オーデュボンの祈り 下 (Bunch Comics Extra)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 362
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784107714985

感想・レビュー・書評

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  • 素敵な寓話。

  • あいかわらず、丸いタッチのイラストには慣れませんが、この丸みがギスギスした話の流れを緩和しており、読み続けられるようにも思います。
    警官伊藤は、下巻の頃には慣れてしまって、おそろしさが抜けました。
    それどころか、なんだか余り迫力がないように見えてきます。
    あの底知れぬ腹黒さを文章並みに絵で表すのは、どれほど巧みな漫画家でもおそらく無理なのでしょう。

    日々野は、最後にはとうとう犬になっていました。
    原作でもそのような記述があったような気もしますが、ラストシーンでは音楽を耳にしたカカシの優午の方に気持ちが行っており、「犬のように四足で走り回っていた」というような表現があっても、視覚的にあまり気にしていなかったため、図示化されたものを見て驚きました。

    イラスト化されてすばらしく良かったのは、オーデュポンの旅行バトのイラスト集と、ラストのサックスを吹くシーン。
    図示することができない音楽ですが、あえてイラストで表すことで、文字に付加される表現が伝わってきました。

    伊坂作品はハードボイルド調なので、コミック化されたものはたいていとんがった鋭角的なイラストになっています。
    そんな中で、この作品はギャグマンガのようなソフトさがあるのが意外ですが、好みは別として、作品自体に親しみを感じられて読みやすかったです。
    何より、あの一筋縄ではいかない原作のイメージを損なわず、話を曲げずにきちんとコミカライズ版として徹しているところに、漫画家の筆の力、原作理解力と再構成力を感じました。

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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