小林秀雄全作品 1 様々なる意匠

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  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106435416

感想・レビュー・書評

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  • 世捨て人とは世を捨てた人ではない。世が捨てた人である。人は世を捨てようと願うことはできない。『様々なる意匠』1929

    聞くだけ読むだけで実行しないから、平凡な助言に飽き飽きするのだ。いかに多くの実行したことのない助言をすでに知っているかを反省したまえ。実行は平凡なものだから名助言は平凡に見える。『作家志願者への助言』1933

    思い出のない処に故郷はない。『故郷を失った文学』1933

    確かなものは覚え込んだものにはない、強いられたものにある。強いられたものが、覚え込んだ希望に君がどれ程堪えられるかを教えてくれる。『新人Xへ』1935

    肉体が土という故郷をもつように、精神は伝統という故郷をもつ。肉体が大地からあまり高く飛び上がれないように、精神は伝統(人類の記憶)から出てそう遠くにはいけない。『ルナアルの日記』1935

    歌舞伎。人間は形の美しさで充分に感動することができる。『演劇について』1936

    人間は自己を空想する。しかし自分の姿が漸次よく見えてくると、自己をあまり語らなくなる。これを人間が成熟してくるという。『文科の学生諸君へ』1937

    不安なら不安で、不安から得をする算段をしたらいい。学生時代から安心を得ようなどと虫がよすぎる。『僕の大学時代』1937

    その時代の人々が、いかにその時代のたった今を生きぬいたかに対する尊敬の念を忘れてはいけない。『戦争について』1937

    音楽が好きだから、演奏会ではよくうとうと眠る。絶対の屈従によって、心の自由を獲得する。『山本有三の真実一路を廻って』1938

    子供が大人の考えているほど子供でないのは、大人が子供の考えているほど大人でないのと同様である。『清君の貼紙絵』1940

    美しい「花」はあるが、「花」の美しさはない。『当麻』1942

    人間の化けの皮を、あんまり剥がすともはや人間ではなくなる。現代人は何かにつけ、現実暴露が、聡明な人間の特権の様な顔をしているが、暴露された現実には、もはや人間の影がなくなっている。『或る夜の感想』1950

    喜びを新たにするには悲しみが要り、信を新たにするには疑いが要る。『好色文学』1950

    古代の土器。人間は文字という至便な表現手段を知らずに、いかに長い間、優美や繊細の無言の表現を続けて来たか。▼絵を見るとは、解っても解らなくても一向平気な一種の退屈に堪える練習である。理解する事とは全く別種な認識を得る練習だ。『偶像崇拝』1950

    埴輪。こんがりと人形が焼けて、あの眼や口から煙が立ち上る時の職人の悦びを思って楽しむ。『埴輪』1952

    不安がなければ不安を発明してやる、これが青年の特権である。『青年と老年』1963

    好き嫌いの感情はでたらめのようだが、論理のようなでたらめではない。赤い花を青いという奴はいない。▼美の鑑賞に標準はない。美を創る人だけが標準をもつ。▼文明には人為的な改良や革命では死んでしまうものがある。ショックを受けると滅びてしまいなかなか回復できない。▼金持の商人は道楽という道楽をしつくして、学問が最後の道楽になった。『小林秀雄対話集』

    自分も若い日に死のうと思ったことがあるが、自分は死ねないということを学んだ。僕の生命は僕の所有ではないからである。小林秀雄

  • 相手が何者で、何をしようとしているのか。
    それを語る自分は何者で、何をしようとしているのか。
    小林秀雄はしっかりと見ようとしていた。
    そして見えたものはこのようなものだった。
    「私に恐ろしいのは決して見ようとはしないで見ている眼である。物を見るのに、どんな角度から眺めるかという事を必要としない眼、吾々がその眼の視点の自由度を定める事が出来ない態の眼である。」(p169「志賀直哉」)

    「私は、ここで問題を提出したり解決したり仕様とは思わぬ。私はただ世の騒然たる文芸批評家が、騒然と行動する必要の為に見ぬ振りをした種々な事実を拾い上げ度いと思う。私はただ、彼等が何故にあらゆる意匠を凝らして登場しなければならぬかを、少々不審に思う許りである。」(p136「様々なる意匠」)
    「私はどんな作家を語ろうとしても、その作家の思想の何等かの形式を、その作品から抽象しようとする安易を希いはしないが、如何に生まの心を語ろうとしても、語るところが批評である以上、抽象が全然許されないとなると問題は恐ろしく困難になるのだある。志賀氏はかかる抽象を最も許さない作家である。」(p165「志賀直哉」)

  • .

  • 難解ではあったが、どことなく感じられる飄々とした雰囲気が好ましい。衒学趣味に満ちているかと思いきや、知識に裏打ちされた確たる信念の発露として読める。

  • 【由来】


    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】
    ・蛸の自殺 2015/12/5(土) よく分からんかったが、真夏の海の描写は戦列なイメージ

    【目次】

  • 中学から高校にかけては、小林秀雄を読むのが流行った。そういう時代だったのかも知れない。
    この本は全32巻ほど購入、読了しているが、第1巻のみ書棚に載せよう。新仮名遣い、新字体、脚注付き、というところがまるで教科書みたいで興ざめしてしまうが、これは僕の趣味の問題であって内容に文句はない。
    確か子どもの頃に読んだときは「考えるヒント」から読み始めて、中原中也とか、本居宣長とか、興味の赴くままに読んでいた記憶がある。脚注付きなので、中学生にお勧めだと思う。どうだろうか?

  • やっぱり避けては通れなかったか。。。。

  • 2009/
    2009/

  • やはり読まねば・・・

  • 一周目。シャーペンを持って式を書きながら読み進める本。それでいて五感に働きかける本。

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著者プロフィール

小林秀雄
一九〇二(明治三五)年、東京生まれ。文芸評論家。東京帝国大学仏文科卒業。二九(昭和四)年、雑誌『改造』の懸賞評論に「様々なる意匠」が二席入選し、批評活動に入る。第二次大戦中は古典に関する随想を執筆。七七年、大作『本居宣長』(日本文学大賞)を刊行。その他の著書に『無常といふ事』『モオツァルト』『ゴッホの手紙』『近代絵画』(野間文芸賞)など。六七年、文化勲章受章。八三(昭和五八)年、死去。

「2022年 『戦争について』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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