軍靴のバルツァ- (3) (BUNCH COMICS)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (194ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784107716712

作品紹介・あらすじ

軍事大国ヴァイセンから同盟小国バーゼルラントに軍事顧問兼士官学校教官として赴任して来たバルツァー少佐だが、王族間の派閥争いに巻き込まれ、はからずも第二王子の知恵袋として、その権謀術数の才を買われ重用されて行く事になる。そして国を憂う王子の決断が彼の運命を変えていくことに!? 舞台は学園から宮廷、そして戦場へ!! バルツァー少佐と生徒達は時代のうねりに巻き込まれて行く!!

感想・レビュー・書評

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  • 距離を越えるための技術戦争。戦いを制するは、経済と融和。

    二巻の引きから早々に事態の収拾はなされます。
    予想された大出血を騎馬突撃による比較的少量の出血で抑え、流された血と若人の骸を栄誉という名の絹布で覆い隠す。
    必要なことだと理解しつつも、やりきれなさを飲み込む第二王子「ライナー」と悠然と役割を演じる主人公「バルツァー」。

    一方で主人公と敵対する本作のキーマン「リープクネヒト」のバックにはオーストリアをモデルにしただろう帝国「エルツライヒ」がありました。
    暴動鎮圧という貧乏くじを政治的得点に引き換えたと思いきや、帝国の介入によって天秤は戻されます。
    軍事力を要にした軍国「ヴァイセン」の政治工作は振り出しと思いきや、バルツァー少佐の発案によって経済面からの浸透を図ることに。

    少し余談を入れます。
    北と南と、二国に挟まれどっちを見ても柔らかい肉に見えているだろう「バーゼルラント」。
    工業地帯と資源地帯、経済格差や地理的要因から国が南北に分裂する「南北問題」は歴史上よくあることですが。
    その萌芽(伏線)はこの頃から蒔かれていたのかもしれませんね。

    そういうことで軍国が吊り下げた餌は鉄道敷設にまつわるエトセトラ。
    莫大な物資と人間を運ぶ物流網の構築は今も昔も利権の温床ですね。
    自国に有利に運ぶよう票田の獲得を狙って主人公は悪い顔をしつつ、教え子のひとり、のんびり屋な御曹司、砲兵科の「ディーター」を鉄道会社の社長に据えることに。
    経済は政治に優越し、政治は外交に優越し、外交は軍事に優越する、という一般論をどこかで思い出させますね。

    ところでそんな過程の中でも。
    市井の資本家や議員の皆さんにしっかりとした「顔」が付いており、戯画化もされずに平和と繁栄を望む善良な人となりを想像させる辺り、上手いです。
    二巻のレビューでも触れましたが、群衆が生き生きと描かれ、物語ですれ違う人々が仕事をしている。
    平和なひと時を感じさせ、嵐の合間の凪を感じて緊張を解く、この作品の中で貴重なひと時です。

    本作の貴重な女性にしてヒロイン「ヘルムート」主役回もこの次に回ってきます。
    「誇り」と「勝利」、「騎兵」と「機械」という今後何度も示唆される二項対立がしっかりと明示された大事な回です。
    今後のネタバレになるのであまり詳しくは語りませんが、何気ない選択や偶然の連続から運命の輪が回り出したと思うと感慨深いですね。

    自転車はいつの時代も爽やかな乗り物なのです。
    主人公の後押しも受けて自縄自縛が解けたヘルムートは本来の魅力をしっかりと引き出して、とても素敵だったと言っておきます。

    で、次なるは日常からのまさかの地下での大立ち回り、アクション回も冴え渡ります。
    一巻から暗躍していた妙に頭に残る「団子鼻」「眼鏡」「キャスケット」の男はここで退場。
    「印刷」によって、細々とけれど侮れない範囲で物語を引っ掻き回していたリープクネヒトの駒はいなくなり、ストーリーは次の段階に向けて進み始めます。

    ここまで一派遣将校の分を越えた大活躍をしてしまった主人公に第二王子という立場からの直々の誘い、そして返答を待つ――。
    個人としての栄達か、祖国への忠誠か、今度は主人公が二律背反に迫られるところで三巻は終わりです。

    「印刷」「自転車」「機関車」。
    新技術が世界の距離を縮めたとしても、最後は一対一の関係に行きつくのかもしれませんね。
    そんなわけで主人公の返答に関しては、今私の口から語るのは野暮でしょう、実際の本編でお確かめください。
    それを語る日をいつか楽しみに待ちつつ、願わくば四巻のレビューでお会いしましょう。

  • コミック

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  • 「悪くない無様さだぜ騎士の青年」

    今回は政治メインの巻か。
    複雑な軍国と帝国、そして中立のバーゼルランドの置かれてる状況も徐々にわかり始めた。

  • 【内容】
    ・バーゼルラントを巡る、ヴァイセン/エルツライヒ二国の思惑
    ・バーゼル鉄道敷設
    ・騎兵レース
    ・「幽霊」探し
    ・第二王子に助力を請われる

  • 鉄道、資金源、他国とのやり取りと何かと展開が気になる状況…。第二王子の存在感が大きいですね。

  • 2014 4/4読了。TSUTAYAでレンタル。
    以前にネットで評判になっていたのを見て借りた本。
    1-6巻まで読了。感想は6巻にまとめて。

  • 大国の覇権争い巻き込まれ、王家の確執につけ込まれ、内戦の危機かと思いましたが、軍国はあっさり方針転換。
    経済支援という名目で議員たちに利権を握らせ、経済面の支配を強めて傀儡政権化しようと画策。現実でもよくあることです。
    しかしバルツァーは無敵ですね。
    戦術眼だけでなく、政略戦でも優秀だし、近接戦闘も強い。
    出る杭は打たれるのか、バーゼルラントに移籍してしまうのか、次巻が気になります。

  • 複雑な政治的立ち回りを上手く整理しており素晴らしいの一言。ヒーロー的な主人公も見ててスカッとする。 

    公女様かわいいです。ちっちゃい頃。

  • 暴動の後。動の次なるは…。

    交錯する策謀。
    深慮遠謀な驚きの計画。
    軍略。政略。計略。

    家名との狭間。
    顧問への信頼、と疑念。

    そして、高すぎる能力故の…。

    個人的には素晴らしい引きで、閉じた本巻。
    この展開を待っていた!

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