- Amazon.co.jp ・本 (410ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120054556
感想・レビュー・書評
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題名からほのぼのとした内容かと思いきや非常に重い内容。入管に関してはニュースで聞いてなぜ日本てこんなに非情な国なんだろうと腹立たしく思うことはあったが、実態が少しは分かった気がする。しかし、何故日本の入管がこんなに血も涙もないのか、入管側の立場も聞いてみたい気がする。このテーマで他の本も読んでみたい。
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第4回ほんま大賞受賞作です。
ほんま大賞にあたり、帯コピーを考えました。
『この物語はフィクションである。
もしかしたら、一番“現実と違うところ”は、
その結末なのかも知れない。』
幸せな物語の、その先を想像してほしい。
読んで終わりにする小説ではないと思ったので、このコピーにしました。
少し言葉が強いかなと思ったけど。
中島京子さんからいただいたコメントに『私がびっくりしたり悲しんだりしたことを、なんとか小説の形で読んでもらえるように』とあり、きっと中島さんを動かしたのもこういう気持ちなのではないか?と私なりに解釈した結果です。
「入管に収容されてしまう男性と、その家族の物語」と説明すると、辟易する人もいるだろう。
そういう「強い」話は読めない・読みたくない時期もある。
ただこれは、そういう「強い」内容を中島京子さんが描かれることで、本当に奇跡のようなバランスで「やさしい」物語に昇華している。
そこは、テーマがー社会性がーじゃなく、純粋に文学の、小説の、「読み物としての楽しさ」を感じられる作品。
だから一気読みできるし、マヤがんばれー!クマさんいいやつー!で、お話に没頭できる。
これはどちらが重くても軽くても成立しない。
だから一年読んだ中で一番面白い「小説」を選ぶ、ほんま大賞にしました。
この物語の力が、一人でも多くの人に届くことを願います。
そして一人でも多くの人が、自分自身の身の回りの世界においてだけでもいいので、「やさしい猫」になれるように、願います。 -
やさしい猫、というタイトルは、スリランカの民話の一つだということは、すぐに分かるのだけれど。
マヤちゃんが語りかけている「きみ」が誰なのかは、物語のラストまで分からない。
ハラハラしたり、希望が持てたり、読みながら、全力で、マヤちゃん親子を応援していました。
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温かい涙がポロポロポロポロ止まりませんでした。こんないい涙をながしたことあったっけ?というぐらいの、優しくて温かい涙でした。
しかし、その流した涙と同時に、日本の外国人に対する法律、この作品のテーマとなっている入管行政の実態に、衝撃を受けました。
今まで、特に考えた事のなかった入管や不法滞在の問題などについて、考えさせられることになります。
ビザが切れると入管施設に収容されてしまうこと、なかなか在留資格が与えられないこと、日本人と結婚しても、偽装結婚とみなされて強制送還の対象になること、日本では難民申請がほとんど通らないことなど様々な問題を知りました。
その中でも一番衝撃を受けたのは、非正規滞在の子供が日本で生まれ、日本で育ち、日本語を話し、日本しか知らない子供にも在留資格が与えられず、職につけないことです。それが自分の国の法律なのか?と、大きなショックを受けました。
そんな重たいテーマではありますが、語り手が女子高生であり、彼女の視点でとらえられていますので、内容も非常に分かりやすい、とても温かい家族小説でした。
多くの人に読んでもらいたいなぁと思う一冊です。 -
日本の入管制度に切り込み、その罪多き課題に向き合いつつ、物語としての昇華感もしっかりだす果敢な小説に仕上がっている。
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軽い気持ちで読み始めましたが(タイトルの猫につられた)とても重かった…
でも一気に読んでしまいました
この国の制度が情けなく、申し訳ない気持ちでいっぱいになった
主人公もまっすぐ、周りの人たちが優しいのが救われる。 -
衝撃的なお話し。知らなかったから…。でもやさしい語り口と温かい物語で、この本に出会えて良かった!