クルスクの戦い 1943-第二次世界大戦最大の会戦 (単行本)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120053610

作品紹介・あらすじ

一九四三年のクルスク会戦は、空前絶後の数の戦車を集めた独ソ両軍が正面から激突した戦いである。この戦いに敗北したドイツは、以後、ソ連軍に戦略的主導権を奪われ、ずるずると敗戦に至ったのである。しかしながら、戦後の独ソ両国の政治的思惑から、クルスク戦の歴史イメージは、著しく歪曲された。タイガー戦車やパンサー戦車に期待をかけたヒトラーの作戦発動延期により、ドイツは勝機を失っていった、クルスク戦のクライマックスであるプロホロフカ戦車戦で、ソ連のT-34は、正面からタイガー戦車と渡り合い、競り勝った……。


ところが、こうしたクルスク戦像は、冷戦終結後の政治情勢と重要文書の機密解除により、根底からくつがえされてしまった。従来、われわれが知らされていたクルスク戦の流れは、虚像でしかなかったことがあきらかにされたのである。


 本書の著者ローマン・テッペルは、そうした営為の先頭に立つ、新進気鋭の研究者である。

感想・レビュー・書評

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  • 独ソ戦の研究の最前線。第二次世界大戦の帰趨を決した戦いの一つ、クルスクの戦いをドイツ、ロシア両国の資料から精緻に分析する。

  • 「Kursk 1943: Die groesste Schlacht des Zweiten」の翻訳(2020/12/10発行、3960E)

    本書、翻訳者の訳には相変わらず違和感を覚えるモノが有り、この点マイナスに思いましたが内容は素晴らしく、本書で初めて明らかにされたクルスク戦の実情が幾つも書かれています。

    例えば、クルスク突出部のソ連軍を南北から挟撃殲滅する原案は、ヒトラーでもマンシュタイン元帥でもなく、当時、中央軍集団指揮下にあった第2戦車軍の司令官シュミット上級大将であった。チタデル作戦を推進したのはヒトラーではなく、陸軍参謀総長のツァイツラー上級大将であった。ヒトラーは時間と共にクルスク周辺のソ連軍陣地が強化されていることを知ると攻勢案に疑問を抱き、ソ連軍の攻勢を待ち、これを壊滅させてから主導権を取り戻すという「後手からの打撃」に考えを変えて行った等々...。

    この他にも色々と明らかにされたクルスク戦の実像について記載されており、この方面の戦史に興味のある方であれば、お薦めの書籍ではないでしょうか。値段もこの手の書籍としては比較的手頃なので、購入しても取り敢えず損は無いと思います。
    只、結構、誤記・誤訳と云うか前後の内容からおかしな文章がありますので、注意は必要...。

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著者プロフィール

ローマン・テッペル

1976年、旧東独バウツェン生まれ。ドレスデン工科大学に提出した修士論文以来、クルスク戦の研究に取り組み、2017年に刊行された本書『クルスク 1943――第二次世界大戦最大の会戦』にまとめ上げた。学位論文は「ザクセンとナポレオン」。『クルスク 1943』は、出版されるや、その先端的な内容により、高い評価を獲得し、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語に翻訳された。また、『註釈版 わが闘争』(〔2017年、ミュンヘン現代史研究所刊〕は、ドイツでベストセラーとなり、『ガーディアン』でニュースになった)の編者の一人でもある。

「2020年 『クルスクの戦い 1943』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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