ランプコントロール

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 43
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  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120041365

作品紹介・あらすじ

あの日、たしかに二人は別れたはずだった。けれど僕らは同じ灯を見つける。何度でも、何度でも-。恋愛小説の名手による最新長篇。東京とフランクフルトを舞台に綴られる時を超えた純愛と、魂の救済の物語。

感想・レビュー・書評

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  • もう2度と会えない人と最後の瞬間を最後だと認識できたなら、どんなにいいだろう…でもそれはいちいち気が重いか…なんて話の内容からかけ離れたことを考えながら読んでた。

    すべての人に最後の一言を言えるなら、きっとみんな優しい言葉を選んで、もう少し世界は上手く回っていくはず…とか何とか言っちゃって〜

  • ランプコントロールの意味がわかった時にはっとした。大崎さんの性描写があまり得意でなくなったのもこのころ。ただ文体は相変わらず透明で、美しい。

  • 数年ぶりに大崎さんを読んだ。

    性描写が多くて少し間延びしていたけれど
    相変わらず静謐な言葉をもって
    世界を深く描いている。

    この人の文章はとても好き。

    そして、大崎さんは村上春樹さんが
    本当に好きなんだなあ、と思った。

  • 2013/02/06
    移動中

  • 相変わらずの大崎テイスト。
    ただし、最後はなんとも。
    こういう話って終わり方難しいですよね。
    ややストーリーがムリヤリだった気がします。

    フランクフルトでのストーリーは好きです。
    フランクフルトに行くまでのストーリーも好きです。
    日本に帰ってきてからも好きです。
    ただ…。
    みたいな。

  • もし、あなたが道に迷っても、あなたは私を見つけるだろう。何度でも、何度でも

    ドイツのフランクフルトへの出張が決まったが、恋人の理沙は病に倒れた父の元を離れずにいた。

    ドイツから何度も彼女に連絡を取ろうとしたが、一度もつながることなく、3年という月日が経った。

    いったんは、終わってしまった恋。
    帰国して、突然知った、事故にあい植物状態になっていた理沙。

    時間は確実に経過しているのに、彼女はずっと深い闇の中をさまよっていた。恋が愛になったときに奇跡は起きる。

    別れの後の静かな午後、の長編バージョン。

    最初、クロスワードあたりからなんだこの話は読んだことがあると思いきや、案の定短編を長くした話とは。

    グリーンマン柳田が買っている柴犬ミドリが、柴犬になじみのないドイツでキツネ呼ばわりされてるのには、吹いた)^o^(

  • ノルウェイの森へのオマージュ。別れの後の静かな午後の長編版。大崎善生の小説らしさ全開。

  • 時間は誰にでも平等で、それが故に残酷な現実をもたらすこともある。別々の道を歩むことを決めた二人に「平等に」与えられた三年間は、その時を迎えることで消滅し、二人の間には三年前に感じていた空気が再び流れ始めた。一方は外見や考え方を三年間分変え、一方はその三年間を「時間」として感じることもなく過ごした。
    三年という時間の経過は、人の気持ちを変えてしまうには十分に長く、同時に、人の気持ちを揺るぎない決心に変えるには十分に長い。
    時間という漠然とした、しかし確かに私たちの周りを流れるものの存在に名を借りて、変わるもの、変えたいもの、変えなくてはならないものが交錯する。
    しかし最後に私たちの心を揺り動かすのは、頑なに「変わらないもの」の明確さであり、「変えられないもの」に対する私たちの無力感である。

  • 大崎善生さんは好きな作家さんの一人です。
    全体に漂う喪失感がとても好みです。

    この本も、特有の喪失感が漂います。

    ドイツに転勤することになった主人公が、恋人に一緒に来てほしいと言いますが、恋人は故郷の父親が病気で危篤状態に陥ったりもするので、一緒には行けないと言います。
    しかも、一緒に行く=結婚ではないこともポイントだったりします。
    結局、主人公は1人でドイツに行き、ドイツから恋人に手紙を書いても返事は来ないし、宛先不明で戻ってくるしで音信不通状態となります。

    恋人を失ったのだろうかと苦悩しつつ、喪失感を抱えながら新しい恋もしつつで、大崎善生が好きで読む人はきっと好きな世界観だと思います。
    が、今回はなんだかやたらと性描写が多くて私はあんまり好きになれませんでした。

  • ドイツに赴任することが決まった直人と、父親の看病のために
    故郷の広島へ向かわねばならなかった理沙。二人はけじめをつけるように別れることが出来なかった。最後の週末もいつもと同じように解けないクロスワードを直人に尋ねる。
    「ラからはじまって、スで終わる観葉植物ってなに?」と。
    その問いに答えることは出来ぬまま、直人はドイツで生活を始め、会社の同僚・ステファニーと恋人と上手くいかないもどかしさを埋め合ってゆく。
    そして3年が経ち、直人は再び日本へ帰る。
    帰ってきても、理沙の家は当然別人が住んでいる。そんな折、会社に理沙の母から
    電話がかかってくる。理沙は、別れを告げたその日に交通事故に遭っていた―。



    久しぶりに大崎善生の本を読んだ。
    最初はなんだか気恥ずかしい、そんな感じで読んでいた。
    透明な文体。それは、高校生の時には憧れて好きだったが、読んでいると村上春樹のようで、気障な感じさえする。

    それなのに、読み進めていくと、昔とは違う、けれども美しい描写に心奪われてゆく。
    ドイツで過ごす描写の数々、「乾いたヨーロッパの空気」は
    自分まで過去に引き戻す。

    この物語の中で、ステファニーもまた、直人がランプコントロールのような存在と
    なるのではないか。「人を暗闇の底から導き出す光の帯」は、またドイツへ、冬の鬱蒼とした空気の中深い森へ帰る彼女を照らすものであってほしい。

    ランプコントロールは、パイロットフィッシュにも似ている。
    あれは犠牲になることが前提で成り立つものだけれど。

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著者プロフィール

1957年、札幌市生まれ。大学卒業後、日本将棋連盟に入り、「将棋世界」編集長などを務める。2000年、『聖の青春』で新潮学芸賞、翌年、『将棋の子』で講談社ノンフィクション賞を受賞。さらには、初めての小説作品となる『パイロットフィッシュ』で吉川英治文学新人賞を受賞。

「2019年 『いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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