君と、君がいる彼方 (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120053962

作品紹介・あらすじ

乱歩賞作家が贈る感動の物語

崩壊寸前の家族に訪れた奇跡の13日間

相原孝之は一級建築士で、妻の貴美子と中学1年生の娘・美加、小学2年生で料理好きの息子・康文の4人家族だ。ある日、息子が板前の運転する車にはねられ、意識不明の重体に陥るが、時を同じくして、孝之の不倫や娘が学校でいじめられていることが発覚し、家族は瓦解寸前に。そんなとき、認知症の老人が相原家の前に何度も現れ、孝之の心にさざ波が立つ。孝之には幼い自分と母を捨て駆け落ちした父親が居たのだ。一方、康文の意識が戻らない中、老人とのふれあいを重ねるうちに、貴美子と美加の2人は驚くべき事実に気づくことに……。

感想・レビュー・書評

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  • 序盤は、旦那が浮気をし、妻はそれを知りながらモヤモヤしつつスポーツジムで知り合った男にときめいている。
    娘は、突然周りからいじめを受け暗い毎日を送っている。
    そして突然の息子の事故。

    このまま家庭は、崩壊していくのだろうか…
    展開が気になり、ここからは一気読み。

    中盤は、認知症の老人が家の前に何度も現れて
    まさか夫の父親なのか…
    似てはいるが…と探り合い…
    老人とふれあううちに料理の腕が一流であり、割烹料理中心のレシピが目白押し。

    妻と娘だけがわかる気づき。
    そのうち夫も。
    そして確信する。

    終盤になると何度も涙する。
    不思議な世界観なのだが、こういう展開だったとは…
    新たな感動を覚えた小説だった。

  • 「勝手な男だなぁ!」って、
    父親である孝之に少しイラッとしながらも、
    読み進める内に、先が気になり、
    だんだん夢中になっていった。
    最後は少し涙が出ました。

    ***ネタばれ***
    おじいちゃんは、結局のところ、
    孝之の蒸発した父とは無関係だったんだろか?
    個人的には、バラバラになりそうな家族を、
    生死をさ迷っている康文が、
    孝之の父の肉体をかりてやってきて、
    蒸発したままの祖父ごと家族を取り戻そうと
    したのかな?と、勝手に思いました。

    家族の再生の人間ドラマの中に、
    ちょっとSFが合わさった、
    いい感じの小説だった。

  • 最初はひどい家族だと読み始め、思わぬ展開に首を傾げ、途中から引きずり込まれた。

  • 不倫、いじめ、交通事故――崩壊寸前の家族に訪れた奇跡の13日間。その認知症の老人は一体誰? 乱歩賞作家が贈る感動の物語。

  • 主人公・相原孝之は、四人家族で、表面的にはいつもの日常を過ごしていた。
    裏では、孝之は大学院生と不倫、妻も浮気をしていた。娘はいじめに遭っていた。その原因は、孝之の父親はかつて別の女と駆け落ちしたため、後ろ指を刺されたことがある。その影響で、その事実を知っている近所から、駆け落ちの孫として虐められるようになった。そんな時、息子が交通事故に遭い、意識不明に。
    平常ではいられない状況に妻は取り乱したり、孝之に今までの鬱憤をはらしたりと、家族は崩壊する一方である。
    そんな時、認知症の老人が何度も家の前に現れる。果たして誰なのか?息子は意識を取り戻すのか?


    表紙を見る限り、シリアスなヒューマンドラマかなと思いましたが、途中からSF?的な展開もあったり、ほっこりする場面があったりと最後は暖かい気持ちになりました。
    この作品で一番印象的だったのは、料理でした。認知症の老人が、うんともすんとも言わないのにプロ並み級の料理を披露します。
    料理を食べるシーンは、人を幸せにさせるかのように心を温かくさせてくれます。それまでは心が乱れていて、崩壊寸前になるのでは?と心配していましたが、改めて料理の素晴らしさを感じました。

    家族の他に謎の老人が現れ、初めの段階では、もしかして孝之の父?と匂わせるような描写でしたが、途中からSF的見解に変化します。最初はちょっと興醒めしてしまいましたが、段々とその展開が感動を誘ってくれるので、最終的には丸く収まって良かったなと感じました。

    崩壊へと進む家族が、息子の交通事故によって、絆が深まることはなんとも複雑ではありましたが、迷いを断ち切り、一つの方角へと進む家族の姿が、力強くもあり、微笑ましくもありました。

    料理は人を笑顔にしてくれます。哀しい時があっても、そこに料理があることで、心を和ませてくれるなと思いました。

    最後は、老人の正体がはっきり提示しないまま終わりましたが、ぼやかすことで良い印象を与えてくれたので、読了後はほっこりとした気持ちになれました。

  • どうなの?って状況はあるけど、良い話でした。

  • むむ

  • 孝之は一級建築士としてオフィスを構え、妻と中学1年生の娘、
    小学2年生の息子と暮らす。
    ある時、息子が事故に遭い意識不明の重体に。
    バラバラになりかけた家族と息子のその後は?
    認知症の老人が現れ物語は意外な展開に。
    (そうきたか!)という思いで読了。

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著者プロフィール

末浦広海

1964年兵庫県生まれ。88年関西学院大学経済学部卒。2008年に『訣別の森』で第54回江戸川乱歩賞受賞。著書に『捜査官』『白き失踪者』『檻の中の鼓動』『刻命』『暗躍捜査 警務部特命工作班』、「キャップ・嶋野康平シリーズ」「警視庁東京五輪対策室シリーズ」などがある。

「2021年 『君と、君がいる彼方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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