たらふくつるてん

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 68
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120047510

作品紹介・あらすじ

「江戸落語の始祖」といわれた鹿野武左衛門の謎と波瀾に満ちた半生を描く長篇小説。

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で見つけた本。
    つるつると麺類を食べるように読めた。もちろん、最後、つゆまで美味しくいただきました。
    案の定、江戸時代の出版事情が絡まってるし、「太平記読み」まで出てきて、キャラもたっている。よくできてる話だなぁと思った。
    章題が落語の名作の題で、私もそれに惹かれた。
    なんせ発端は東の旅だし、最後はちゃんと舟で上方へ帰ってくるし。
    久しぶりに上方の「はなし」が聴きたくなった。口から出るから、落としがあるから、おもしろい。

  • こうやって落語が生まれたのかぁというのを知ることができて、また落語への興味が深まりました。
    理不尽な取り締まりやお咎めと闘いながら、人を笑わせる、面白い噺を作り上げていったんだなぁ。

  • 古山師重が他の本で読んだイメージ通りだった。

  • 塗師をしていた武平はひょんなことから人殺しの濡れ衣をきせられ、追われる身となり江戸へ逃げる。

    そこで鹿野武左衛門と名乗り、咄家としての地位を獲得していく様子。

    吉原にいる女によって人殺しの濡れ衣が晴れたこと。
    妻の敵討ちとやってきた兄弟との対決。
    武左衛門のそばで彼と一緒に面白いことについて模索した人たち。
    島流しとなったものの、武左衛門の咄を楽しんでくれた殿の力によって、命拾いしたこと。

    咄家、鹿野武左衛門は実在した人なのね。
    実際は島流しになったみたいだけど、よくまとめられて面白かった。
    時代物って歴史に疎い私にとって読むのが難しいんだけど、たまに読むとやっぱり面白いんだよね。

  • 「江戸落語の始祖」といわれた鹿野武左衛門の謎と波瀾に満ちた半生を描く長篇小説。


    もっとテンポ良く、ストーリー自体にもクスグリがあるかと思ったが、武左衛門自身にも魅力が感じられなかった。

  • 江戸落語の始祖、鹿野武左衛門の半生を描く。
    ユーモラスで、おもしろかった。
    仕事もいまいち、妻には逃げられる、あげく、濡れ衣を着せられての逃亡生活。
    ぱっとしないけれど、咄への愛情だけはたしかな主人公。
    人のいい、古山師重。
    見る目を持ち、商才もある、石川流宣。
    3人がいいバランスで、どたばたする展開が楽しい。
    それ以外もみな人がよく、物語全体があたたか。

  •  江戸落語の創始者、鹿野武左衛門の半生を描いた創作歴史小説。
     落語ファンならより味わいは深くなると思われるが、さほど詳しくなくとも充分に楽しめる。
     徳川綱吉治世の江戸城下、ひょんなことから咄家として身を立てることになった男の、謎と波瀾に満ちた生涯が、虚構も交えて軽妙な筆致で描かれる。
     政道の批判のみならず、世相の風刺さえ死罪となる窮屈な御時世に、“人を笑わせたい”“面白いものを世に出したい”と願う男たちの結束と奮闘を描いた、爽快な時代劇。
     特に、朴訥で飄々とした主人公の武左衛門よりも、咄作りの集まりである珊瑚之会の仲間、石川流宣のキャラクターが際立って良い。
     斜に構えた煩さ型の皮肉屋ながら、論理的で筋が通り、時流を見極める目に長けている。
     粋も気概も人情も併せ持った、血の通う人物として、物語を通し、大きな役割を果たす。
     一浮世絵師というより、現代で言うところのプロデューサー的立場と言えるだろう。
     大衆を面白がらせた上で、対価として相応の金銭を得るという言い分の、正当性に瞠目した。
     松尾芭蕉や井原西鶴、菱川師宣といった、同時代の著名人たちもさりげなく登場し、作品に花を添える。
     何より、歴史の大河に浮沈する一片を、豊かで愛情ある想像力でもって膨らませ、救いと希望の物語として仕上げた作者の手腕を称えたい。

     “それでも、やれることは、全部やっておこう。誰の目に、心に留まり、残るのか。それを楽しみに”。

     筆者自身の台詞にも思える、温かい感慨が快い。

  • 江戸綱吉公の時代、面白い噺を町辻で話す芸人達がいた。その辻話に魅了された男が、やがて江戸で噺家となるまでを描く話。
    この作者は初めてだけど、読みやすくて良かった。今の落語の成り立ち話で、成る程という感じ、面白かった。

  • 仕事もぱっしないわ、女房に逃げられるわ、女に騙されるわ、命まで狙われるわ…と、次々とトラブルに見舞われるこの主人公、実は後に江戸落語の始祖と呼ばれる男なのです。

    まったく予備知識なしで読み始めたのですが、あれよあれよという間に引き込まれてしまいました。
    京を追われて逃げこんだ江戸の町で、菱川師宣の弟子たちと出会い、咄の才を見初められ、だんだんと場数を踏んで咄家という今までになかった文化を形づくっていく様子から、当時の江戸の活気が伝わってきます。
    時の将軍・綱吉公による規制が日に日に厳しくなる中、いかに人々を笑わせるか。
    芸で身を立てる人々の覚悟とプライドが、不自由な環境だからこそ、ひときわきらめいて感じられました。

    予想を裏切る幕引きですが、これはこれでハッピーエンドだと思います。

  • とても面白かったです。

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著者プロフィール

1966年愛知県生まれ。名古屋大学大学院国文学研究科博士課程修了。文学博士<br>2007年第87回オール讀物新人賞を受賞してデビュー<br>2018年『葵の残葉』(文藝春秋)が第37回新田次郎文学賞と第8回本屋が選ぶ時代小説大 賞を受賞

「2023年 『元の黙阿弥』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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