作品紹介・あらすじ
完全アウェーの転校生、さつき。スキージャンプの天才美少女、理子との出会いが、孤独で憂鬱な日々を塗り変えていく-わくわく、ハラハラ、うるうる。全部が詰まった青春小説。
感想・レビュー・書評
絞り込み
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ソチオリンピックスキージャンプ代表の伊藤有希選手が主人公のライバルのモデル。
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何か新しいことを始めるキッカケは、案外こんな簡単なことなのかもしれない。
始めてからそれを続けられるかは、楽しいと思えるかどうか。
やりたくない、面白くない、全然楽しくないのなら、続くはずがないもんね〜。
ジャンプという到底体験できない世界を物語の中で少しは感じ取れたように思う。風にのるって気持ちいいものなんだろうな。
友人や両親にこれほど心配してもらえるっいいな。
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道民は毎年冬になるとTVで大会の中継番組、新聞で結果などをよく見聞きするけど、見るだけ〜の人が圧倒的に多いスポーツ(特殊な競技で、一般市民には「ちょっとやってみよう!」って軽いノリで体験しにくい)、スキージャンプ競技のお話。
転校先で理子の美しいジャンプに魅せられ、母に反対されながらも競技の世界に足を踏み入れ、頭角を現すさつき。
敗北、挫折を未だ知らない、同年代の競技者の中では絶対的存在の理子。
ジャンプ競技を通して、違う分野に夢を見い出す圭介。
登場人物たちの切磋琢磨する様子がまぶしい。
さつきも理子もオリンピック選手になれただろうか?圭介の夢は叶っただろうか?物語の世界の未来ではきっと実現されていると信じたい。
より遠くへ飛んで記録を伸ばすには、道具や姿勢だけでなく、選手本人の体型もモノを言うようで、中学生になり身体に変化が現れ出した理子は、精神的にもスランプに陥ってしまうが、周囲の助けもあり、本来の自分を取り戻す。
食べ終えた晩ご飯をトイレで吐くシーンでは、この子このまま拒食症になってしまうのでは?!とハラハラだった。
小学生のころから「将来のオリンピック選手」と町中の人やマスコミにまでもてはやされ、理子には本当にプレッシャーだったと思う。「ジャンプがイヤになったらやめてもいい」と言うお母さんの存在がまだ救いだったのだろうな。
さつきのお母さん、序盤はヒステリックでイヤな感じの母親という感じがしながらも、夫や娘のしたいことに付き合わされて生活基盤がガラリと変わってしまう気の毒な人という印象も。
途中からは肝が据わって別人のよう。今置かれている環境で暮らしていく!という覚悟が伝わってきた。
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スキージャンプ競技で切磋琢磨するジュニア選手の話。
天才少女ともてはやされた少女と、もう一人の無自覚な天才少女の物語。
熱血のスポ根ものではないけど、焦りや葛藤の描写が生々しい。
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主人公さつきは、それまで飽きっぽく続かない性格だったが、ジャンプに出会うことで夢中になれるものを見つけ、意外にも才能を開花させていく。さつきの性格は純真無垢、悪く言えばたまに周囲をイライラさせる程の無神経さがある。
小中学生が夢中でスポーツに取り組む爽快感あふれるお話だった。いい意味で他の作品とは全く違うので、これは本当にあの作家さんが書いているのか?と驚いた。
理子は自身が抱える葛藤を自分にも他人にも上手く隠しながら頑張る姿がトップアスリートらしく、一番非凡でありながら寄り添えるキャラクターであった。
さつきの母親のパートが本作にとって必要だったことは理解するが、かなりイライラした。表面的には娘のためと言いつつ全てを制限したがり、数年経つと態度を180度変える。誰から見ても母親が間違ってるのにこんな極端な行動する人いる?という思いと、母親って絶対自分の非を認めないよなという真逆の思いがあり、なぜこんなにという程イライラしてしまった。よく観察・表現されているのだと思う。
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完全アウェーの転校生、さつき。
スキージャンプの天才美少女、理子との出会いが、孤独で憂鬱な日々を塗り変えていく―わくわく、ハラハラ、うるうる。
(アマゾンより引用)
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スキージャンプの選手として切磋琢磨する2人の少女の物語。小学生〜中学生までの数年間の競技生活が描かれており、さわやかな青春小説というキャッチコピーがぴったりだった。
スキージャンプは見るからに怖そうなので、やってみるまでのハードルが高いスポーツのように思えるが、確かに空を飛ぶという夢のあるスポーツであることは確かだ。ジャンプの楽しさに魅入られる、体験から入団までのシーンは特に面白く読んだ。
小学生からずっと同じスポーツをしていれば、体型の変化は必ずついてまわる課題だと思う。そのような課題も正面から描いていて応援したくなった。ジャンプに反対だった母親視点の章が入っているのも良い。
行動の理由や心理描写がとても丁寧に描かれているので、入試問題にこの作品がよく使われるというのも納得。中学生が読んでも楽しめると思う。
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スキージャンプに打ち込む少女たちの青春小説
北海道の小さな集落での期待の人への注目加減が容易に想像できるのもおもしろかった
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小学校高学年の女の子が転校先で同級生から誘われてスキージャンプ少年団に入り、才能を開花させていく。
その同級生はオリンピックへの期待がかかる女の子だった。
女子特有の体の変化やスランプなど、成長の物語なのだけど、説明調の文が多くて戸惑う。
スキージャンプの説明は必要だと思うけど、会話についての説明まであるのはなぜか。
ものすごく丁寧なので小中学生むけの本かも。
著者プロフィール
乾ルカ
一九七〇年北海道生まれ。二〇〇六年、「夏光」でオール讀物新人賞を受賞。一〇年『あの日にかえりたい』で直木賞候補、『メグル』で大藪春彦賞候補。映像化された『てふてふ荘へようこそ』ほか、『向かい風で飛べ!』『龍神の子どもたち』など著書多数。8作家による競作プロジェクト「螺旋」では昭和前期を担当し『コイコワレ』を執筆。近著の青春群像劇『おまえなんかに会いたくない』『水底のスピカ』が話題となる。
「2022年 『コイコワレ』 で使われていた紹介文から引用しています。」
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