脳は回復する 高次脳機能障害からの脱出 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106107542

感想・レビュー・書評

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  • 読了。凄い本である。希望が見える本。

  • 前作から文章を読む限り著者はすっかり回復してジャーナリストに復帰したのかと思っていたら、取材記者は引退して漫画の原作や記事の執筆など書く方に専念しているのだと知る。免許センターに電話して簡単な質問をするだけのシーン、地味に書かれているが感動。電話が終わって妻のところに行き「電話もして会話ができたよ〜、こうやっていろいろなことができるようになるのかなー?」と泣きながら報告する。妻は素晴らしい理解者。自身も発達障害で若い頃は家出したりしていたが、著者の病気に動じることなく、言葉を発せずミャーミャー言うしかないパニック状態の夫を楽しそうに面倒見る。
    企業でも分業をすれば、脳コワさんでも働ける、はなかなか説得力がある。飛び込み営業ができる人がルート営業までして時間を使う必要はない、から始まり機能的に分業して脳コワさんが活躍する社会は強い社会なのではないか。

  • 脳障害は脳のスピードが遅くなるという推理には納得した。スピードが遅いので処理能力も落ちる。そして、処理が増えると能力が追い付かなくてフリーズする。これが、パニックの原因だ。脳をパソコンのCPUと考えればいいのだ。

  • 脳については、わからない事が多い。
    高次機能障害を負った著者による本。

  • 916

  • 脳梗塞による高次脳機能障害の当事者による、回復(筆者曰く95%までの回復)までの貴重な体験記。置かれた状況は深刻なのだが、一つ一つの症状に対する奥様の絶妙なネーミングに、ちょっと笑ってしまう。
    具体的に事例が書かれているので、「そうか、当事者の心のうちはこんな状態なのか」と思うことしきり。
    『その人が苦しいって言ってたら、苦しいんです!』という最期の一言を忘れないようにしよう。

  • 「脳が壊れた」の続編。脳梗塞から時間が経って、その間、相当つらいことも多かったようだが、身体機能だけでなく、高次脳機能も回復してきたようで、相当程度回復したところで、回復途上の苦しさや問題点を回顧しつつ、発達障害などによる貧困者という著者がライフワークとしている要支援者との類似性、そして、支援の枠組みの類似性について考察・主張している。
    著者が声を大にして言いたいことの一つが、医療者が当事者の愁訴をきちんと受け止めていないのではないかということ。たしかに、経験者としての切実な響きがあり、また、経験していない健常者には分かりにくいことなのだろう。
    家族や職場に、「脳コワさん」がいる人が読むと、本人も周囲も少しハッピーになれそうな気がする。

  • 41歳で脳梗塞を発症。リハビリを重ね、日常生活に復帰した「僕」を待っていたのは「高次脳機能障害」の世界だった!小銭が数えられない、「おっぱい」から視線が外せない、人混みを歩けない、会話が出来ない、イライラから抜け出せないの「出来ないこと」だらけに加えて、夜泣き、号泣の日々。『脳が壊れた』から2年、著者はいかにして飛躍的な回復を遂げたのか。当事者、家族、医療関係者、必読の書。(袖)

    言葉はわざと軽くしているように感じましたが、内容は重いです。
    述べられている要望に応えられるかというと、現状、自身、難しい。
    ただ、せめても心に余裕をもち、向き合いたいと思いました。

  • 高次脳機能障害から回復した著者の貴重なルポ。これほど詳細かつ具体的なルポは他にないのでは?脳梗塞だけでなく、他の脳障害とも共通する症状も多く、非常に勉強になる。
    全国の高次脳機能障害者数は約50万人といわれているが、著者が指摘するように当事者研究が一向に進んでおらず、医者がトンチンカンな回答しかできない現状では、かなりの不満が渦巻いているのではないかと危惧する。

  • 『脳が壊れた』の続編。頭が働いていないように側から見えても、当事者はいっぱいいっぱいでフリーズしてる、というのは、わかっていてもなかなか上手く対応してあげられなさそう…、ってか、相手が自分が思っても見ない困り方をしてる場合がある、ということにまず気づくことからなのかも。

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著者プロフィール

1973年千葉県生まれ。文筆業。子どもや女性、若者の貧困問題をテーマにした取材活動をし、代表作として『最貧困女子』(幻冬社新書)などのあるルポライターだったが、2015年、41歳のときに脳梗塞を発症し高次脳機能障害が残る。当事者としての自身を取材した闘病記『脳が壊れた』『脳は回復する』(ともに新潮新書)が話題に。他にも、夫婦での障害受容を描いた『されど愛しきお妻様』(講談社)『発達系女子とモラハラ男』(漫画いのうえさきこ。晶文社)、当事者視点からの実践的な援助ガイドを試みた『「脳コワさん」支援ガイド』(日本医学ジャーナリスト協会賞受賞。医学書院)、当事者と臨床心理士との対話を記録した『不自由な脳』(山口加代子氏との共著。金剛出版)などの著書がある。

「2021年 『壊れた脳と生きる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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