- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106109331
作品紹介・あらすじ
シリーズ累計660万部突破! 『バカの壁』に始まる「壁」シリーズの最新刊!!
感想・レビュー・書評
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いつもの養老先生が歳とったせいか、そこまで小難しい話をしなくなった感じがしました。猫の「まる」との所だけ読んでも良いかも…と思います。猫好きな方にはそこだけでも!
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この前に池上彰さんと佐藤優さんの『激動 日本左翼史 学生運動と過激派 1960-1972』を読んで、東大紛争について学んだばかり。
この本では、養老孟司さんがまさに東大紛争のときに教室助手として働いていて、ヘルメットにゲバ棒、覆面姿の学生たちが20人ほど押しかけてきた様子が描かれていて「たった数日の間に。なんと奇遇なことでしょう」と思った私。
(もう少し読み進めていくと、さらに紛争について書かれているところがあります。)
そしてもう一つ、一昨年東大病院に入院した時のことです。
主治医として中川恵一さんにお願いしたそうです。
あれ?聞いたことある、その名前。
ブクログ本棚を見たら、昨夏この中川さんの本を「読みたい」で登録。(公開にしてあります。)
『未成熟な日本人』どうなったのかしら?
この本は全部とても面白かったけど、この入院のところは驚きました。
養老孟司さんは医学部教授だったのに、病院が大嫌いだそうです。
〈現代の社会状況ではいったん医師の手にかかったら、医療制度に完全に巻き込まれるからである。自分がいわば野良猫から家猫に変化させられることになる。そうなると甘いものがどうとか、タバコはやめろとか、日常食べるものから嗜好品まで、いいとか悪いとか、小さな行動にも点数が付く。
委細構わず好きにすればいいかというと、周囲が医療制度というシステムに巻き込まれているから、あれこれ言われてしまう。コロナ自粛下におけるさらなる自粛の強制みたいなものである。
そこで周囲と対立喧嘩しても大人気ないと思うから、衆寡敵せず少数派の私が折れることになる。そうすると私自身の人生なのか、医学が指定する人生なのか、よくわからなくなってしまう〉
こんな感じで、養老孟司さんがひねくれているので面白かったです。 -
本の紹介がいくつもされていて、
もっと本を読みたくなる本であった
養老孟司さんが
コロナ禍に際して、ALS患者への嘱託殺人について、医療について
綴っている
愛猫まるの死は、猫好きの私にとっては、読んでて悲しくなりました -
心筋梗塞を患った著者をたまたまyoutubeで見かけたら、本書に書いてある通り瘦せてしまっていた。老いと病というものを目の当たりにした。病院に行ったときの状況が本書では書かれていて、著者が元気な頃に書いた文章と本書は少し趣が違うように感じた。
「自分のやることなんだから、すべては自分で考えるしかないんだな。」(P18)「やろうと思うことをするだけである。」(P19)
行動原理で尤もな事なので引用させてもらった。
「人生は本来、不要不急ではないか。」(P22)
人生は本来不要不急かもしれないが、諸所の事情で急になりがちで、不要ではないと思うが、本質的には不急かもしれない。サボったりすると急になるから、準備していない場合は急になることを覚悟する必要が生じる。
「情報にもエントロピーの第二法則が該当するとすれば、現代の混迷がよくわかる。なにかがわかったということは、別なことが同じくらいに、わからなくなったということだからである。」(P30)
というのは、わかることが増えるとわからないことも増えるということ。結局プラスマイナスゼロだから、あまり知ることに夢中になると、人類全体に当て嵌めても、個人に当て嵌めても、知らないことが増えるという、本当のようで確かめようのない説。
「起きて半畳、寝て一畳」(P46)
この慣用句にあるように生活するのに広い場所は本来必要ない。豪邸に住みたがる人達の欲への戒めになる。一人の生活に必要な空間は狭くて十分と気づく。狭い方が生活しやすいと思う。
「なせばなる。そうはいっても、「人生成り行き」」(P151)
なせばなる、と意気込んでも、なせる人もいるだろうし、なせない人もいる。多くの人が千の夢をもって成就させようと思っても、一も叶わないとよく言う。そういうことも含めて、人生はどんどん進んで行く。 -
「壁」シリーズ。もういいかな…
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コロナで「不要不急」という言葉が毎日のように聞かれ、ステイホームが推奨されて、これまでの日常の当たり前が当たり前じゃなくなったりして、いろいろなことを見直してみるきっかけにもなった昨今ですが、そんな中で、養老孟司さんの本でも読んでみようかと思って、読んでみました。
戦争を経験した昭和の時代から、平成、令和と時代が進む中を生きてきた養老孟司さんの振り返りまとめ的な一冊。
感想を書くのが難しい本です。 -
「ああすれば、こうなる」とはならないからおもしろい、と思う。なかなか思うようにならない、それが自然のなせる業で、何でもかんでも思い通りになるとかえってこわい。うちの家の前は土のままである。春にはホトケノザが咲き、夏にはカタバミが咲く。冬場もなんだかつる性の植物が小さな花をつけている。おそらくいろいろな菌もいることだろう。そのためかどうかわからないが、我が家の家族はかぜをひくことが少ない、と思う。養老先生が病院にかかったという話は他でも読んで知っていた。しかし、それほど重いとは思っていなかった。だから最近は元気がなかったのか。でももう80歳代も半ば、致し方ないのだろうなあ。うちの両親も80歳代後半に入って病院に入ったら、結局裏の出口からしか出られなかった。母親は、3軒ほど転々とした上での話。最後はたくさんチューブをさされたりしてかわいそうなことをしたと反省している。まるはどこで死ぬつもりだったのか。それを見つけて病院に連れて行ってしまったのは飼い主のエゴか。しかし、養老先生の猫っかわいがりようは本書を読んでよく伝わってきた。2人称の死について気になっていることがある。長く一緒に仕事をしていた。その後、離れていて、聞くと病気が見つかってかなり大きな手術をしたとのこと。その後一度だけリモート飲み会をしたのだが、それからの様子が聞けないでいる。再発したりしていなければよいが、連絡を取って何かがわかってしまうのがこわい。2人称の死であっても知らないままで何十年とたてば、その間はその人は僕の中で生き続ける。頻繁にSNSなどに書き込みをしていた人がぷっつりと途絶えるとそれも心配である。まあでも、単に面倒なだけかもしれない。自分の中のブームが去っただけかもしれない。自分も似たり寄ったりだし。ところで、今回はいろいろと本の引用があったように思う。いままではそういうのがなかったような気がしている。アイデアはみんな養老先生のオリジナルかと思いきや、もちろんそれはいろいろと読んだ上で自分の中で消化吸収して話されていることなのだろう。だれのアイデアかなんてわからない、だからプライオリティとかあまり気にしない、というようなことをどこかで読んだ記憶もある。僕もだいたい誰かの受け売りであることが多い。40%くらいが養老先生だろうか。あとは森毅、梅棹忠夫、河合隼雄、内田樹あたりだろうか。壁シリーズ、「自分の壁」だけなかったので、この機会に買いそろえた。そして、なぜか「死の壁」のレビューは見つからない。
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人の機能を細分化すると社会の構図と同じになる。意識に無があるように都市機能に無秩序【欠陥】があるのは力学による負の自然作用らしい。
シンギュラリティ到来により完全社会が実現した時、負の矛先はどこへ向けられるのか…