がんの消滅:天才医師が挑む光免疫療法 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106110061

作品紹介・あらすじ

原理はシンプル――だがその画期的機構から「第五のがん治療法」と言われ、世界に先駆け日本で初承認された「光免疫療法」。研究者たちが「エレガント」と賞賛し、楽天創業者・三木谷浩史を「おもしろくねえほど簡単だな」と唸らせた「ノーベル賞級」の発見はなぜ、どのように生まれたのか。各メディアが取り上げた天才医師に5年間密着、数十時間のインタビューから浮かび上がる挫折と苦闘、医学と人間のドラマ。

感想・レビュー・書評

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  • こんながんの治療法があることをはじめて知った。まだ、一部の部位でしか認められていないようだから、もっと治験が進んであらゆるがんの治療で行えることを期待したい。

  • 外科手術、放射線治療、化学療法、がん免疫療法に次ぐ、第5のがん治療法となる光免疫療法と、その開発者である小林久隆博士を紹介した本。

    学術入門書というよりはよくあるプロジェクト紹介のビジネス書に構成は近く、スポンサーとなった三木谷楽天会長との出会いや、小林博士自身の生い立ちにかなりの分量が割かれている。

    光免疫療法とは、がん細胞特有のたんぱく質(抗原/腫瘍マーカー)に結合する物質(抗体)と、近赤外線を照射したときに切断・変形するIR700という人工色素を使い、抗体とIR700を結合させたものをがん細胞と結合させ、近赤外線照射によりIR700が切断・変形する際にがん細胞の細胞膜、ひいては細胞そのものを破壊するというもの。
    さらに、がん細胞が破壊される際にがん細胞の抗原情報が周囲に伝達されることにより、がん細胞に対する免疫機能が顕著に活性化し、残ったがん細胞も破壊されるという2段構えの機構となっている。

    抗体を工夫すれば、9割程度のがん治療に有効だという。

    患者の人体への侵食が少なく(なく?)、がん細胞破壊の効果が大きいという理想的な治療法で、今後の発展が期待される。

  • 画期的ながんの治療法である光免疫療法についての解説とその現象の発見から治療法としての開発過程をまとめた本だが、小林久隆の研究者としての発想の素晴らしさと心意気がライターの芦澤健介の筆力でユニークな読み物となっている.これまでのがん治療法は、外科療法、放射線療法、化学療法、がん免疫療法があるが、対象とするがん細胞の根絶はできても、周囲の健全な細胞にもダメージを与えるという欠点はどうしようもないと認識されていた.光免疫療法はミサイル療法と例えられるようにがん細胞だけを消滅させる.がん細胞は正常細胞のコピーミスから突然変異で生まれるもので、人間の体の中では1日に5000~1万個のがん細胞が生まれていると言われ、通常は私たちの体に備わっている免疫システムなどによってほとんどが摘み取られる由.それをくぐり抜けてひそかにがん細胞が成長する.それをこの光免疫療法で根絶できる日は近いと感じた.

  • 背ラベル:494.5-セ

  • 光免疫療法に関して、詳しくは小林先生御本人の著書を読むとしても、第5のがん治療として分かりやすく書かれているので、導入としては最適だ。また、小林先生の生い立ちと苦労されてきたこれまでも語られるため、それも相まって光免疫療法に興味を持つことができる。まだたくさんの解決しなければならないことがあるけれど、がん治療の前進を、これからも見続けていきたい。

  • p59 光免疫療法で最初に認められた治療薬 セツキシマブ(アービタックス)

    p62 アキャルックス

    p80 ポプジーボに限らず、他の免疫チェックポイント阻害薬でも同じですが、どのT細胞に働きかけるかという選択ができていないことが問題

    がん細胞を破壊するのと同時に、主要周辺の制御性T細胞だけを選択的に壊してやれば、がんを攻撃する免疫のみがさらに活性化してがんに攻撃を加えるはずだというわけです

  • ハードワークしないで何かを成し遂げた人はいない。

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著者プロフィール

1973(昭和48)年、沖縄県生まれ。茨城県育ち。横浜国立大学経済学部卒。ライター、編集者、構成作家。NHK国際放送の番組制作にも携わる。日本在住の外国人の問題から、がんの最新治療法まで取材範囲は広い。著書に、外国人留学生の実態に迫ったルポ『コンビニ外国人』(新潮新書)、共著に『本の時間を届けます』(洋泉社)などがある。多文化社会研究会所属。

「2019年 『となりの外国人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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