。ジャーナリズムとマーケティングを水と油と考えていると限りにおいてビジネスとしての新聞発行は有り得ない、と思いました。水と油を攪拌してドレッシングみたいに出来るかどうかに新聞の未来はかかっている?個人的には増田俊也「北海タイムス物語」の舞台である新聞社がいかにして潰れていったのかのドキュメントが詳細に記されていて勉強になりました!

  • 新聞が読者を念頭に置かないのはそのとおりだと思う。

  • 新聞業界の研究のために、タイトル買いで読んでみた書籍。購読者が減少の一途を辿り、デジタルシフトも進まない現状を憂いつつも、最後に生き残りのための方策を示している。
    著者が元朝日新聞の販売局社員という事で、厳しい論調が目立つものの、最後には情熱を感じた。

  • 東2法経図・6F開架:070.1A/H42s//K

  • 新聞業界の斜陽化についてインサイダーの視点から語った一冊。

    インターネットの影響についての記述は少なかったものの、インサイダーならではの情報があり勉強にはなった。

  • 著者の指摘する新聞社を待ち受ける避けようのない危機に対して、部長職まで拝命していた人間が在職中にどのような行動をとったのかが気になった。
    著者が退職したのは2015年、部長職となって15年もの時間を彼が新聞社崩壊を防ぐために何をしたのか?
    そして辞めたとたんに新聞社とは関係ない第三者的なスタンスで書かれているのは、やはり朝日新聞出身者なんだなと、この点だけは妙に納得できました。

  • インターネットに押される日本の新聞業界の現状を告発する一冊。

全19件中 1 - 10件を表示

畑尾一知の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×