海を渡ったスキヤキ-アメリカを虜にした和食 (単行本)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120052507

作品紹介・あらすじ

1963年、坂本九の『上を向いて歩こう』はアメリカで『SUKIYAKI』とタイトルを付けられ、大ヒットを記録した。歌詞と関係なくスキヤキと名付けられたのは、ひとえに当時、アメリカでスキヤキが大流行中だったからだ。なぜ、スキヤキはそれほどまでにアメリカ人を夢中にさせたのか。


 19世紀に最初に和食が注目されたわけや、いまやハワイ名物となったスパムむすびの発祥、スシ流行前夜の関係者の努力など、アメリカでの和食の歴史を、知られざるエピソード満載でたどる。

感想・レビュー・書評

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  • 日本での英会話学校や出版関係で勤務経験のあるハワイ生まれの筆者が、アメリカにおける日本食の歴史を愛情とユーモアを交えて語る。タイトルの「スキヤキ」は、「日本人と食生活」と言い換えることもできる。

    アメリカへ出稼ぎのために移住した先人達の苦労とたくましさが圧巻。賃金こそ当時の日本よりはるかに多く与えられたが、荒野を開拓する過酷な環境の中でまず食材の調達をし、「いかにしておいしく作れるか」を仲間と協力しながら探求していく様は実にエネルギッシュだ。

    時折、自虐的なまでに白人達の差別意識と行動があからさまに語られている。それだけ筆者が日本食とアメリカで日本食を広めた先人達へ敬意を表しているということだろうか。

    日本人から見ればヘンテコな進化を現地で遂げた「和食」もある。しかし日本人も外国の料理をアレンジし、独特の洋食や中華料理などを創り出してきた。海外の和食も同じように現地化していった結果だ。食は多様性を受け入れながら、その土地で豊かに育っていくものだ。

  • スキヤキほかアメリカで人気となった和食について。それは日系人の苦闘の歴史でもある。

    スキヤキ、鉄板焼き、寿司など。アメリカに普及し和食。それには長い年月を要している。日系アメリカ人の戦争を挟んだ人種差別等の苦闘の歴史が背景にある。

    カリフォルニアロール、スパム寿司など和食はアメリカでさらに進化している。

    最後、ハワイに関する章に筆者の情熱を感じた。プロフィールを見たらハワイ出身ということで納得。

    料理というより日系アメリカ人の歴史といった内容。

  • ふむ

  • 【新着図書ピックアップ】
    美味しそうなタイトルとポップな装丁に惹かれ、気軽に手に取った一冊。しかし読み始めると、深く複雑で、時に暗い日米の歴史が食を通して描かれた本であることに気付きます。鎖国から開国に向かう日本でペリー提督が食べた日本食とは? 明治時代、貧困からの脱出を夢見てアメリカに移民した日本人は何を食べていたのか? そして、日米開戦から世界大戦期の暗い歴史を経て、戦後にブームとなった「スキヤキ」と「スシ」はどう受け入れられたのか? アメリカに渡った日本食から私たちの祖先が築き上げてきた両国の関係が見えてくる一冊です。

  • スキヤキがアメリカで大人気になったのはなぜ? スパムむすびは戦時下の日系人収容所が発祥? 知られざるエピソードが満載。

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著者プロフィール

グレン・サリバン
1962年アメリカ・ハワイ州生まれ。イェール大学哲学科卒業。
1984年に来日した後、『日本語ジャーナル』(アルク)の英文編集及び英訳監修を担当。1992年に帰米し、コーネル大学大学院でアジア文学を履修。主な著書に『英語で読む 源氏物語』(全2巻、ジャパン タイムズ)、翻訳書に『英語版 佐賀のがばいばあちゃん』(徳間文庫)などがある。

「2021年 『On A Bright Summer Morning』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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