- Amazon.co.jp ・本 (563ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120049996
感想・レビュー・書評
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2018年、本屋大賞2位
個人的に以前に読んだ同年1位の辻村さんの「かがみの孤城」と引けを取らない作品と感じた。
主人公である上条桂介の幼き日から人気有名棋士に至るまでの物語なのだが、それが不幸で辛い。
読んでいて悲惨さからくる共感するような同情心を強くかき立てられる。
自分の出生の事実から父親からの虐待を含む育児放棄。桂介のその人生を「向日葵」と隠喩するように表現する作者の感性に驚歎した。
ゴッホの作品「向日葵」と同様、寂しさと儚さと狂気を含んでいる言葉だと納得する。
「血」が向かわせる運命、その悲しい結末。その血の中にやはり「真剣」がどこにも潜んでいて「真剣」が桂介の人生ならば運命に沿った人生だと感じた。
凄い作品だと思った。 -
将棋の対戦の緊迫感や熱量が、人生の背景と呼応していると感じた。人にはそれぞれ背景があり、そこを共感することは難しい。ラストの向日葵はせつない。
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「テーマ:ひまわり#3」です
ひまわりをテーマにした選書シリーズは3作品目にして現役メジャーリーガーの登場です
柚月裕子さんの『盤上の向日葵』は彼女の代表作のひとつですよね
それにしても、やっぱり柚月裕子さん読みやすいわ〜
すいすい読めるわ〜
引っかかりが全くない
そして柚月裕子さんの(ひまわりめろんが思う)最大の特徴は、時計の進め方が抜群に上手いってことですよね
プロローグの使い方と2つの時系列での情報を出す順番がめちゃくちゃ達者
老練な詐欺師ですよ
つまり餌の撒き方がめちゃくちゃ上手、気付いたら後戻り出来ないところまで誘い込まれてます
柚月裕子さんのテクニックを堪能した一冊でした
【ひまわり】はい、本作では「向日葵」というワードがなかなか出てきません
初めて出て来るのが全563ページの294ページ目
半分過ぎてます
さらに「盤上の向日葵」の意味についてはかなり終盤まで引っ張りますが、そこまでもたせられるのも、「向日葵」という言葉の持つ強さかなと感じた次第です
そして本作では「ひまわり」に万人が持つイメージのひとつが物語に重要な役割を持っています
「ひまわり」と言えば…そう!ゴッホですよね!
ゴッホの中に同居する力強さと繊細さ、そして狂気を将棋の棋士に重ねて表現してるんです
棋士とりわけ将棋に命をかけるプロ棋士や真剣師に「ひまわり」を重ねているわけです
「ひまわり」の使い方がこれまでに読んだ2作とだいぶ違いますよね
それは本来の「ひまわり」の持つイメージが「ゴッホのひまわり」となった途端に全然違うものに姿を変えちゃうってことだと思うんですよね
なんか凄いアイテムだなぁ〜って思いませんか?「ひまわり」-
「ひまわり」が凄いアイテム!?
そりゃ、そうですよ!
だって「ひまわりめろん」あなたが凄いんですから!
師匠をベタ褒めw
あれっ!?
師匠...「ひまわり」が凄いアイテム!?
そりゃ、そうですよ!
だって「ひまわりめろん」あなたが凄いんですから!
師匠をベタ褒めw
あれっ!?
師匠ってアイテム…?2023/07/06 -
2023/07/06
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2023/07/06
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とても重厚で読み応えのある作品だった。
主人公の桂介があまりにかわいそうで、切なかった。せめて桂介の隣に彼を理解し支えてくれる誰かがいてくれたら…唐沢が生きていてくれたら…
東大に合格するほどの頭脳、起業した会社をたった数年で年商数十億にまで育てる才覚、類い稀な将棋の才能、人はどれかひとつでも持ちあわせたならば、富と成功、名声を手に入れ幸せな人生を送ることができるだろう。桂介はその全てを持っていながらも一度も心から幸せを感じることはなかった。
誰が悪いのか…
桂介を虐待し続け将来を潰した父親?
実の兄を愛し子どもを出産したものの、その罪の重さに自ら死を選んだ母親?
桂介の将棋への情熱を利用し彼の人生を振り回した東明?
わからない。
物語に引き込まれて、かなり文量はあったがあっという間に読了。でも胸の中に何かどんよりと澱が溜まっていくようなもやもやした気持ちが残った。 -
非凡な才能を持つ天才棋士、上条圭介。
数奇な運命に翻弄されながらも、プロ棋士になり
注目のタイトル戦、竜昇戦に挑む!
この華々しいシーンから、物語は始まる。
その会場に二人の刑事が現れる。
埼玉県山中で発見された白骨死体遺棄事件。
これに関与しているとみられる人物をさぐるためだ。
死体と一緒に埋められていたのは、
時価600万はするだろうという伝説の将棋駒。
埋められたのは誰?
そもそも、なぜ駒が一緒に埋められていたのか。
癖のあるやり手刑事の石破と
将棋経験者の若手刑事、佐野のコンビ。
二人の地道な捜査が語られる章と
上条圭介の生い立ちが語られる章。
これらが交互に構成される。
題名にある向日葵が登場するのは294ページ目。
563ページの作品なので、ちょうど真ん中あたり。
向日葵といえば、元気で明るく生命力に満ちたイメージ。
ところが、ここで語られる向日葵は
儚く、怖ろしく、妖しい姿を見せる。
ずっとドキドキしながら読み進めてきたけれど
終章で、さらに追い打ちをかけられる。
最後の一行を読み終えて、しばし 放心。
今回も 柚月裕子さんの重厚な世界観に
圧倒されてしまった。 -
柚月裕子『盤上の向日葵』中央公論新社。
柚月裕子作品は外れが無いので、後でじっくり堪能しようと暫く寝かせていた単行本。
将棋界を舞台にした珍しい警察小説。プロットが巧みさとストーリーの面白さ、登場人物の人物像、人間ドラマと謎に満ちたミステリー、どれを取っても一級品だ。
埼玉県の山中の工事現場から発見された白骨死体は初代菊水月の作によるこの世に7組しか無い将棋駒を抱いていた。現場叩き上げの石破刑事とかつてプロ棋士を志していた若手の佐野刑事が事件を捜査するが……
序章に描かれる平成6年の天童市でのプロ棋士の対局シーン、事件発覚はその数ヵ月前。ひたすら将棋駒の行方を追い掛ける捜査と同時進行する形で描かれる序章で対局するプロ棋士・上條桂介六段のの生い立ち……とても女性作家とは思えぬ程の度胸で、章を重ねる度に凄味を増していくストーリーは見事だ。そして、事件の真相と結末。そう来たか……
本体価格1,800円
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shukawabestさん、こんばんは!
興奮冷めやらぬレビューで素敵ですっ
柚月さんの本に出てくる男性は、みんなカッコいいんですよ...shukawabestさん、こんばんは!
興奮冷めやらぬレビューで素敵ですっ
柚月さんの本に出てくる男性は、みんなカッコいいんですよ~
まさに男が惚れる男って感じで、痺れる!
2023/01/20
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1.この本を選んだ理由
会社の本棚を見ていたら、面白そうな小説があったので手にしました。
2.あらすじ
物語は刑事2人が山形県で行われている将棋のタイトル戦の現場に到着する、今から始まる。その少し前に戻って、今に向かって捜査していく現代軸と、事件に関係する上条の子どもの頃から少しずつ成長を追う過去軸の2つのお話が交互に展開していく。
今に向かって、じわりじわりと、謎が解き明かされていきます。ゆっくりと、昔の話と、少し前の話が交差しながら、事件の展望が明らかになっていきます。
563ページ。長編です。
3.感想
すごい、じわりじわりくる。じわりじわりと真実に近づいていく感じがすごい。
はじまり部分から、すごい哀しい結末がやってくる気がして、じわりじわりと、哀しさが積み重なっていく感じでした。ぜったい、哀しいラストだと、中盤で確信めいたものに変わっていき、読むのが辛い気持ちになります。
登場人物達の立ち位置というか、人間味というようなものが全く違うので、人生感みたいなものも、考えてしまう作品でした。幸せとは何なのかと。
章ごとの最後の感じが好きで、「小さな肩の感触が残っていた。」とか、「タクシーは走り出した。」とか、すごい、この作品の場面にいるような感覚を与えてくれます。じわりじわりと押しつぶしてくる感じと、もやっとした感じとが、混ざり合わさったような感覚でした。
ほんと、素晴らしい作品でした。向日葵をみて、儚さを感じたことはありませんでしたが、この作品の中には、儚い向日葵が見えました。
ただ、将棋の盤面のマス目はいらなかったんじゃないかと思います。将棋がわかる人が読むと、また違った側面が見えてくる作品なのかもしれないですが…
4.心に残ったこと
そんな人もいる、ということ。
生まれた環境はどうにもできない。ここでも虐待がでてきて、何とかならないのか、と思う。
自分の血のめぐりの悪さ、という表現。なかなか面白い!
ものを知らないことほど、怖いものはない。正しい知識を持たなければ、正しい判断は下せない。その通り!
5.主な登場人物
佐野直也 元奨励会員
石破剛志
上条桂介
上条庸一 父
上条春子 母
唐沢光一郎
東明重慶