雪の夜話

著者 :
  • 中央公論新社
3.20
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本棚登録 : 214
感想 : 42
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  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120035845

作品紹介・あらすじ

白い闇に包まれた公園で、僕は不思議な少女に出会った…。『四日間の奇蹟』の浅倉卓弥が贈る心暖まる現代のフォークロア。

感想・レビュー・書評

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  • 雪国に暮らす高校生の和樹が深夜の公園で雪と戯れながら「私が見えるのね?」と告げる少女と出会う。その後社会人としてポスターのレイアウト等をし、八年後、実家に出戻り、雪の公園で変わらない彼女と再会する。美術的な仕事模様が興味深く、二大柱の片割れのような雪子とのパートもしんしんと引き込まれるようだった。

  • 順風満帆だったはずの人生。ドロップアウトした青年は6年ぶりに故郷へ戻って来た。
    そしてあの冬と同じ姿のままの彼女と再会して…。心暖まる現代のフォークロア作品。
    清純なおとぎ話をイメージしていましたが、思いのほか理屈っぽく小難しい印象でした。
    雪景色が目に浮かぶような描写、犬や子供が無邪気に遊ぶ様などはとても良かったのですが
    如何せん、主人公の内向的さに引きずられます。妹に激しく共感、性差もあるのかなー。

  • 和樹はある雪の降る深夜の公園で「雪子」に会う。白いダッフルコートに見を包んだ15歳の少女は、生と生とのあいだにいる存在で、本当は70日しかいられないが、ずっとこの公園にいる。ほとんどの人には気づかれず、気づくのは小さな子どもくらい。
    和樹は東京の美大に入学し、卒業後はデザイナーとして忙しく仕事をするが、会社という仕組みの人間関係がうまく行かずに実家に逃げ帰ってしまう。
    25歳になった和樹は公園で再び雪子に会う。ここでの会話はかなりスピリチュアル。また、妹の夏子や会社の人との会話にも、メンタル的な内容が多かったりする。
    妹の夏子結婚、公園の取り壊しを機に雪子は今の世界から次へ進もうと決意し、和樹に公園にかまくらづくりを依頼する。約束の29日、雪子は、「いつかどこかで貴方と違う場所で手をつなぐために私は雪子をやめることにしたの」と告げ光となって雪の中を空へ進んでいく。
    夏子は冬に女の子を産み、雪子と名付ける。和樹は雪子にダッフルコートを買うことを決めるのである。

  • 雪の精のような15歳の少女「雪子」に会った17歳の少年。そして8年後に15歳の少女と再び会う場面は感動的です。そしてその時、少年は社会人なのです。雪子が主人公の妹・夏子とイメージが重なったりして、著者が何を言おうとしているのかと考えるのは楽しかったですし、雪子や幼い姉弟たちとの出会いから、メルヘンの世界を満喫できたように思います。

  • 優秀だったこともあり、入社してから仕事だけして人間関係をおざなりにしていた所為で周りと上手くやっていけなくなり会社を辞めてしまった和樹が、なんとなく自分と重なる。

    雪子は不思議な存在だけど、本人の言うように昔は自然と受け入れられてたんだろうな。

    あと、夏子が好き。
    兄の事を羨ましいと思っても妬まずに誇りに思い、自分の事を認められるって凄いと思う。


    (似)
    アニメ「絶対少年」

  • 雪ん子の話よりも、仕事の話の方がおもしろかった。
    というか自分と重ねてしまうところがあって辛かった・・・

    妹や雪子が主人公に対して「~しなさい」みたいな口調なのがちょっと嫌かも。

    浅倉さんの本は「君の名残を」を読んだけど、
    時間や命のつながり、みたいな大きな流れに興味があるのかな。

  • 個人の葛藤?白をベースにした色の物語?雪子は夏子ちゃん?鹿嶋さん?…色々な要素を持ったおとぎ話(^-^)

  • スピリチュアルな香りのある話。
    文章と相性が悪いのか、読み進めにくく、読むのに時間がかかった。
    内容を消化するのに時間がかかったということかな?
    生きることが下手な主人公が、雪の夜の出逢いを通して変わっていく。そんな話。
    周りの人達が主人公を想いつつ、見守る姿も良かった。

  • 関東でも雪のちらつく夜に読んだ1冊。上手く大人になれない、こんな男子いっぱいいそう…。
    出版社 / 著者からの内容紹介
    北の街に暮らす高校生の僕は、白い闇に包まれた深夜の公園で、雪と戯れる少女と出会う。
    それから八年。都会の生活と大人の社会からはみ出してしまい逃げるように帰郷した僕は、雪夜の公園であの時のままの少女と再会する……。『四日間の奇蹟』の浅倉卓弥が贈る、心暖まる現代のフォークロア。

  • 雪の降る真夜中、高校生だった少年は公園で少女と出会う。
    その後大学、就職を経て、8年後故郷に戻ってきた彼は、また少女と出会う。以前と変わらぬ姿の少女と。

    一人の男子の成長の物語。
    感情の部分は少しナルシシズムのようなものを感じてしまったのだけど、仕事の淡々とした描写の部分が面白かった。商業デザインの仕事。

    まわりの人に恵まれている主人公でした。

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著者プロフィール

作家・翻訳家。東京大学文学部卒。レコード会社洋楽部ディレクター等を経て作家に。
著書に『四日間の奇蹟』、『君の名残を』(以上宝島社)、『黄蝶舞う』(PHP研究所)ほか、訳書に『安アパートのディスコクイーン─トレイシー・ソーン自伝』、『フェイス・イット─デボラ・ハリー自伝』(以上ele-king books)、マット・ヘイグ『ミッドナイト・ライブラリー』(ハーパーコリンズ・ジャパン)、テイラー・ジェンキンス・リード『デイジー・ジョーンズ・アンド・ザ・シックスがマジで最高だった頃』(左右社)など多数。

「2022年 『ボクのクソリプ奮闘記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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