谷崎潤一郎=渡辺千萬子 往復書簡

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120031120

作品紹介・あらすじ

谷崎潤一郎と『瘋癲老人日記』のモデル渡辺千万子の未発表往復書簡。複雑な谷崎家の人間関係のなかで、谷崎晩年の私生活と文学に最も影響を及ぼした渡辺千万子。40年に亘る完全保存、「小説より面白い」秘された作家との日々の記録。

感想・レビュー・書評

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  • 桐野夏生さん「デンジャラス」を読んでこの書簡集を知りました。
    <・・・・それらすべてが公表されるというわけではなく、プライバシーにかかわるものは除外され、公表された書簡でも削除された部分がある。・・・・>
    義妹の息子の嫁、千萬子と谷崎の書簡。
    んー、この書簡だけでもただならぬ関係が想像できるが、削除された内容を覗いてみたい気はする。

  • これは、漱石に次ぎひどい。
    文豪は素晴らしい才能を持っていて、死後に生まれた私をも楽しませてくれる。しかし、どの親族も勘違いはなはだしい。不愉快になる。もう二度と、文豪周辺の人間が文豪本人に関するエピソードを語るものは読まないこととする。

    「瘋癲老人日記」では、最後、悪女である颯子が意外に常識であったと締められているが、実際の千萬子は本と同じ位不愉快な人間である。しかも、血のつながりはない。そして、写真が載っているが、不細工で事務員のようである。恋愛も一応恋愛結婚とされているので、相手のことも嫌いではないなどと書いてある、ブスのくせに何を言うか?と思う。

    谷崎にかなりのお金を使わせている。
    その言い方もアクドイ。
    たとえば。。。

    「今ほしいなと思ってるのは真珠の一つ多摩のイヤリングと二重のネックレスで、これだって大していいのでないならもう持っているのですから大欲張りなのです。」

    「松茸もだんだん出盛ってまいりました」
    は?なぜ急になんの脈絡もなく松茸??買ってもらったこと間違いなし。

    「お金はあるにこしたことはないし大好きだしいくらでも必要ですけれども。。。」

    「トルコ石はアナタによく似あうと思い大賛成」
    谷崎。また買ってもらったんかという感じ。

    「すごく虫のいい話ですが伯父様と共有で一軒もてるといいのですけれど」
    家!?ついに家までねだる??

    谷崎
    「お金のことをアナタに直接話すのは失礼かもしれませんがおゆるし下さい ミンクのこと、家内たちに知れると少し具合の悪いことが出来ましたので、ちょっと待って下さい、私は二十万全部でもあなたのためなら喜んで出します もっとでも出します、又出す用意もあります、しかしどうしても家族たちに感づかれる理由があります 十万円でも具合が悪いのです、何か感づかれないやうな方法を思いつくまで待っててください(中略)どうかくれぐれもおゆるしください」
    絶句、、、

    あとがき
    「松子夫人に完全看護(完全管理?)されるようになってしまいました(中略)代筆で、とても怒った手紙が来ています。これを読んでも私はなんでこんなに怒られるのかピンときませんでした。松子夫人の谷崎に向けられた顔を、私に向けられた顔の違いが、その温度差が今なら解ります。見事な手腕といわねばなりません。谷崎を私の間はどんどん遠ざけられました。」
    (完全管理?)って?見事な手腕?って?自分の反省は?

    男への媚ぶりもすごい。
    「『女のひとはだあれも遊んでくれはらへん、男のひとはみんな たをりちゃん遊ぼう遊ぼう いうてうるそうてかなはん』のだそうです。女友達の出来ないのはやはり私に似たのでしょうと思います。」
    ちなみに、たをりの写真も載っていますが、ブスの子供なのでもちろんブス。

    娘のスキーの先生の若者と三人で遊びに行ったようですが、その意味もわからない。私も男友達はいるが、ゆきずりのそんな相手と遊びにはいかない。

    「又会社の若い人達が四・五人やって来て庭で例のバーベキューをすることになっています。私は男の子をてなづけるのがうまいのだそうです。」いやいや、その顔で何を言うか?

    勘違いもはなはだしい。偉そうに、谷崎にあらすじなどを助言していたらしいが、谷崎ファンの1人である私は、結末などどうでもいい。どちらかと言うと、文章の美しさやその豪胆さに惹かれている。千萬子がいようがいまいが私は谷崎のファンであったと思う。

    とにかく、不愉快。
    虫の予感が告げたのか、「瘋癲老人日記」は他の作品ほど好きでなかった。
    もちろん、血のつながらないたをりも本を出す。読む気もしない。

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著者プロフィール

1886年7月24日~1965年7月30日。日本の小説家。代表作に『細雪』『痴人の愛』『蓼食う虫』『春琴抄』など。

「2020年 『魔術師  谷崎潤一郎妖美幻想傑作集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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