異論正論 (新潮新書)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106109560

作品紹介・あらすじ

意見が対立することや面倒な議論を政治家は先送りにしてきた。経済、医療、安全保障等、すべてにおいてツケは溜まっていくばかり。次の世代がその負債を背負わされ、国が滅びていくのを見過ごして良いはずがない。ならば、どんなに煙たがられようとも、異議を唱え、信じる正論を語り続けるしかないではないか――政界きっての政策通が新型コロナ禍から国防まで直近のテーマをもとに正面から堂々と語る論考集。

感想・レビュー・書評

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  • 2021年2月~2022年2月のデイリー新潮に掲載された論考集。
    菅政権から岸田政権の時期で、コロナ禍で顕在化した問題などについて考えを述べたもの。

    安全保障や国防論、外交、税制など、支持できかねる発言もする石破さんだが正直者だ。
    世間の雰囲気に迎合せず、「それはおかしいのでは」と言えるのも石破さんだ。
    疑問に感じたことは、きちんと事実を調べて自分なりの意見を述べている。

    今まで政府が放置・先送りしてきた一番の問題は、少子高齢化の対策だろう。
    ちょっと調べてみたら、出生数が100万人を切ったのが2016年で、2022年は77万人にまで減っている。
    2023年は半期で37万人らしい。
    コロナのせいにする人もいるが、コロナ前後で減少傾向は変わっていない。

    これは、若い世代の労働人口が激減していくということだ。
    農業、介護、運送、インフラ維持、などの人手不足が特に心配になる。

    石破さんは地方創生が出生率の低下抑止に繋がると力説している。
    大都市への一極集中がいいという人もいる。
    今まできちんと議論してきていない課題が山積みのようだ。

    国民が見ている場で、オープンな議論をしようと言っている。
    議論をするには、一定程度、知識の基盤を共有できている必要がある。

    石破さんの発言は常に国民に向けて丁寧に説明することを心掛けているように感じる。
    共感できなくても考えていることは納得できる。
    他国の歴史、特に近代史からの成功・失敗例もよく勉強しているようだ。

    私にとって石破茂さんは、信頼できる政治家の一人だ。
    どんな話題を振られても、自分の言葉で語ることの出来る石破茂は尊敬に値する。

    小泉政権が良かったとは思わないが、小泉以降は「悪夢の〇〇政権」の繰り返しのように感じている。
    石破さんを総理にして、嘘やその場しのぎの楽観論に逃げないまともな政治になることを望んでいる。
    今の日本の政治には、多くの人が身に付けてしまった政治不信を取り除くことが求められている。

  • なんで日本人は納税の満足感がひくいのでしょうか。

  • 安倍晋三の葬儀で秘書が身に付けていたマスクを借りる。生理的に気持ちの悪い場面を抜き取られていたのが最近の石破茂。自民党での立ち位置も複雑で完全に本流から逸れた場所にいる。論理で武装された立板に水の答弁、もはや無双したゲルの主張も、この本では虚しい正論の空撃に見える。

    コロナ対策論。アメリカやスウェーデン、中国、韓国、台湾にあるような疾病予防管理センター、CDCを作るべきではないかと石破は言う。政治的思惑から一線を引いた独立した組織。そもそもコロナ対策については、その瞬間的な世論を抜き取り、どの国が成功していると断定するのは危うく、比較して足りない物を補えという主張は根拠が弱い。CDCが何故必要か本著では説明も足りない。

    経済について。日本経済の起爆剤のように語られていたインバウンドが日本に落とすお金は約3兆円。コロナでこれがほとんどゼロになった。一方で日本人が海外に出かけて使うお金も2兆円あった。国内の旅行で使うお金が1兆円。ならば国内消費でインバウンド減をカバーできるはず、と収支の計算を述べる。財布の違う持ち主を比較して金勘定をしても、日本の観光業の2兆円不足をどうカバーするか説明にはならない。これも何が言いたいのか、説明が足りない。

    緊急事態条項について。石破は憲法に緊急事態条項も軍隊も記されていない事は大きな問題だと訴えてきた。緊急事態に際して政府が平時よりもつよい権限を行使できると言う条項は世界の多くの国で憲法などに明記されている。私権の制限につながること、政府に大きな権限を与えることを危険視し、弁護士会や学者の多くに根強い反対論がある。では、反対論をどう乗り切るのか。

    週刊誌向けのボリュームでは説明に限界か。ゲル閣下、野党を煽っている場合ではないのでは。

  • 東2法経図・6F開架:310.4A/I71i//K

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著者プロフィール

1957(昭和32)年鳥取県出身。慶應義塾大学卒業後、三井銀行(現三井住友銀行)に入行。1986(昭和61)年、29歳で衆議院議員初当選、以来9期連続当選。農林水産政務次官、農林水産総括政務次官、防衛庁副長官、防衛庁長官を経て、2007(平成19)年に防衛大臣、2008(平成20)年に農林水産大臣。自由民主党では過疎村対策特別委員長、安全保障調査会長、高齢者特別委員長、総合農政調査会長代行、政務調査会長等を歴任。2012(平成24)年から自由民主党幹事長を務める。主な著書に『職業政治の復権』、『国防』、『国難』、共著に『坐シテ死セズ』、『軍事を知らずして平和を語るな』、『こんな日本を作りたい』など。

「2013年 『国防軍とは何か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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