- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120052071
作品紹介・あらすじ
〈東琴(トゴン)〉の姫・アトリは王宮で虐げられ、まともな教育も受けられず内気に育つ。厄介払いとして幼くして送られた嫁ぎ先は、枯れ果てた小国〈柚記(ユシロ)〉に暮らす、病を得た王のもと。その地でアトリは王の教えを受け、知識と常識、そして愛情を手に入れる。やがて王は亡くなり、祖国へ帰ることになるのだが……。
これは生涯で5回も結婚することになった姫君の物語。数えで9歳の初結婚から、8年で5回というのはあまりに多い。
いったいどんな偶然で、5回も嫁ぐことになったのか。
それは、読んでのお楽しみ。
感想・レビュー・書評
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〈東琴〉の姫君・アトリは、生まれてすぐに母である王妃が亡くなったために、現在の王妃から疎まれ、王女らしい扱いも教育も受けないまま育った。
アトリが九歳の時、アトリを厄介払いしたい王妃の決めた縁談により、辺境の貧しい国〈柚記〉の領主・月王に嫁がされることになった。
月王は三十才を越えている上持病で寝たきりだったが、愛情も知らず放置されて育ったアトリの将来のために、“知識”と“常識”と“愛情”を教えようと考え、その導きでアトリはぐんぐんと賢く、優しい少女に成長してゆく。
月王の死後、〈東琴〉に戻ったアトリは、そののち次々に気性も考え方も違う五人の王に嫁ぐことになるのだが…
『天山の巫女ソニン』シリーズが良かったので、また手にした。
9歳の少女が主人公の、小学生から読めそうなファンタジーながら、十分に読み応えがあり面白かった。
忠実な従者のエンジとロルモ、そして異母妹のカティンがいい味出してる。 -
家族に恵まれなかった孤独な少女が、五人の王に出会い、成長していく物語。アトリは健気で聡明で可愛いし、出てくる五人の王がそれぞれ魅力的でした。一冊完結でなく一巻で一人くらいの長さでじっくり書いてほしかった。多分、不幸な終わりではないんです。アトリは納得した人生だと思うのですが、幸福な時間があったからこそ切ない終わりでした。
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菅野雪虫さんの、少女が真面目に健気にがんばって成長していくお話って大好きです。過酷な運命に立ち向かいながらも、ひたむきに与えられた場所で自らやるべきことを見つけて進んでいくアトリの成長に目が離せません。
アトリの5人の夫の中では、月王が素敵でした。
あと、従者エンジとのくだりはもっと読みたかったです~。 -
楽しいだけのファンタジーでなく、辛いことも描かれていて良かった。
夢見るファンタジーを読みたいときには向かないけれど…。
周囲の評価に捉われず、自分の目で物事を判断できるようになりたいと感じた。 -
知識、常識、愛情、何も持っていなかった幼い姫が
それらを得て、世界を知り、成長してゆく物語。
ちょいちょい泣いちゃったので、涙もろい人は
外で読まないほうがいいです☆ -
〈東琴〉(トゴン)の第一王女アトリ
継母にあたる現王妃にうとまれ、九歳にして辺境の地に嫁がされる
嫁ぎ先は〈柚記〉(ユシロ)の月王
アトリはそこで博識な王と忠実で誠実な家臣に囲まれ幸せに暮らしていた
しかし、病弱な月王は半年で亡くなり
十歳にして寡婦となったアトリの運命の歯車が回り出す
〈西鼓〉(サイコ)の少年王に嫁ぎ、元盗賊に嫁ぎ……
「十年で五回嫁いだ姫君」と呼ばれた少女アトリの波乱万丈の物語
「強い者の弱い者への無関心は、暴力です」
(人はいつも、わかりやすい変化を求める)
「奇跡は起こらないかもしれないけど、奇跡のようなことは起こるんだよ。私にも、あなたにもね」
など、ちりばめられた警句に人生の機微を学びながら
小気味よいテンポで進むストーリーにいつしか引き込まれていく
著者は『ソニン』『チポロ』『ヤレイスーホ』の菅野雪虫
*Cコード8の児童対象書籍でも「 。」ではなく「 」と表記するところは中央公論新社の矜持か -
最初に嫁いだ先の王に与えてもらった知識や愛情がアトリ(主人公)の芯になって、その後嫁いだ王達に影響与えていった話。
だいぶ前に読んだので細かい部分は忘れてしまったのですが、悲しくて優しい話でした。 -
#中高生