- Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120056970
感想・レビュー・書評
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「色々あったかもしれないけど今となってはいい思い出だよね」
いじめ加害者が放ったこの一言には怒りを通り越し呆れ果てた。
高校時代の担任・水野が亡くなり葬儀に参列した元クラスメート達。
その後、斎場近くの居酒屋へ流れ学生時代の思い出を語り始める。
温厚だった水野が起こした衝撃的な行動、それが原因で不登校になった男子生徒。
それだけでも不穏だが、過去のいじめ、承認欲求と物語は刺々しさを増していく。
自己顕示欲の塊のような望月と華の動画配信は最悪。
他人を貶める事で得られる成功など意味がない。
道徳的想像力の大切さを痛感する。 -
なんで自分がこの小説を読んでいるんだろうと思うくらい、読んでいて嫌な気持ちになる本だった。ほぼほぼ最後まで。登場人物の誰もが、どこか独善的に描かれていて、容易に感情移入を許さない。それぞれがみな自分の嫌なところを自覚しているか、あるいは逆にそれを自分で押し隠そうとして、かえって自分の薄っぺらさを周りにさらしているかどちらか。
だけれど、本当に最後の最後になって、主要登場人物たちがもう一度一緒に会い、相手に対する嫌悪の気持ちをさらけ出し、とにもかくにも自分の気持ちに一区切りをつける段になって、なんとか折り合いをつけられる。そういう小説だった。 -
結構好きな感じの終わり方だったんですけど、タイトルこれじゃないほうが、もっと手に取ってもらえそうな気がするのは、私だけ?
とは言っても作者の方も、編集の方もOKで出版されてる訳ですから、単なる読者の感想ですけど笑
白麗高校3部作らしいので、他のも読んでみたいです(*^^*) -
「オレ死ね」と書かれた横に同窓生3人が「生きろ」と書いた。船守くんは、奇跡的にそれを見ることができたんだな、きっと。読了した人しかわからない感想ですみません。
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白麗高校を卒業した8年後、当時の担任教師の訃報を知って集まった同級生たちはかつての事件を思い出す。突然豹変した担任と、それがきっかけで不登校になったクラスメイト。あの時何があったのか、そして自分たちはどうするべきだったのか。
正しい意味ではこれぞ「青春小説!」かもしれません。苦いし痛いし、後悔だらけ。傷つけられ傷ついて、だけれどそれを若気の至りだったと笑い飛ばして終わりにはできなくて、終わりにしたいのにこだわってしまう。青春の大半はそんなもので、甘くて爽やかなのは一部の思い出を大事に美化したものでしかないのかも。だからこそ彼らの物語には、楽しくないのにぐっと引き込まれました。
キャラクターとしては華が印象的だけれど、嫌でした。敵に回したくないし、友達にもしたくないし。配信のシーンなんて最悪。だけれど彼女の立場になって見れば可哀想な面もあるのかも。プライドにすがって生きるのってしんどいよなあ……と思えば、あまり嫌う気にもなれませんでした。これがきっかけで彼女も少しは変われると良いのですが。
痛々しいばかりの物語に見えましたが、ラストは存外にすっきりとして救われます。不穏に思えたこのタイトルにも納得。