2020年の恋人たち (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
3.46
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本棚登録 : 2795
感想 : 209
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120052798

作品紹介・あらすじ

前原葵、34歳。同棲していた恋人に別れを切り出され、今は叔母の家で暮らしている。会社員をしながら、亡くなった母が新国立競技場の近くに開くはずだったワインバーを継ぐことになった。会社に店にと忙しい日々の中で、母と古い知り合いの経営コンサルタント、情報誌の副編集長、近所の小料理屋の店主、会社の上司など、タイプのまったく異なる男たちが、葵の周囲を通りすぎてゆく――。「婦人公論」人気連載、待望の書籍化。

感想・レビュー・書評

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  • あなたは『2020年』と聞いて、そこに何を思い浮かべるでしょうか?

    一日一日の積み重ねが一ヶ月、二ヶ月という期間を作り上げ、そして一年という期間に積み重ねられていく、その繰り返しが私たちの人生です。そんな一年も過ぎ去ってみれば自身の人生の歴史の中に埋もれてもいきます。そんな中で、ある特定の一年を持ち出して、その年はどんな一年だったかと言われてもなかなか容易には思い出せないものです。もちろん、成人した、就職した、そして結婚したといった自分の人生の中での区切りとなる出来事があった年であれば、その区切りの出来事を元に記憶を辿ることは容易でしょう。しかし、そんな区切りの一年は人によって当然に異なります。

    そんな中で、日本中が、否、世界中の人々がすぐに思い浮かべることのできる一年というものがあります。過去に遡れば世界恐慌のあった1929年とか、第二次世界大戦の終わった1945年など世界を震撼させた歴史の一区切りとなる一年がそれにあたるでしょう。一方で、そうした歴史の一ページではなく、現代を生きる私たちに共通する特定の一年ということではどうでしょうか?毎年さまざまな出来事が世界では起こります。そんな中で今を生きる私たちが決して忘れられない一年、それが『2020年』なのだと思います。『年明けから世界中で感染症が猛威をふるい、日に日に死者数は増加していき…』とニュース報道が盛んになされ、ロックダウンという言葉が世界を駆け巡った『コロナ禍』、そしてまさかの東京オリンピック延期という、過去の大戦以来の出来事に世界は震撼しました。まさにそれは、

    『こんな2020年のオリンピックイヤーを誰が予想していただろう』。

    そんな思いを誰もが抱いた年、それが『2020年』だったと思います。そして、ここにそんな『2020年』という年を書名に冠した作品があります。「2020年の恋人たち」という島本理生さんが「婦人公論」に連載された作品を”全面書き直し”して刊行されたこの作品。それは、一人の女性の母親の死をその冒頭に見る物語。そんな母親の死をきっかけに、さまざまな男性との関わり合いを通じて『今でも自分の選択は間違っていなかった』という彼女の人生の『選択』を見る物語です。
    
    『母の到着が遅いことが気にかかり』スマホの大量の着信に気づいたのは主人公の前原葵。『羽田空港からこのホテルへ向かう途中で、母を乗せたタクシーが事故にあ』い、『心肺停止』で病院へと運ばれたことを伝える内容に混乱する葵、明け方に母親は息を引き取りました。そして、会葬の場に立つ葵の元に『本来なら、私は葬儀に参加させてもらえる立場ではない』と現れた稲垣にお礼を言う葵。そんな葵に『きみのことは大事な娘の一人だと思っている』と言う稲垣は『葬儀代は私のほうで負担するから』と申し出ます。困った葵は『とっさの判断で幸村さんに視線を投げ』『ちょっと、お願いしてもいいですか?』と後を託しました。そして会葬者も立ち去り二人になった場で幸村は稲垣の申し出は好意だから受け取るよう伝えます。一方で『港君が来ないとは思わなかった』、『同棲している恋人の母親の葬式にも来ない男に、君はいつまで、期待し続けるのか』と訊きますが葵は沈黙します。すると、幸村は『移転してリニューアルの準備中だった』母親の『新しいお店』をどうするのかと訊いてきました。それは、稲垣の所有するビルの貸店舗だったとも言う幸村。そんな問いで母親が進めていた計画を知った葵は『日本ワインにシフトする』という話に興味を持つ一方で『全然聞いていない。あいかわらず勝手な人』と母親のことを思います。そんな時、幸村の『手が伸びてきて』身を引いた葵は『私には、触らない約束です』とはっきり伝えます。母親がやっていた『曙橋のワインバー』の常連客だった幸村は、お金に関して大雑把だった母親に一切をアドバイスする立場でした。そんなある時、二人だけの場で『葵ちゃんのことが好きだった。君が大人になるまで待ってた』と切り出した幸村のことを思い出す葵。場面は変わり、『港。今、帰ったよ』と言うも返事のない部屋に入る葵の前には『いつものように置き手紙だけがあ』りました。そして翌日、半休を取った葵は義妹の瑠衣と会います。母親が進めようとしていた『新しいお店』について情報を訊く葵は義兄がお店のことで話をしたがっていることを知ります。そして別の日、義兄に会った葵は千駄ヶ谷の駅から五分程度という店について話を聞きました。かつて『あれが親父にたかっている親子か』と言われたことなど良い思いを持っていない義兄の『天然の上から目線』の喋りに苛つく葵。そんな葵は『一度お店を見てから、二週間をめどに』諸々の判断をする旨伝え義兄の元を去ります。そして、家に帰った葵は『スタッフ急募』の貼り紙を作ります。『2020年の東京を、このお店で一緒に作りましょう』と最後に付け加えたその求人案内。そして、そんな葵が『やけっぱちのような気分』になりながらも母親の遺志を継いで『新しいワインバー』をスタートさせていく物語が始まりました。

    “直木賞をいただいたからこそ、この機会に、小説というものにもう一度ちゃんと向き合おうと思ったんです”と語る島本理生さんが「ファースト・ラブ」で直木賞を受賞後、初めての長編小説として刊行されたこの作品。そんな作品の書名には『2020年』という年が含まれているのが何よりもの特徴です。まだまだそんな年をリアルに記憶している我々はそこに世界を襲ったコロナ禍と、それによる東京オリンピックの延期というこの国の歴史に確実に刻まれるであろう事象を経験しました。また、この作品は表紙に東京タワーが描かれていることもあり、必然としてそんな東京の街を舞台にした物語を予感させます。

    一方でそんな時代を生きるのが主人公の前原葵です。そんな葵は『母が亡くなった晩、私はバーの窓ガラス越しに、落雷の中の東京タワーを見ていた』という衝撃的な物語の冒頭が語る通り、突然に母親を亡くしたところから物語は始まります。『母とは特別に仲が良かったわけではない』という葵は、母親が経営していた『曙橋のワインバー』の常連客であった幸村や、母親が愛人となっていた稲垣の子供である義兄、義妹から母親が開店に向けて準備を進めていた『新しいワインバー』の計画を知ります。そして、昼間にオフィスに勤めながら、母親の遺志を継いでお店のオープンへと奔走、お店がスタートしていくという様子が描かれていきます。この作品の魅力の一つ、それがこの『ワインバー』をほとんどゼロから軌道に乗せていく葵の姿が描かれるところだと思います。『日本ワインにシフトする』、『ビールの代わりにシードルの生樽も置』く、そして『女性向けのワインバーにシフトしたいって言ってたよ。だから食事も増やそう』といった母親が進めようとしていた方向性について情報を得るも当初は戸惑いを見せる葵。しかし、店長候補を勝手に想定したりと『天然の上から目線』で語りかけてくる義兄に対して『売り言葉に買い言葉』を放ったその先に『一度お店を見てから、二週間をめどに』人を探すと伝える葵。貸ビルのテナント料として『純利益の一〇パーセント』を取るか『家賃』を払うかという二択の提示に迷わず前者を指定する場面など『母に似て頭に血がのぼりやすい』と自覚する葵の力強さも垣間見せながら物語は展開します。そんな中で物語に安らぎを与えるのが求人募集で現れた松尾還二(31歳)の存在です。『お店も覗いたらいい感じだったし、めっちゃ興味あります』と現れた『飲食の経験は六年あ』るという松尾。そんな松尾に初対面で『心を開いている感じがし』、『妙に惹きつけられる』と感じる葵。この作品には後で触れる通り複数の男性が登場しますが、他には全くいないタイプ、読者をも魅了する、”人”としての魅力を存分に感じさせる存在として葵を強力にサポートしていくのが松尾です。島本さんの作品はどうしても気持ちが沈みがちになる展開、結末が多いですが、この作品では『新しいワインバー』の経営という物語の根幹に関わる部分にこの松尾を登場させることで、物語全体に柔らかな雰囲気を強く感じさせます。どこかいつもの島本さんの作品とは違う、緊張感が高まらない物語は松尾というキャラクターの存在あってのことだと思いました。そして、そんな松尾と試行錯誤で作り上げていく『ワインバー』経営への道のり、さまざまなワインの知識や提供する料理についての描写など、なかなかに興味深い世界を見せてくれるこの作品。そう、この作品の一番の魅力、それこそがこの『新しいワインバー』開店への流れだと思いました。

    一方で、この作品の書名には『恋人たち』という言葉がはっきりとうたわれており、複数の『恋人たち』が登場して…という展開が予想されもします。しかし、実際にはそうではなく、あくまで女性は葵、そんな葵の白い花に蜜蜂が訪れるかのように近寄ってくるさまざまな男たちと葵との関係、そんな『恋人たち』の姿を描いていきます。そして、32歳の葵の周りに訪れるそんな男性たちは思った以上に多種多彩個性豊かな人物ばかりです。

    ・幸村: 母親の『ワインバー』の常連客でコンサルに通じお金に関しての相談役も請け負っていた。葵が成人式を迎えたばかりのある夜に『ずっと、葵ちゃんのことが好きだった。君が大人になるまで待ってた』と迫ってきた。41歳。

    ・港: 『異業種交流会』で知り合ったメーカー勤務の会社員。タクシーに相乗りしたことをきっかけに付き合い、半年後には同棲。しかし、会社の経営不振をきっかけに体調を崩し解雇。『二人の仕事部屋だった五畳の洋室に引きこもる』。

    ・瀬名: ワインの試飲会で酔ってしまった葵を『休憩を兼ねてバーに連れ出』す。『飲食店を紹介している有名雑誌の副編集長』で42歳。『もう今は、私はこの人と出会ってしまった』と葵は感じている。

    ・海伊: あるきっかけで葵が訪れることになったおでん屋『伊藤伊』の店主、37歳。実家が漁師の福井県出身。『スペイン行きませんか。一緒に』と葵を誘う。そんな葵は彼に『頑丈そうな背中』を感じる。

    上記した男たちは、『新しいワインバー』をスタートさせる葵にさまざまな形で関係していきます。そんな中で『港に問題があることは、会社を解雇される前から気付いていた。それでも、怒りっぽくて偏屈で話の通じない彼が私にくっついているかぎりは、幸村さんも気安く近付いてこられない』と幸村と港のことを思い、『この人の手には、独特の柔らかい湿度がある』と瀬名のことを思い、『正直、彼のことを好きなのか分からなかったけれど、この強烈な衝動と安心感から離れるということは不可能に思えた』と海伊のことを思うなどそれぞれの男性にそれぞれの感情をもって向かい合っていく葵。そんな物語を”先の展開は固めずに書き出してみたら、恋愛がどうこういうよりも、主人公がいろんな人とどんどん別れていくからびっくりしました(笑)』と語る島本さん。そんな島本さんは”書き終えて初めてこの小説は、要るものと要らないものとを選んで要らないものはどんどん捨てていく『これからの人生』についての物語だと気がついた”と続けられます。

    私たちの人生は自分のものです。自分以外の誰のものでもありません。それは、自分以外の誰にも同じことです。そんな人生を生きていくなかでは、物理的なモノ以外にも人との関係においても取捨選択を求められ続けます。両親だって一般的には先に亡くなる以上、生涯を通じて関係が継続する人などこの世には一人としていません。そんな中で男と女の関係、それが恋愛、結婚へと繋がっていくものであれば、その繋がりの過程では取捨選択はより重要な意味をもってきます。この作品では、会社員をしながら『新しいワインバー』をスタートさせ、仕事に邁進する一方で一人の女性として、自分が求める愛の形を探す葵の姿が描かれていました。

    島本さんがおっしゃる”これからの人生”についての物語を『2020年』という年に投影させたこの作品。『オリンピックの公式ポスターが目に飛び込んできた』といった時代を表す表現によって『2020年』に向けた東京の熱さを感じるこの作品。それでいて、『年明けから世界中で感染症が猛威をふるい… こんな2020年のオリンピックイヤーを誰が予想していただろう』というその先に待っていたコロナ禍をもしっかり描写していくこの作品。

    ”私は小説で恋愛を書きながら、社会のことを書いている”とおっしゃる島本さんが描く地に足ついた私たちの日常にある恋愛。そんな恋愛のさまざまな形を、美味しそうな料理とお酒の描写による大人な雰囲気感の中に丁寧に描いた、島本さんらしさに溢れる作品でした。

  • 2020年
    2017年6月から2019年1月 婦人公論連載
    「2020年までの恋人たち」加筆・改題

    こちらも、また恋愛小説。主人公は、30歳を超えたくらいの女性。彼女の2020年まで2年間ほどの出来事。何人かの男性と幾つかの恋愛。
    長く妻子ある男性の愛人であった母親。その母親は、突然の交通事故で亡くなる。死後、ワインバーを開店する準備をしていたことを知る。
    彼女は仕事を続けながら、ワインバーを引き継ぐ決心をする。

    島本さんの小説の女性たちは、仕事には前向きで責任感もありながら、男性陣に振り回され気味な印象があります。今回は、だいぶ大人の女性になり、自分の気持ちを優先させる事ができるようになったかなという感じです。

    この小説は、コロナ前から書き始めて、東京オリンピックが2020年に開催されるその周辺の飲食店を舞台にしています。で、コロナ禍の中、予測されなかった状況となってきた東京、飲食業界。
    単行本化で、最も加筆修正を入れた作品だそうです。
    島本さんが、ご自身で読み返して、この主人公が、昼は会社員、ワインバー経営して、何人かの男性と付き合って、すっごく頑張ってるなあって感心しました、と笑っていました。
    そして、恋愛も頑張ります。嫌なお誘いは断り、どうも相性が悪そうなお付き合いは終了し、人あたりの良い従業員とは付き合わず。
    当時、コロナ禍で状況が不確かな中、もしかしたら書く予定のものと変わってしまったのかもしれないですが、次の恋が始まりそうな2019年のクリスマスのラストが、ベタな恋愛小説っぽさを出して好きでした。

  • 島本さんの小説って、いつも水のように私の中にスルスルと入ってくる〜〜

    お酒が飲めてひとりの時間がたくさんあったら私も葵のような冒険家だったかも。いや、憧れてみるけど結局堅実に生きるかも。(笑)

    種類や奥深さいっぱいのお酒の描写とか、ふいに出てくる音楽(葵、Taylor SwiftのBlank Space似合うよね)とか、ちょっと問題のある男性に近寄られがちなところとか、
    すごく、島本さんの小説って感じでした。
    (伝わる?これ??笑)

  • 本作のタイトルは「2020年の恋人たち」と甘いのに、内容はどこか冷ややかで、恋愛の難しさを感じざる得ない。

    恋愛に何を求めるか、安定、安らぎを求めるのか、刺激を求めるのか…誰かを好きになって付き合い始めたら、結婚しない限りは終わりがくる(結婚が着地点ではないのだが)。

    主人公・前原葵の母は、愛人として生きること選択した女性であった。そんな母が突然の交通事故で亡くなり母が移転リニューアルを予定していた千駄ヶ谷の新店を引き継ぐ決断をする。その決断が、男性たちとの出会い、別れをもたらす。

    会社員である葵は、母の死を起点に昼間は会社員として、そして夜は経営者としての生活に変わる。その変化の中で、まず年下の青年・松尾が登場する。松尾に店を手伝ってもらうことになり、長年同棲していた引きこもりの恋人・港との関係を清算する。そして試飲会で知り合った雑誌副編集長で既婚者の瀬名。和食「伊藤伊」の経営かつ料理長との恋愛。

    そんな彼らの恋愛を見ていると、恋愛するということは自分の気持ちだけではどうにもならない。相手の気持ちを慮ることも必要であると感じる。

    私感であるが、付き合いはじめの頃は相手のことがよく見える。特に自分と違う考え、感情が新鮮に思え、まるで自分の思考、感覚、感性が相手によって広げられていくようにすら感じる。だが、いずれ気持ちが落ち着き冷静に考えると逆にそれが気になる。

    また、ひとりでいる方が自分のペースで就労後や休日も過ごせるし楽だと思う。が、一方でひとりで過ごした後に感じる虚しさもある。

    本作の読み始め、だから葵の恋愛は続かないのかとも考えた。

    しかし、読み進めていくうちに、こんなふうに理解する。

    普通なら30歳を過ぎると結婚を意識するため、将来を見据えた付き合いをするのであろうが、葵の場合「自分は今、誰といたいのか」、「自分らしく生きるには、何が大切なのか」が恋愛の基準ではないか…

    それは羨ましくもあり、寂しくも感じる。本作はそんな恋愛小説であった。

  • あけましておめでとうございます。

    2021年の初レビュー。
    ほんとは昨年のうちに読み切って、2020年の締めの本にしたかったが、間に合わず…

    島本理生さん、直木賞受賞後初の長編。期待して読んだ。

    会社員の葵は、ワインバーを営んでいた母親の突然の事故により、店を引き継ぐことになる。生活が目まぐるしく変わり、様々な出会いがあり、そんな中葵がたどり着いた場所とは?

    この本、おもしろいです。装丁どおりの素敵な内容。

    島本さんの文章は上品で、スラスラ読める。就職せずそのまま職業作家になっただけあって、読ませるのがうまい、と思う。

    しかし、実は設定が結構複雑で、感情の表現なんかも捻くれていたりする。たまに立ち止まらないと、理解できてない箇所や見落としがあったりして、奥が深いなぁ、と。

    テイラー・スウィフトの「Blank Space」をカラオケで歌う葵は…かっこいいのかどうかよくわからないけど、やたら男性にモテる。しかし、僕から見ると、登場する男性が皆似ているんだよな…。

    所詮、葵は外見とか雰囲気で男を選ぶんだな、
    内面重視じゃないんだな、
    と、心の中で毒づきつつ、

    じゃあ、男の内面って人によってそんなに違うのか?

    と問われると、

    そんなに変わんない

    という答えに行き着く(笑)


    ちなみに、島本さんによれば、この本のテーマは「母と娘」なのだそうだ。

    新年早々、全く読み違えた(笑)

    今年もよろしくお願いします!!

    • naonaonao16gさん
      たけさん、こんばんは!

      島本さん、お好きなんですね!新年一発目!!

      行きついた男の内面の答えに吹きました(笑)
      そういうもんで...
      たけさん、こんばんは!

      島本さん、お好きなんですね!新年一発目!!

      行きついた男の内面の答えに吹きました(笑)
      そういうもんですか?(笑)

      女性作家さんが描く「母と娘」
      非常に気になります。島本さんの語り口なのであっさりとしていて、でも結構重たく根深そうな印象を持ちました。

      今年もよろしくお願いします!
      2021/01/07
    • たけさん
      naonaonao16gさん、こんばんは!
      コメントありがとうございます。

      2020年って終わって間もないですが、改めて特別な響きを持つな...
      naonaonao16gさん、こんばんは!
      コメントありがとうございます。

      2020年って終わって間もないですが、改めて特別な響きを持つなぁ…と。オリンピックのはずがコロナの年。そんな年の恋人たちって、どんな風だったのだろうと気になりますよね。
      タイトルが、ある意味ベタですが気に入りました。

      この本、naonaonao16gさんの想像どおり、あっさりとしつつ根深いです。
      2021/01/07
    • たけさん
      男性の内面は、実際そういうものかどうかはわかりません(笑)
      でも、この小説に出てくる男性の内面は、僕はあまり理解できませんでした。だからあま...
      男性の内面は、実際そういうものかどうかはわかりません(笑)
      でも、この小説に出てくる男性の内面は、僕はあまり理解できませんでした。だからあまり好きじゃないなぁ。

      主人公の葵は好きだな。
      2021/01/07
  • 著者の作品は「ファーストラブ」以来2冊目の読了となりました。

    本作の主人公は葵。

    母親はワインバーを営んでいて、葵自身は母の愛人の子供であり、所謂母子家庭。

    たった1人の肉親である母は突然の交通事故で命を落とし、悲しむ暇もなく母の店を引き継ぐことになった葵。

    当時同棲していた港は会社を辞めて以来引きこもりとなり、葵とは会話すらない状態。

    葵が店を継ぐことを決意した頃に家を出て恋人関係を解消した港。

    Wの悲しみを感じるヒマも無く、飲食店経験者の松尾と共に店をオープンさせていく。

    そんな葵の周りには、母の店の常連客であった幸村、松尾と共に訪れたワインの試飲会会場で出会った雑誌の副編集長瀬名、店の近くで飲食店を経営する海伊...

    次々と現れる男達。

    葵のみならず、彼女の周りにいる叔母、義理の妹瑠衣も男運に恵まれない。

    熱しやすく冷めやすい、そんな葵の苦悩が描かれていました。

    パートナーを取っ替え引っ替えって感じではないし、軽い女性として描かれている訳でもありませんが、どことなく現実離れしているような、でもありそうな...

    これが女心だと言われればそうなのかもしれませんが、正直に言うとそこまで共感出来なかったかなぁ。

    説明
    内容紹介
    ワインバーを営んでいた母が、突然の事故死。落ち着く間もなく、店を引き継ぐかどうか、前原葵は選択を迫られる。同棲しているのに会話がない恋人の港、母の店の常連客だった幸村、店を手伝ってもらうことになった松尾、試飲会で知り合った瀬名、そして……。楽しいときもあった。助けられたことも。だけどもう、いらない。めまぐるしく動く日常と関係性のなかで、葵が選んだものと選ばなかったもの――。直木賞受賞後長篇第一作。
    内容(「BOOK」データベースより)
    出会って別れて、また出会って―あと死ぬまでに何度繰り返すのだろう。ワインバーを営んでいた母が、突然の事故死。落ち着く間もなく、店を引き継ぐかどうか、前原葵は選択を迫られる。同棲しているのに会話がない恋人の港、母の店の常連客だった幸村、店を手伝ってもらうことになった松尾、試飲会で知り合った瀬名、そして…。めまぐるしく変化する日常と関係性のなかで、葵の心は揺れ動いていく―。
    著者について
    島本理生
    1983年、東京生まれ。2001年『シルエット』で第44回群像新人文学賞優秀作、03年『リトル・バイ・リトル』で第25回野間文芸新人賞、15年『Red』で第21回島清恋愛文学賞、18年『ファーストラヴ』で第159回直木賞を受賞。主な著書に『ナラタージュ』『大きな熊が来る前に、おやすみ』『あられもない祈り』『夏の裁断』『匿名者のためのスピカ』『イノセント』『あなたの愛人の名前は』『夜はおしまい』などがある。
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    島本/理生
    1983年、東京生まれ。2001年『シルエット』で第44回群像新人文学賞優秀作、03年『リトル・バイ・リトル』で第25回野間文芸新人賞、15年『Red』で第21回島清恋愛文学賞、18年『ファーストラヴ』で第159回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • スタイリッシュな登場人物たちの会話、次々に現れる魅力的な男たちに、火曜10時枠の連ドラを見るような感覚で、毎夜楽しくページをめくった。
    花園神社の鳥居の前で座り込んだまま抱き合って、「穴の底から見上げたように、新宿のすべてが遠かった」と感じる場面とか、美しい映像的イメージが頭に残る場面が散りばめられているのも素敵だった。

    と言ってもライトすぎる話というわけではなく、男女関係については考えさせられる。
    なんで男の人って、女が弱い部分を見せたり、社会的に差別されてもおかしくない立場だと分かったら、すぐに「対等」を手放して、守ってあげるモードに入ってしまう人が多いんだろう。古代からの本能?
    ただ主人公の葵も、いろいろあった幸村さんにいざという時はちょこちょこ頼ったり、逆に同棲相手の港には何も相談せずに2人の問題を勝手に解決したり、ケースバイケースで振る舞っているようには思うから、安易に男だから、女だから、と考えてはいけないかもしれない。
    様々な育ってきた環境がある中で、人間同士対等であるということが、すごく難しく、永遠のテーマということなのかもしれない。

    あとは何気に島本理生さんって食べ物の描写が読みどころな作家さんだと思う。
    「いったん焼いてから、皮だけ取り除い」た「トマトソースがフレッシュなのに甘くて、香ばしい」パスタとか、「日本酒で炊いたすき焼き」とか、「いくらが数粒載った湯葉豆腐」とか美味しそうな食べ物がたくさん出てくる。
    ワインバーの話なので、牡蠣と合い「ドライな酸が感じられ」る「甲州のワイン」とか、「柘榴のカクテル」とか、「柑橘系みたいなギリシアのワイン」とかお酒もたくさん。ワインに詳しい方は更に楽しめると思う。


  • 友人から借りた本

    亡くなった母のやっていたワインバーを引き継ぐことにしたアラサー女性のお話。
    恋多き、というか。
    男女間の関係性って、さまざま。
    彼女が素敵だからたくさんの出逢いがあるのか、
    それってやはり小説だから?って思わないでもないなぁ。。。

  • 『2020年の恋人たち』刊行記念 島本理生さんオンライントークショー 参加者募集中|好書好日
    https://book.asahi.com/article/13964746

    2020年の恋人たち|特設ページ|中央公論新社
    https://www.chuko.co.jp/special/2020lovers/

    2020年の恋人たち|単行本|中央公論新社
    https://www.chuko.co.jp/tanko/2020/11/005279.html

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      第1回「本屋が選ぶ大人の恋愛小説大賞」受賞作決定のお知らせ|株式会社文藝春秋のプレスリリース
      https://prtimes.jp/main...
      第1回「本屋が選ぶ大人の恋愛小説大賞」受賞作決定のお知らせ|株式会社文藝春秋のプレスリリース
      https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000137.000043732.html
      2021/12/24
  • 亡くなった母親の店を思いがけず継ぐことになった葵の、2018年の春から2020年の春にかけて。
    仕事や恋愛、出自、過去との折り合い、母親との関係等々、さまざまな要素を含んでそれらがすべて葵の店に集うのが、ままならないながらも賑やか&華やかに思えて楽しかった。
    近づいては去っていく男たちも然り。出会って別れて、別れてまた出会って、別れて、別れて、あと死ぬまでに何度繰り返すのだろう。
    安易な成長話や恋愛小説になり切っていないところがすごく好きな読後感だった。
    ワインバーが舞台ということもあって、一貫して夜の世界、夜の小説という感じがする。夜は瞳をごまかしてくれる明るさや光はなくて、すべてがほんとうのことみたいに錯覚できるので素敵だ。

    それにしても執筆されていたのが2017年からとのことで、まさか2020年の日本がこんなことになるなんて誰も思わなかったよなぁと改めて。どのように加筆修正されたんだろう。
    飲食店は現在に至るまで槍玉に挙げられるものの筆頭で、経済的に受けた打撃も相当なものだよね。私は出産してからずいぶん夜とは疎遠になってしまったけれど、友人とお酒を飲みながら会話して笑い合うあの時間、あの場がどれほど楽しくて、キラキラしていて、特別なものかは知っている。
    どのお店も苦境に立たされているのだろうが、何とか持ち堪えて欲しい。きっと誰にとっても大切な空間なのだ。

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著者プロフィール

1983年東京都生まれ。2001年「シルエット」で第44回群像新人文学賞優秀作を受賞。03年『リトル・バイ・リトル』で第25回野間文芸新人賞を受賞。15年『Red』で第21回島清恋愛文学賞を受賞。18年『ファーストラヴ』で第159回直木賞を受賞。その他の著書に『ナラタージュ』『アンダスタンド・メイビー』『七緒のために』『よだかの片想い』『2020年の恋人たち』『星のように離れて雨のように散った』など多数。

「2022年 『夜はおしまい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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