ニッポンの闇 (新潮新書)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106110146

作品紹介・あらすじ

明晰な頭脳と該博な知識で時代を分析する「脳科学者」と、テレビ界、芸能界を40年生きのび、いまや日米のメディアの表も裏も知る「謎のガイジン」。現代日本を覆う「コンプライアンス」や「忖度」が生み出した「タブー」をテーマに二人がジャニーズ問題から統一教会問題までをも語り尽くすと、見えてくるこの国の問題点、目指すべき未来とは。「ニッポン」の周縁と中心を自在に往還する二人ならではの「異能対談」。

感想・レビュー・書評

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  • 中野信子さんの本31冊目。
    対談に限ると10冊目。

    三浦瑠麗さんとの『不倫と正義』を読んだとき
    「どちらも好きなんだけど、
    対談というのは違うタイプの組み合わせのほうが面白いかも」
    と思ったのです。

    この『不倫と正義』を読んだデーブスペクターさんは
    「僕とも本を作ってくださいよ!
    あれと同じ形で……(略)」と中野さんに提案
    新潮社に相談してこの本ができたとのこと。

    兼近大樹さんとの対談を読んだときは
    中野さんの相手は彼が限度かなと思ったけど、
    この本を読んで
    まだまだいろんな人と対談できる
     ∞ と思いました。

    今回のお二人もちがうタイプですが、話がはずみ
    意見の一致するところも多々あります。

    「コメンテーターの明暗は、
    本を読んでいるか読んでいないか
    その違いがすごくわかる」とデーブさん。

    中野さんは同意しつつ「たまに変に読む人がいる」と。
    「上辺だけ読むっていうのかな。
    都合のいいところだけを切り取って、
    自分の考えを補強するところを集めるみたいな」
    うーん、なるほど。考えさせられました。

    中野さんはデーブさんをこう言います。
    〈デーブさんとメディアとの付き合いはもう半世紀以上になるわけで、複数の文化圏にまたがって、人間の闇を見続けた人でもあります。
    その人が発する言葉は、何でもない言葉であっても、選び抜かれた言葉でもあるのです。もちろんデーブさんは何でもない顔をしてそういうことをするのですが、まるで武芸の達人のようにも見えてきます〉

    中野さんは脳科学者という肩書の
    本をたくさん読んでいるコメンテーターだと思いました。

  • ジャニーズ問題から同調圧力、コンプライアンス、デルビの衰退、少子化等々対談形式でテンポよく鋭くさばいていきます。日本人以上に日本を研究しているデーブ・スペクターの指摘が光るのですがテーマが多すぎて軽くなりすぎた感が残念。一方でさらっと最近の世相を読めるメリットはあります。スマホが少子化を進め、分断を助長し世界を悪くした一因と言うのは肯首できました。

  • 東2法経図・6F開架:304A/N39n//K

  • 泣くのは、脳の倫理の領域が刺激されるからじゃないですかね。自分は尊い事に参画しているのだ!という感激が起こるので。 正義感の群集心理 もしかしたら、日本人がコンプライアンス好きなのは自分の知らないところで不当に得している誰かを、引き摺り下ろす口実を見つけたいからかもしれない。これこそ、「闇」ですよね。 病気の治療過程に於ける宗教のプラセボ効果 実際、免疫系の機能なんかに気分とか気持ちって意外に影響しているんですよ。言葉の選び方等が上手く、人の気持ちを盛り上げる能力のある宗教者と相性が合えば、本当に治っちゃう事が無い訳じゃ無い。 カルぺ・ディエム(ラテン語で今食えるものは今食えの意) 結論から言うと、日本を駄目にしたのは小泉さんとスティーブ・ジョブズか。 日本の恋愛感覚で一番好きなのは南こうせつの「神田川」 正義を振り翳す快感に溺れ切って自由になれないまま揺るぎない正しさへと向かう欲望を開陳してやまない姿にはどことなくエロみすら感じないでもありません。

  • 激しく同意。
    リンゴと非正規が闇につながってると
    ずっと思ってた。
    あぁ、昭和にもどりたい(笑)

  • 【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/570760

  • 対談しているお二人の知識量に加え観察力、洞察力の高さに圧倒されました。「流動性の低いコミュニティの関係性の内部で自然発生的に生まれるルールの恐ろしいほどの支配力」という表現が印象的でした。

  • 自分もどちらかと言うと今の日本の社会や政治に否定的な方だけど、ここまで否定しなくてもいいんじゃないのレベルで否定しててちょっと気持ち悪くなった。
    特に中野氏のいちいち海外と比べて「海外のが優ってるよね」みたいな結論付けに持ってくパターンがやたら目立った。
    ただの海外かぶれじゃらないのかなぁ、この人。

  • ●アメリカはよっぽどでない限りオーディションで出演者が選ばれる。芸能事務所への忖度がない。タレントがエージェントよりつよい。
    ●学者の世界も、面白い人はいる。だけど、その凄さや面白さを、わかる人だけわかれば良い、と思っている節があるんですよ。玄人だけがわかればそれでよくて、一般の人がわかったら、むしろ低級なものと思って見下す風潮があるというか。面白い事はたくさんあるのに、外部に伝えようと言う努力がうまく噛み合っていないんですかね。
    ●最近の人はテレビを見なくなったと言われている。もったいないと思う。実はテレビ見ている層の方がお金持ちじゃないですか。すっぱいぶどうの理論で「テレビはつまらない」と言うことにしているのではないか。
    ●フランスにはカルト認定の定義が10個あって1つでアウト。法外な献金、反社会的な説教、元の生活からの意図的な引き離し、子供の強制的な入信、マインドコントロールを使うのが大前提。
    ●極端なことを言えば、科学にできる事は、名前をつけることだけなんですよ。病気の機序、メカニズムは実はわかっていないことが多い。
    ●人間は、天国とか地獄とか、死後の世界を想像できる。だから「脅しのネタ」に使える。架空の権威を使って、生きている現実の中では、すごく大事なはずのお金を差し出させることができる。そのスキームとしてよくできているのが宗教。これを政治が使わないわけない。便利だから。
    ●時間割引率が低い人(学校の成績が良かったりする)、自分に対する報酬を無限に先延ばしができる人が宗教にはまっちゃうんでしょうね。今頑張って献金しておけば、天国に行けるはずって。
    ●なぜ脱会できないか。自分が騙されたと認めるのが恥ずかしい。認知的不協和。やっていることと思っている事が一致していない時、人は多くの場合「思っていること」の方を変えてしまうんです。そのほうが簡単で楽だから。自分は止めたくないんだ、入って良かったんだと思い込もうとする。
    ●アートとかもそうなんですけど、人間は仮想の物の価値は、実際の物の価値よりも高く見積もるんですよ。神とか愛とか平和とか、そういうものを高く見積もるんです。

  • ところどころ深い考察もあるのですが、対談形式で話が飛び飛びになるので、分かりにくいです。
    分かりにくいというか…ボーっと読んでるとデーブと中野さんの単なる与太話みたいな本なので、考察部分をよく分からないままスルーしてしまう可能性があるかなとʕ•ᴥ•ʔ
    二人ともかなりの知識人なので、よく考えながら読むとタメになるかも…!
    一つだけ勉強になった箇所を書き抜きます。

    「多様性」「多様性」と言うのはいいけど、じゃあ誰がどういう視点から評価するのという評価軸まで揺らいでくるような感じもあります。で、結局、そういう混沌としたところで力を発揮するのってトランプ前大統領みたいな人なんですよね。
    声が大きくてわかりやすい人が支持されるというのは、実験的にも明らかなんですよ。(63P〜64P)

    なるほどね〜(´ω`)

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著者プロフィール

脳科学者、医学博士、認知科学者。1975年、東京都に生まれる。東京大学工学部卒業後、同大学院医学系研究科修了、脳神経医学博士号取得。フランス国立研究所ニューロスピンに博士研究員として勤務後、帰国。現在は、東日本国際大学教授として教鞭を執るほか、脳科学や心理学の知見を活かし、マスメディアにおいても社会現象や事件に対する解説やコメント活動を行っている。著書に『サイコパス』『不倫』(ともに文藝春秋)、『人は、なぜ他人を許せないのか?』(アスコム)、『脳の闇』(新潮社)などがある。

「2023年 『賢くしなやかに生きる脳の使い方100』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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